「おらほ」とは「私たち」もしくは「私たちの地域」という意味の言葉。信州各地の郷土食を探るシリーズ・"伝える おらほの味"。第4回目は長野県を代表する郷土食「五平餅」を求めて、観光地としても名高い木曽郡南木曽町を訪ねました。新米収穫の祝いに作られる「五平餅」は、地域によって形や味が変わります。今回は、くるみとごまのたれのだんご「五平餅」です。※文末には冊子プレゼントのお知らせがあります!
今回お邪魔した、木曽郡南木曽町大妻籠は、妻籠宿と馬籠宿(岐阜県)に挟まり、昔の中仙道の宿場を色濃く残すところ。その地で妻籠宿民宿「こおしんづか」を営む伊藤由美さんと今井美佐子さん(JA木曽女性部妻籠支部長)のおふたりに「五平餅」の作り方を教えていただきました。
なんで「五平餅」というの?
「いろいろな定説がありますが、形が御幣に似ているところからではないか」と今井さん。"御幣"について調べたところ、「白色や金・銀の紙などを細長く切り、幣串(へいぐし)にはさんだもの。お祓いのときなどに用いる。おんべ。」とでていました。
地域によっては「御幣餅」と書くところもあるとか。
伊藤さんにもお聞きしたところ「昔は五合もちといわれ、今のようにおかずがなかったので、五平餅を一人五合食べたから」他にも「旅人の五平さんが世話になったお礼に教えた」という説も。
五平餅はいつ食べるの?
木曽地方では今でも新米の収穫を祝う席や大切なお客様のもてなしなどに作られています。昔は、お米が貴重であり五平餅は"ハレ食(特別な日の料理)"であり、大変なごちそうでした。
"おいしい五平餅"の作り方
まず、タレをつくります。今回お邪魔した「妻籠宿民宿 こおしんづか」のたれは、すり鉢でくるみとごまをすり、調味料(砂糖、薄口醤油、みりん、酒)を加え、味を調えたもの。タレは、我が家の味なのです。
タレができたら、次は米を炊きます。お米は、100%うるち米を使います。もち米を使うと団子が溶けてしまいますので、ご注意を。
うるち米が炊き上がったらすりこぎでつぶし、半殺し状態にします。半分ぐらいがつぶれた状態を「半殺し」とよぶのです。
それをお団子の形に整え、竹串に刺します。刺すときのポイントは「団子を刺すたびに串をひっくり返すこと。そうしないとバランスが悪くなりうまく焼けない」と伊藤さん。
出来た串団子を炭火で下焼きします。今回は、囲炉裏での炭火焼きです。そう、この下焼きが、おいしさのポイント。
「しっかり下焼きされた五平餅は、仕上がりの味がちがう」と今井さん。
表面に少し焦げ目がついたら、タレをつけ、もう一度炭火で焼き、香ばしい香りが漂い、出来上がり。
"焼きたての五平餅をいただきます"
香ばしい香りが食欲を増し、焼きたての五平餅をいただきました。下焼きしたことで、団子の表面は硬く、中はふっくらで、くるみとごまダレのバランスもよく、すごく美味しい。
「今日は、囲炉裏で焼いたから格別に美味しいよ」と伊藤さんが言います。結局大きな五平餅(1串ご飯一膳分)を2串ぺろり。
本場のものをぜひ食べてみて
今回紹介しました五平餅は、「妻籠宿民宿 こおしんづか」で味わえます。紅葉が始まった木曽路に足を運び、本場の五平餅を味わってみてはいかがでしょうか。
お邪魔した長野県木曽郡南木曽町大妻籠「妻籠宿民宿 こおしんづか」は、宿泊もできます。詳しい問い合わせ先は、TEL0264−57−3029まで。
なお、五平餅をご自分の手で作ってみたい方は、冊子「暮らしを楽しむエコガイド」に、詳しく掲載しておりますので、下記の読書プレゼントへご応募くださいませ。
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「長野県のおいしい食べ方」編集部:
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次回の「伝える おらほの味」は、松本市の「一本ねぎ」です。おたのしみに!