すごいりんごを紹介する今年の11月スーパーふじシリーズの最後に登場願うのは・・・山ノ内町平穏(ひらお)地区で栽培されるりんご「チャンピオンふじ」であります。
その名前、正式には「サンチャンピオン」といいますが、まさに「チャンピオン champion 」という名前にふさわしいりんご。その味を一度知ったものは誰もが「おぉー、さすがチャンピオン」と必ず叫ぶであろう、それはすごいりんごなのです。
そこはりんごを育てるための土地
山ノ内町は、県北部有数の観光地である志賀高原をかかえ、町花がそのものずばりの「りんご」という、まさにりんごの一大産地。そして平穏地区では、晴れていれば北信五岳である飯綱山、戸隠山、黒姫山、妙高山、斑尾山が一望できる標高500から700メートルほどの緩やかな傾斜地で、リンゴを栽培しています。昼夜の温度差が大きく、食味や着色、果型が良いりんごができるため、「まるひらりんご」(まるの中に平のマーク)として、市場での評価も高いものです。
チャンピオンふじ出荷はじまる!
チャンピオンふじは、山ノ内町のJA志賀高原平穏りんご部会の生産者94人が栽培しています。理想の色・味・形を追求した「ふじ」こそが「チャンピオンふじ」の名を冠して、西日本最大の青果卸売企業である大果大阪青果株式会社を通じて、限られた取引先に販売されていきます。JA志賀高原平穏地区のふじの生産量のうちでも5%ほどの生産量しかなく、価格も通常のふじの約3倍という、まさにこだわりぬいたりんご。糖度も16度と高く、贈答用りんごとしてのブランド力の高い信州りんごの中でも、本当にわずかしか生産されない贅沢なりんごなのです。5キログラム箱の中に約12玉(1玉450グラム程度)入って、今年は出荷が11月24日からはじまり、12月14日まで予定されています。
とにかくおいしいと評判のりんごの中でも、最高ランクのサンふじなのですから、食べなくてもその味がわかろうかというものですが、贅沢にも試食させていただきました。蜜のたっぷり入ったりんごを食べた瞬間「うーうまいっ!!」と思わずうなりました。「なにこれ!」
甘さはもちろんですが、わずかな酸味とのバランスが良く、さらに口の中に畳み掛けてくるような感覚にりんごの概念が音をたてて変わりました。取材をさせていただいたJA志賀高原リンゴ部会部会長の滝沢正憲さん(48歳)と、JA志賀高原果実課の春原哲也課長代理のふたりから「甘みと酸味のバランスが良く、歯ざわりはシャキッと、果肉が緻密で味が濃く、コクがあるのが特長だよ」とお話をうかがいましたが、もう一度とはいわず、毎年食べる機会があれば食べたいりんごです。
こだわりりんごの先駆けとしての自負
チャンピオンふじが生まれた経過を教えてください?
もともと平成元年に「有機ふじ」(有機質肥料を使用して育てたふじ)作りに取り組んだところ、2〜3年すると品質にバラつきが生じてしまったため、大阪の市場担当者と有機質肥料を使用するだけではなく、日本一のりんご(チャンピオン)を目指すべく徹底的にこだわったりんごを作ることにしました。高品質りんご作りの大家である山形県東根市の清野忠先生から教えを請い、剪定(せんてい)方法など、現在も年4回以上現地におもむき、さらなる高い品質のりんごづくりを目指しています。こだわりの生産者も数多く、他産地のこだわりりんごの先駆けとしてまさに弛まぬ努力を続けているんです。
すでに用意されている来年のチャンピオンふじ候補の花芽
何がこんなにおいしいりんごを生むのでしょうか?
もちろん昼夜の温度差や南西向きの斜面の土地であるといった環境にめぐまれていることもあるけど、秋の収穫時期の果実のなる姿、さらにその先の樹姿をイメージしながら、冬の剪定、実のならせる場所を研究してきた結果だよ。
生産者としてのプライド
あらかじめ果実のなる姿をイメージする! みなさんは、まだなにもないときに想像できるでしょうか。10センチほどの細い枝の先についた花芽が生長し、糸で吊るしたようにりんごのお尻が真下を向き、ぶら下っている姿を。そこにさがつているものこそチャンピオンの勇姿なのです。
もともとJAで果実の営農技術員をされていた滝沢部会長(写真)は生産者としてのプライドをのぞかせながら言います。
「レベルを下げるわけにはいかない。良くない花芽は摘みとり、来年に向けて一年休ませ、他のりんごに養分(おいしさ)を集中させるのです」
滝沢部会長のチャンピオンふじへの思いは?
その年の環境もあるけど、剪定で95%おいしいりんごができるか決まる。他産地の追随を許さないようなりんごを作ることが目標。どうすればおいしくなるかという目標はわかっているから、あとはチャンピオンの比率をさらに高め、また今年も平穏のりんご待ってましたといわれるようにしたい。
消費者へのアピールポイントは?
りんごは健康にもいい。食べ物である以上はおいしくなければならないので、第一に「味」を、その次に色、形というように理想を追求したりんごで、日本一だと思って作っている。縦に縞の入った、ほどよく赤色でデコボコ感のあるりんごを、ぜひ食べて欲しい。
一度は食べてみる価値があります
味のみならず、ゆるぎない自信に満ちた生産者の言葉に幾度となく感銘を受けました。ただ「甘い」だけでない、絶妙な酸味が甘みを際立たせる、三段ロケットのようなうまさの余波は、一度は食べてみる価値があります。
今月の月末29日と30日の2日間は、JA志賀高原平穏果実共選所において、今年のチャンピオンの中のチャンピオン、まさに「 KING OF CHAMPION 」の展示会が開催されますので、ぜひお出かけください。
「チャンピオンふじ」についてのお問い合わせ:
JA志賀高原平穏果実共選所
〒381‐0401
長野県下高井郡山ノ内町平穏4871−1
電話 0269‐33‐4002
関連過去記事:
りんご畑ではいまなにがおこなわれてるか?
まもなく新月だからあのりんご畑を再訪した