キノコ

寒くて雪の多い信州には温泉天国があります

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小谷村の来馬温泉風吹荘から引いてきた温泉!

冬の信州の話をするならば温泉を避けてはとおれません。みなさんの大好きな長野県は、温泉地数239ヵ所で全国第2位、温泉自噴ゆう出量約5万リットル/分で全国第5位、年度宿泊利用人員約800万人で全国第2位、そしてそして、平成17年度温泉利用状況(環境省自然環境局データ)によると、公衆浴場数にいたってはぬわんと647軒で、ジャジャーン、全国第1位なのです!

温泉が好きなシイタケさんたちの話
そう、長野県は温泉地、湯量、温泉好き県民の三拍子そろった文句なしの「温泉天国」。寒さ厳しい信州の1月は、各地で雪が舞いますけれど、首から上を冷たい風に当たらせつつ、晴れ渡った青空の下、白化粧をした山々に囲まれる自然豊かな景色を見ながら入る温泉は、それはそれは、格別なもの。天国といった理由もおわかりいただけるかと。

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が、しかぁーし、今回ご紹介いたしますのは、数あるなかの名だたる温泉や温泉施設ではありません。温泉であたためられるのが好きなのは人間さまばかりではないのですから。なななんと、長野県の小谷村北小谷地区には、温泉であたためられて育てられているうらやましい「シイタケさん」たちがいるのです。

今回は、湯水こんこんとあふれる長野県から、全国的にも非常に珍しい温泉熱を有効利用した「菌床(きんしょう)シイタケ栽培」を紹介し、豪雪地の農家の新たな取り組みとその生き方をみなさんにお伝えいたしましょう。菌床とは、ブロック状のキノコの元となる殺菌培地のことで、主にオガクズや米ぬかなどに栄養源を混ぜて固めたもののことです。

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そこは有数の豪雪地帯
小谷村(おたりむら)は、長野県の最西北部にあり、中央に、日本海へ通じる姫川が流れ、東は上信越高原国立公園や鬼無里村、西は白馬連峰、南は白馬村、北は新潟県糸魚川市に接し、標高1,600〜2,800メートルの山々にぐるっと囲まれている奥深い山村。さらに小谷村は、通常1メートル以上の積雪を観測する県内有数の豪雪地帯としても知られ、それがために独自の食文化が発達したところでもあります。

菌床シイタケを栽培するのは「小谷村しいたけ組合」。組合は、道の駅おたりが管理するハウス「来馬温泉(くるまおんせん)熱ハウス」(写真)で、しいたけの栽培を行なっていました。

シイタケと温泉の出会いのおかげ
約1.5アールの室内、鉄パイプで組んだ棚に使われなくなった水稲育苗箱が敷かれ、菌床1,000個が栽培されています。ここのシイタケ栽培は、とにかく雪の多い冬場に、家族離ればなれになる出稼ぎに出なくても良いような仕事を提供し、同時に村の活性化を図ろうという狙いではじまりました。

組合の代表、吉岡作久栄さん(70)は言います。

「小谷村は雪が多くてね。昔はよく冬は出稼ぎにいったもんさ。現在では、温泉熱を利用することで雪の多い冬季でも順調な生産ができるんだよ。シイタケ栽培で大変なのは温度・湿度の管理だからね」

真冬のこの季節、朝晩の気温は当然マイナス。さらに日中0度を越さない日もあるのです。ところがハウスの中は、温泉熱を利用して夜間の温度は10℃、昼間は15℃、湿度は80%〜90%ほどに保たれているのです。 hosozawasan.jpg

温泉は、同村来馬地区にある来馬温泉風吹荘から引いてきています。源泉は40度近いお湯が湧き出ていて、パイプを経由して冷たい山水の入ったプールを25度ほどまで温めてくれます。

温まった山水を菌床の並んだ棚の下に流しながら温度・湿度を保つ栽培方式がとられています。温泉と水の豊かさと恵みを実感させられます。

シイタケも温泉が好きなのか
一緒に作業している写真の細沢清文さん(68)にハウスの特徴を尋ねてみると「ハウスでは、石油を使った自動加温機も使っています。しかし温泉熱を利用しているため、他のハウス施設より光熱費の低減も計られ、経済的にも、地球にも優しい栽培方法と言えるね。この栽培方法では、菌床のほうが原木を使うより効率よく栽培できるんだ。シイタケも温泉が好きなのかもね」と笑顔で教えてくれました。うーむ、シイタケも温泉が好きなのか・・・

組合代表の吉岡さんは「この施設は、昔から雪の多いこの土地で生きる人の知恵で出来たんだ。今は大きなお金にはならないけど、冬の貴重な労働と収入なんだよ。我々にはこれが、健康のもとであり、この土地の一つの生き方かな。今年は、石油価格の高騰でとても苦しいが、sitake3.jpgなんとか今後も高品質のシイタケを作って行きたいね」と夢も話してくれました。

味と食べ方について、吉岡さんは「通常のシイタケと比べご覧の通り、身がしっかりとして厚く、香りや旨味つまっていて上質なんだよ。鍋に入れて食べると最高さ」とにっこり。

温泉育ちのシイタケをよろしく
現在、シイタケは「温熱栽培しいたけ」として道の駅おたりで販売されています。同道の駅には、「天然温泉 深山の湯」が隣接し、旅の疲れを癒してくれることでしょう。お立ち寄りのさいは心のこもった温泉育ちのシイタケさんたちもおみやげにどうぞ。

道の駅おたり
〒399−9601 長野県北安曇郡小谷村北小谷1861−1
ウエブサイト
隣接する売店・深山の湯は、午前10時〜午後9時まで
電話:0261−71−6000
FAX:0261−85−1113
(シイタケの収穫予定は、2008年4月まで)

こちらは の記事です。
農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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