「おらほ」とは「私たち」もしくは「私たちの地域」という意味の言葉。信州各地の郷土食を探るシリーズ・"伝える おらほの味"。好評第5回目は長野県松本市で江戸時代から栽培されている"伝統野菜松本一本ネギ"でつくる「ネギみそ」です。新米のアツアツのごはんの上に"ネギみそ"を乗せていただくのが最高です。※文末には冊子プレゼントのお知らせがあります!
お邪魔した、松本市笹部は、すでに農地はほとんど見当たらない住宅地のただ中です。そこで、"松本一本ネギ"を栽培している原京子さん(JA松本市職員)に、今回は「松本一本ネギのネギみそ」の作り方を教えていただきました。
復活を遂げた松本一本ネギ
今でこそ松本を代表する地域の伝統野菜として"松本一本ネギ"は知られるようになりましたが、「このネギにも存続の危機があったんだよ」と原さんが口を開きました。話しによれば、昔から松本市の筑摩や並柳を中心に栽培されていた松本一本ネギですが、栽培に手間がかかり、また宅地化等が進んで農地が減り、栽培面積も減少していきました。そんな中、子どもたちに"松本一本ネギ"をこれからも伝えてゆきたいという願いからネギ栽培をしていた女性が中心となり"松本一本ネギ"復活活動が始まったのです。
「こんなに"松本一本ネギ"との出会いがステキだとは思わなかった。復活活動のため、こちらから情報を発信すると情報と人が向こうからやってくる」
そう目を輝かせる原さんです。
"松本一本ネギ"が特別なのは
白い茎が曲がっていて、とろーりやわらかく甘いこと。曲がっている理由は、ネギを夏植え替えするから!
なぜ植え替えるのか
大きく育ったネギを夏の炎天下に掘り起こし、もう一度畝をたて、掘ったネギを畝にたてかけ土を寄せます。そうすることで、緑の葉の部分が枯れて中心から新芽がぐんぐん伸び、1ヶ月程で白い茎が曲がった"やわらかくて甘いネギ"に育つのです。
もちろん普通のネギのように料理に使っておいしくいただけますが、そのネギの味を堪能するために簡単に作れるのが、"ネギみそ"。
それは昔からJA松本市のネギを栽培している農家で食べ継がれてきた伝統の味なのです。
正調 松本一本ネギ"ネギみそ"の作り方
●ネギを洗い、根を切り皮をむき、松本一本ネギをあらみじんに刻みます。 刻んだネギをボールに入れ、その中にみそと砂糖を入れ混ぜ合わせ、最後にカツオ節を入れて出来上がり。
決めては、刻んだネギを手でねること。「手で揉むようにねることでネギからぬめりが出てきて、箸で混ぜたものとはひと味ちがう。そこが"松本一本ネギ"ならではの味」と原さん。
4人前の目安
刻みネギ100g ・味噌大さじ1と1/2 ・砂糖大さじ1 ・カツオ節10g ■材料はこれだけ。火も油も使いません。好みで、味噌・砂糖・カツオ節は調整してください。
熱々ご飯にのせると、おいしーい!
今回は、出来上がった"ネギみそ"をあつあつご飯と一緒にいただきました。
ネギの辛味と甘み、カツオ節の風味のバランスが絶妙で、ネギ好きには堪らない一品で、ご飯が進みます。
もう一つ、原さんからのお勧めとして、松本一本ネギの美味しさを際立てる食し方として、冷奴の上にネギみそを乗せていただきましたが、酒の肴に最高です。
結論は、お酒のお好きな方は冷奴に。そうでない方は、ご飯と一緒にどうぞ。
これからの季節、ネギがおいしので、是非試してみてください。
"松本一本ネギ"は、JA松本市農産物直売所(松本市並柳 並柳交差点から南へ100メートル)で買うことができます。直売所にお越しいただけない方は、こちらJA松本市のホームページをご覧ください。
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JA長野中央会 総務企画部 企画広報課
「長野県のおいしい食べ方」編集部:
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次回の「伝える おらほの味」は、下伊那地方の「柿ゆべし」。おたのしみに!