果物

りんごの減農薬栽培とはどういうものなのか

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「リンゴの木というのは、正直ものなんだよ」

そう語ってくれたのは、松本市梓川の上野原でリンゴ栽培を行なう原口修一さん(65)です。原口さんは、リンゴ栽培でも難しいといわれる減農薬栽培に精力的に取り組む生産者のひとりです。安全で美味しいリンゴづくりに思いを込める原口さんの、信州の高原の太陽ををいっぱいあびて、見事なまでにたわわに実ったリンゴ園へ、それではご案内いたしましょう。

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原口さんのりんご園のあるここ梓川地域は、行政合併で松本市になりましたが、古くからリンゴ栽培の盛んな産地のひとつで、リンゴ産地としては「安曇野」と呼ばれる地域に入ります。

安曇野は、標高650〜800メートルの扇状地にリンゴ畑が約500ヘクタール以上も広がる一大産地で、県内でも「おいしい」リンゴが収獲されるところです。もともと雨が少なく、一日の気温の寒暖の差が大きいという、りんご栽培において抜群の環境が整っているからです。安曇野のリンゴを一手に担うJAあづみでは、今年の晩生種のふじも順調に生育がすすみ、最終的に生産量はおよそ50万ケース(1ケース=10キロ)を見込んでいるといいます。

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原口さんは、ふじ、つがる、王林、シナノスイートなどのリンゴたちを約1.6ヘクタールの面積で栽培する専業農家。リンゴ園のある上野原というところは、昭和40年代の前半につくられたいわゆる「リンゴ団地」で、見渡すかぎり一面にりんごの木が植えられており、やや色づきはじめた葉の間に無数の赤々と輝くリンゴたちが実っていました。さっそくインタヴュー開始です――

fuji_apple_752h.jpgりんごの減農薬栽培の基準

●この地域の特徴を教えてください。
「ここはリンゴに適した環境といわれ、日照時間が長く、朝夕の気温の差がしっかりある。特に、夜の気温がグッと下がるので、果実の身が引き締まり、色づきがよくなるのです。それに、梓川からひっぱてくる天然水を畑いっぱいにあげていること」

●今年の出来はいかがです?
「それでも温暖化の影響か、色づきが遅れている気がする。でも、玉の大きさも十分。蜜ものってきてるし、おいしく実っているよ。収獲が楽しみだな」

●りんごの減農薬栽培とはどんな方法でしょうか?
「長野県が定める『信州の環境にやさしい農産物認証基準』というものがあって、通常問題ない農薬使用から、さらに30%以上減らした方法で栽培するんです。取り組んで10年ぐらい経つのかな」

●取り組みは地域全体で?
「減農薬栽培は、仲間協力しながら特別栽培ということで取り組んでいます。安曇野地域全体では、栽培方法が難しい点もあり、特別に取り組んではいないんです。しかし、昔からリンゴ作りに向いている土地では、通常より少ない農薬で、安全安心に留意しながら栽培している方が多くいますよ」

今年は虫や病気の大きな被害はない

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●どんな点が難しいのですか?
「リンゴは、その年の天気や気候によって、虫が発生したり病気になったりします。これは、自然なことです。でもこれらを防ぎ、消費者の方が選んでくれるリンゴづくりをするためには、最低限の農薬が必要なのです。だから、農薬を減らすと強敵が増えるわけ」

●今年は、虫や病気は大丈夫でしたか?
「これも温暖化の影響か、今まで聞かなかった虫や病気も出てきたようですが、おかげでさまで大きな被害につながる虫や病気にはかかりませんでした。リンゴの花が咲く春先からずっと、畑には足を運んだからね。虫を見るためのルーペをもって、畑の中をウロウロするんです(笑)。ここまでくれば少しホッとしてます。それに、同じ栽培方法に取り組む仲間やJAと情報交換や日々勉強会を行なっています」

●減農薬栽培のリンゴの評判はどうですか?
「美味しいとよく言われますよ。これは、とても嬉しいし・ありがたいね。このリンゴを食べたらほかのリンゴは食べられなくなったと言われたこともあったかな」

●今後の展望をお願いします。
「来年は、新しい品種・農薬に少しずつ挑戦したい。よいものを作るために、生産者は努力している。よいリンゴにはもう少し価格転化できるようにしたいね。それに、なんといっても安曇野のリンゴは特にうまいから、手間がかかるけど減農薬で安全にさらに美味しいリンゴを目指して、つくっていきたいね。まぁ、リンゴは正直ものだから手をかければ、それだけうまいリンゴができるんだ」

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りんごは生産者の思いと共に運ばれてゆく
原口さんのリンゴ園では、まさに収穫期を向かえて、忙しい日が切れ目なく続いていました。

このようにして続々と安曇野で収獲されるリンゴたちは、JAあづみによって集められ、原口さんたち生産者のみなさんの思いと一緒に、関東、中京、関西方面へと運ばれていきます。

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最後に、安全安心に取り組む安曇野のリンゴを食べてみたいという方にお知らせです。今週11月22、23日には、JAあづみ「安曇野ふる里市」でリンゴフェアが開かれます。リンゴのつめ放題なども予定されています。

JAあづみ「安曇野ふる里市」
住所 〒399−8102長野県安曇野市三郷温2030‐1
JAあづみ 安曇野ふる里市案内サイト
アクセス地図(ゼンリン地図)
営業時間 12月まで 9時〜16時
定休日 毎週水曜日
電話  0263‐77‐7530
FAX 0263‐77‐1550

こちらは の記事です。
農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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