レシピ

伝える●おらほの味 市田柿でつくる柿ゆべし

「おらほ」とは「私たち」もしくは「私たちの地域」という意味の言葉。信州各地の郷土食を探るシリーズ・"伝える おらほの味"。好評第6回目は南信州を代表する特産品"市田柿"を使ってつくる「柿ゆべし」です。市田柿をそのまま食するのもよいのですが、一手間くわえた上品な味の「柿ゆべし」いかがですか。※文末には冊子プレゼントのお知らせがあります!

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今回は、下伊那郡高森町下市田(市田柿発祥の里)で、南信州を代表する特産品の市田柿(渋柿)を栽培、干柿加工しているJAエプロンサポーターの北沢貞子さんに「柿ゆべし」の作り方を教えていただきました。

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JAエプロンサポーターとは食を通じJAと地域のつなぎ役として活躍するJAの生活指導補助員のことです

"市田柿"とは
市田柿(いちだがき)は本来は柿の品種のことで、これを干し柿にしたものを現在では「市田柿」と呼んでいます。今から500年以上前に、現在の下伊那郡高森町の市田地域でこの柿が栽培され、柿にその地域の名前がつき、渋柿の品種名になりました。「うちの地域こそが、"市田柿発祥の里"なんです」と北沢さんは誇らしげに話します。

11月上旬から中旬にかけ生柿を収穫。収穫された柿は、農家できれいに皮をむき、のれんに吊るし、色のよい干し柿に仕上げるため、硫黄燻蒸(いおうくんじょう)が行なわれます。硫黄を燃やして発生させた亜硫酸ガスで柿をいぶすのです。そして1ヶ月程度室内で乾燥させます。

市田柿には手間をかける
その後、のれんから柿を下ろし、ひとつひとつの乾燥状態をみながら、手もみをします。手もみをすることで柿がやわらかくなり、甘さが増してくるのです。水分が多い場合は天日干しをして調整します。北沢さんは言います。

「店頭で目にする鮮やかなあめ色の果肉に、きめ細かな白い粉が覆った"市田柿"ができるまでには、手間がかかるんだよ」

今回紹介する簡単で上品な味の"柿ゆべし"は、昭和40年代に農家のみなさんが少し固くなってしまった"市田柿"の利用のひとつとして考案したお菓子です。

ゆべし(柚餅子)とは
ゆべしについて調べてみると源平の時代に生まれたとも伝えられ、菓子というよりも保存食・携帯食に近いものであったとされ、時代とともに現在のような菓子へ変化したといわれています。現在では珍味に分類されているものと、和菓子の一種(蒸し菓子や餅菓子など)に分類されるもの、その他のものに分けられます。今回の"柿ゆべし"は、珍味でもあり和菓子でもあるゆべしです。

市田柿"柿ゆべし"の作り方

2本分の材料の目安

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 ・市田柿300g ・味噌150g ・ゆず(皮の部分)1個分 ・クルミ50g ・米粉(上新粉)250g ・砂糖150g

●柿はヘタと種をとり、細かく刻みます。ゆずとクルミはみじん切りに。「クルミは触感を残すために刻み過ぎないのがポイント」と北沢さん。刻んだ柿とゆず、クルミをボールに入れ、味噌、米粉、砂糖を合わせ、お湯少々を加えながら混ぜ合わせます。

「お湯は、固さを確認しながら入れすぎないこと」

混ぜ合わせおわったら、直径3〜4cmくらいの棒状に形を整え、アルミ箔で包んで蒸し器で20〜30分ほど蒸します。この時に水分が多いと蒸す時間がかかってしまいます。中まで火が通ったら、蒸し器から出して冷まし、薄く輪切りにして出来上がりです。

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おいしくて後を引く味
今回も出来上がった"柿ゆべし"をいただきました。ゆずと味噌の香りがよく、上品な味です。米粉を使っているので、触感はもっちりとしていて、味噌の味とクルミの歯ごたえがなんともいえず、後を引く味です。

「味噌の味がしっかり付いているので、お茶請けでの酒のつまみにも喜ばれるよ」と北沢さん。

お正月に食べ切れなかった干柿を使って、"柿ゆべし"を作ってみるのもよいかもしれません。


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 JA長野中央会 総務企画部 企画広報課 
 「長野県のおいしい食べ方」編集部:
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次回の「伝える おらほの味」は、「やしょうま」。おたのしみに!

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農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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