いよいよ待望のリンゴの季節ですねえ。リンゴのさわやかな甘味と酸味は、秋から冬にかけてのきりりとした空気を感じさせてくれます。この季節にはたくさんリンゴを召しあがってください。
リンゴはデザートはもちろん、季節の食材と合わせて料理にも活躍する万能選手。リンゴを素材に使うお菓子や料理は、いろいろありますが、お菓子といえば、なんといってもやっぱり「アップルパイ」ですね。アメリカでは「おかあさん手作りのアップルパイ」は「それぞれの家庭の味の代表」とされるものです。
特にリンゴの「紅玉」が出回っているこの時期、日本の家庭でもアップルパイを作る方も多いと思いますが、今週はいくつかあるパイの中でも「おひさまの林檎パイ」という、なんともあったかくてやさしい名前のパイを求めて長野県の北部、中野市豊田に行ってきました!
おひさまの林檎パイ
このパイを作っているのは、中野市豊田農産物加工施設利用組合(組合長 岡村郁子さん)の菓子部のみなさん。組合のなかは、菓子部、おやき部、みそ部に分かれ、それぞれ地場産の材料を使って加工品を作っています。
菓子部のみなさんは、そのほとんどがリンゴを中心とした果樹農家のおかあさんたち。部員の自宅で栽培している規格外のリンゴを持ち寄って、毎週金曜日にパイを焼くのです。この日は、週末に開催される地域のイベントに向けて、朝早くからみなさんせっせとパイを焼いていました。鼻がひくひくします。
うーん、甘酸っぱいリンゴとこんがりと焼けた香ばしいパイの、いい香りではありませんか!
幸運なことに、ちょうど焼きあがったようです。
しこたまリンゴを使うこと
「またはみ出ちゃったわ」と笑いながら言うのは菓子部長の神田一枝さん。神田さんはリンゴを中心とする専業農家。モットーは「しこたま(惜しみなく)リンゴを使うこと」だといいます。北信州のさわやかな風とおひさまの中で大切に育てられた完熟のリンゴを惜しまずたっぷりと。
リンゴは紅玉とふじを使います。紅玉は真っ赤に色づいたりんごを皮ごと煮るのでピンク色になります。自然の甘さで完熟リンゴのジューシーな味。パイ皮は練りこみ式なので層は少なくしっとりタイプ。やさしくてあたたかいお母さんの味がするのです。
そもそもこのアップルパイが誕生したのは「規格外のリンゴがもったいない」「添加物なしのリンゴジュースがほしい」など、リンゴの付加価値探しから食文化への関心が高まり、平成10年12月に地元農産物を使った村の特産品の開発、地域活性化を図るための農村女性の情報交換の場として加工施設が立ちあがったことがきっかけでした。
1日に400個もパイを焼くことも
最初は農閑期(冬だけ)を利用しての活動だったのですが、現在は年間を通して、特に12月から3月までは毎日300〜400個近くの数のパイを焼くのだそうです。ひとつひとつ「手づくり」ということを思うと、すごい量ではありませんか。それだけこのアップルパイを楽しみにしている人たちもたくさんいるということでもあります。
「最初のころに比べれば、手早になったよね。」と副組合長の西野三恵子さん。「忙しくてローテーションが大変だけど、みんなで協力し合って、支えあって楽しくやっています」
「地域の人たちが、冠婚葬祭などで使ってくれるのがうれしい」「ポケットサイズで食べやすいしね」との声もあがりました。
パイを作っている間も楽しい会話が続きます。子どものこと、健康のこと、家族のこと・・・。気軽に話ができる情報交換の場、あるいはちょっとしたストレス解消の癒しの場として、ここは大きな役割果たしているようです。
ちょうどこれから「ふじ」の収穫に忙しくなりますが、真っ赤なリンゴがパイに生まれ変わると思うと、収穫作業も楽しくなるのだとみんな口々にいいます。
今後は「サクランボパイや、紫米入りの餅、みそクッキー」などの新商品を開発していきたいと、菓子部長の神田一枝さんは夢を語ります。そして付け加えました。「地元のもの、安心して食べられるもの、そんなこだわりを持って買ってくれる消費者が増えてくれればいいね」
宅配サービスは12月から
12月からは「おひさまの林檎パイ」の宅配も受けつけるそうです。価格は、パイひとつ150円×数量+送料+箱代です。お問い合わせは中野市豊田農産物加工施設 TEL・FAX 0269−38−3309まで。
なお、おひさまの林檎パイは以下の所でもお買い求めいただけます。ただし、数に限りがある人気商品のため、売り切れの場合もあります。運良く見つけられた時にはお早めにゲットしてくださいね。
おひさまの林檎パイ発売所
- 道の駅 ふるさと豊田
0269−38−2277
上信越自動車道豊田飯山ICを降りてすぐ
- JA中野市農産物産館オランチェ
0269−23−5595
上信越自動車道信州中野ICを降りてすぐ
- 豊田温泉公園 もみじ荘
0269−38−3030
中野市上今井3460−1
- 斑尾高原体験交流施設 まだらおの湯
0269−38−3000
中野市永江8156−649