レシピ

伝える●おらほの味 おからこは十五夜のため

「おらほ」とは、「私たち」もしくは「私たちの地域」という意味の言葉です。信州各地の郷土食を探るシリーズ・"伝える おらほの味"。第3回目は伊那市美篶(みすず)上大島地区で「ババから孫に伝えたい行事食」のひとつとして古くから伝わる十五夜にお供えする餅「おからこ」です。お月様にお供えした翌日には、「おからこ」を入れたおいしい汁に変身します。※文末には冊子プレゼントのお知らせがあります!

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今回お邪魔した、伊那市美篶上大島地区は、桜で有名な高遠城跡公園まで車で5分ほどのところで、昔からこの地区では十五夜にお供えする独特のもち「おからこ」をつくり十五夜にお供えする風習があります。今回はその作り方と食べ方を木下紀子さん(JA上伊那生活班前伊那地区部会長)に教えていただきました。

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「おからこ」ってなに?
おからこは十五夜にお供えするもちです。「この時期は、収穫の時期であり本来の餅だと手がかかるので、しとぎのおからこを供えたのではないかと言い継がれています」と木下さん。

"おからこ"の語源を調べたところ"しとぎ(粢)"のこととありました。それでは"しとぎ(粢)"をあらためて調べますと、次のようにでていました。

「水に浸した生米をつき砕いて、種々の形に固めた食物。神饌(しんせん)に用いるが、古代の米食法の一種といわれ、後世は、もち米をつぶし、卵形に丸めたものもいい、これを"しとぎもち"と呼ぶ」

木下さんに"おからこ"の作り方をうかがったところ、"しとぎもち"とまったく同じもので、十五夜にお供えする行事のための食べものということでした。

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これが、おからこ

おからこの約束事
"おからこ"をお供えするときは、里芋の葉の上にのせてお供えすることと昔からきめられています。なぜ里芋の葉の上にのせるのですかと木下さんに尋ねました。すると

「十五夜には、"おからこ"と一緒に里芋もお供えしている。また十五夜の頃が里芋を食べられる時期でもあるから、その葉っぱが使われているのではないか」

とのおこたえ。

"おからこ"を上手に作る
準備としてもち米とうるち米を合わせて一晩水につけます。翌日、ザルに上げ一時間位水切りをします。

水切りした米を生のまますり鉢に入れすり、ある程度すれたところで水を加え、耳たぶ位になるようにこねて、鏡餅のように丸めて出来あがりです。出来あがったものが"おからこ"で、これを里芋の葉の上にのせてお月様にお供えします。

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4人前の目安としては、もち米1/2カップ、うるち米1/2カップ、水大さじ3。材料はこれだけです。おからこは、お供えのためのおもちであり、そのままでは食べれません。

翌日に"おからこ"を「おからこ汁」でいただく
お月様にお供えした"おからこ"は、翌日になるとしっとりと固まっており、それを一口大に切りわけます。大根、里芋、にんじん、ちくわ、油揚げ、鶏肉、キノコなどを入れた汁を作り、それが煮立ったところに、一口大の"おからこ"を入れます。

"おからこ"が煮えるまで煮込み、あつあつをいただきます。

今回も、あつあつの"おからこ汁"をいただいてしまいました。米のつぶつぶが残り、歯ごたえがあって、具などの味が浸みた"おからこ"のおいしかったこと!

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今回はお吸い物仕立てでいただきましたが、木下さんが「お味噌汁に入れてもおいしいよ」と教えてくださいました。この秋は、十五夜に、お団子ではなく"おからこ"をお供えして、翌日に、"おからこ汁"を作ってみるのはいかがでしょうか? 里芋の葉が一枚手に入るといいですね。


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 JA長野中央会 総務企画部 企画広報課 
 「長野県のおいしい食べ方」編集部:
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次回の「伝える おらほの味」は、木曾地方の「ごへ―もち」です。おたのしみに!

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