レシピ

伝える●おらほの味 汁なし麺料理のおにかけ

「おらほ」とは、「私たち」もしくは「私たちの地域」という意味の言葉です。信州各地の郷土食を探るシリーズ・"伝える おらほの味"。第8回目は長野県の粉ものを代表する料理「おにかけ」です。「おにかけ」の麺はうどんほど太くなく、いうならば「汁なし麺料理」。ハレの日の食として、祖母から母、母から娘へ引継がれてきた味。地域によっては、「おとうじ」とも呼ばれています。※文末には冊子プレゼントのお知らせがあります!

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長野県の各地に広く「おにかけ」と呼ばれる料理が伝えられています。今回お邪魔した、上田市下之条の上原けさ恵さんが作ってくださった「おにかけ」には汁がありません。おわんの中には、手打ち麺と具のみ。「最近は、汁を入れないと汁入れてと言われるが、本当の"おにかけ"には、汁を入れないんだよ」(けさ恵さん)と、義母から受け継いでいる昔ながらの「おにかけ」を作っていただきました。

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なぜに「おにかけ」?
 「おにかけ」は、古くから、行祭事などで作られるハレ食として受け継がれています。すいとんやうどんに比べると少し手間がかかることから、人の集まり、特に仏事(法事)に作られる料理です。地域によっては、お盆に仏様の供物、おもてなし料理としてつくられている精進料理でもあります。名前の由来は定かではないですが「お煮掛け」という字を当てることもあり、上原さんは「煮かけるからきているのではないか」と言います。

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食べるために必要な道具
おにかけと呼ぶ地域もあれば、おとうじと呼ぶ地域もあり、信州ではそれを食べるために欠かせない道具が、竹で出来た網"とうじ籠"です。ゆでた麺を食す直前に一玉づつとうじ籠に入れ、汁の中でしゃぶしゃぶ風にとうじて食べるので、このとうじ籠が欠かせないのです。

おいしい「おにかけ」の作り方

4人分の材料の目安

 ・地粉(中力粉)500g ・ぬるま湯200〜250cc(好みの固さに調整) ・塩小さじ1 ・だし汁2000cc ・油揚げ5枚 ・青菜300g ・しめじ1パック ・醤油150cc ・みりん大さじ2

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●まず、麺をつくります。今回お邪魔した上原さんの打つ麺は長野県産小麦粉から作られた地粉を使っています。「この粉で打った麺はおいしいから我が家ではいつも地粉を使っているんだよ」と上原さん。まずは地粉の中に、塩とぬるま湯を加え、さいばしでまんべんなく混ぜます。

なぜさいばしで混ぜるのかというと、いきなり手で混ぜると手に沢山の粉がついてしまうからです。きっとこんな経験をされた方も多くいたのでしょう。最初にさいばしで粉とぬるま湯を十分に混ぜてからこねると手に粉が付きにくくなります。

こねたタネは丸め、ラップに包んで30分ねかします。ねかしたタネをのし板とのし棒を使い、厚さ2ミリ程度まで薄く伸ばして、細く切り麺にします。たっぷりの湯でゆでて水にさらし、食べやすい大きさに小分けしてザルに上げておきます。水にさらしながら、上原さんは麺を軽く揉みました。「麺を揉むことで、打ち粉がとれ麺がおいしくなるんだよ」と教えて下さいました。

麺ができたら、次は汁を作ります。上原家の汁の具の定番は、青菜、しめじ、油揚げ。季節によって、青菜の種類は変わるそうです。具は、家庭によって違うのも"おにかけ"の特徴です。

青菜は、2㎝の長さに切り、しめじは子房に分け、油揚げは半分に切って細切りにします。切った材料を鍋に入れ軽く炒め、青菜が少ししんなりしたところで、具がひたひたする量のだし汁で煮込み、醤油、みりん等で味付けして、汁の出来上がり。汁は飲まないので、濃い目に作るのがポイントです。

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とうじ籠に麺を入れて、出来た汁にとうじ、麺が温まったら具と麺をおわんに盛って出来あがりです。上原家の"おにかけ"には、汁を入れません。これがこだわりです。


なんどでも食べたくなる味おにかけ
手打ち麺は、つるつるしていてコシがあり、汁がなくても味がしっかり付き、すごく美味しいです。あまりのおいしさに、おわんに盛り付けられた"おにかけ"を2杯もぺろり。「汁をかけないので、作った汁が残りますが、どうするのですか」と聞くと「すいとんや煮込みうどんなどにして全部いただきます」とのお答え。最後に煮込みうどんを作ってくださり、これもおいしくいただきました。

今回紹介しました"おにかけ"の詳しい作り方は、「暮らしを楽しむエコガイド」に掲載してあります。

ecoguide_booklet.jpg■読者プレゼントとして、「伝える おらほの味」が掲載されている冊子「暮らしを楽しむエコガイド」を、抽選で毎月10名さまにプレゼントしています! 全32ページ・カラー刷りの冊子で、長野県の農家のお母さんたちが各地域で実践している活動や、伝えたい地域の味を「暮らし 私スタイル」「伝える おらほの味」「いいね 地元を食べる」という3つのカテゴリーに分け、一冊にまとめたもの。タイトルはJA女性部のエコライフ運動として、安全・安心なものを食べることや食べ物を無駄にしないこと、地域の人に喜ばれる活動を継続して実践しようという想いをこめて名づけられました。当「伝える おらほの味」のレシピはもちろん、「暮らし 私スタイル」では新聞紙でつくるエコバッグや手作りせっけんの作り方なども紹介しています。ぜひ、楽しい暮らしづくりにお役立てください。ご希望の方は、1、住所 2、氏名 3、年齢 4、電話番号をご記入の上、「暮らしを楽しむエコガイド希望」と明記の上、下記あて先までEメールでご応募ください。

 JA長野中央会 総務企画部 企画広報課 
 「長野県のおいしい食べ方」編集部:
 kikaku-kouhou@chu.nn-ja.or.jp

次回の「伝える おらほの味」は、「うすやき」です。おたのしみに!

こちらは の記事です。
農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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