下高井郡野沢温泉村にある「野沢温泉のざわな蕪四季會社(かぶしきがいしゃ)」による、今年、平成22年度の蕪主(かぶぬし)募集は、このままでいけば5月上旬からになるようです。
「蕪四季會社に蕪主?」とは「ひどい誤字だな」と、そちらでお思いの方、いえいえ誤字ではありません。「蕪四季會社」に「蕪主」で、間違いないのです。
株式会社の「株」と野沢菜の「蕪」を、株式の「式」と「四季」をかけた、なんともシャレの利いたこの「会社」でなく「會社」。ユーモアのあるイベントで、野沢温泉村のファンを増やそうと、地元の観光協会を中心に運営されていて、昨年には20周年を迎えた、実に歴史ある「會社」です。
年1回開かれる「蕪主総会」には、なんと全国各地から毎年500〜700人の蕪主が訪れ、地元の人とのふれあいを楽しみます。半数以上がリピーターという蕪主のみなさんには、蕪主だからこその7つの特典があります。こちらもずいぶんとシャレが利いているので、紹介しておきましょう。
*上の図はのざわな蕪四季會社の図ではなく、野沢菜のもととなったとされる江戸時代の大阪の銘品・天王寺蕪(かぶら)の穫り入れの図。この蕪の種を野沢温泉に持ち帰って栽培したところ野沢菜になったという言い伝えがあります。野沢菜は残り、天王寺蕪はその後に途絶えたといわれていましたが、近年「天王寺蕪の会」の努力により復活を遂げています。
野沢温泉のざわな蕪四季會社 蕪主に与えられる7つの特典とは?
特典1 蕪券(かぶけん) 蕪主に申し込むと蕪の絵柄が入った蕪券が届きます。
特典2 蕪四季思情(かぶしきしじょう) 春・夏・秋・冬の年4回、野沢菜や野沢温泉村に関する四季の便りが届きます。
特典3 一番間引き(いちばんまびき) 9月上旬頃、野沢菜を間引いて、温泉で茹でたものが届きます。8月に種をまいて2週間ほどがたち、10センチに伸びた野沢菜を間引いたものになります。
特典4 蕪主配○(かぶぬしはいとう) 毎年、趣向をこらした「配当」が届きます。なぜ配当の当の字が「○」なのか?これは、毎年「○」の中に入る字が変わるからです。ちなみに、平成17年度は「配凍」(凍み豆腐)、18年度は「配冬」(ゆきだるま)、19年度は「配とう」(かりんとう)、20年度は「配湯」(みゆみすと=温泉を使った化粧水)、21年度は「配唐」(八幡屋礒五郎の唐辛子)でした。野沢温泉のざわな蕪四季會社次夢極(じむきょく)では、毎年度、この「とう」の字になにを当てるか頭を悩ませながらも楽しんでいるそうです。
特典5 蕪主総会(かぶぬしそうかい) 蕪主総会は、「野沢菜の日」に制定されている11月1日に毎年開かれます。この日は野沢菜畑での収穫体験のほか、地域に伝わる郷土料理など、地元のものしか出さない地元尽くしの懇親パーティーが開かれます。地元の人と楽しくすごせる機会で楽しみにしている蕪主の方が多いそうで、ご家族や友人同伴での出席も可能です。
特典6 蕪主配陶(かぶぬしはいとう) 野沢菜の絵柄が入った小皿が届きます。
特典7 野沢菜漬(のざわなづけ) のざわな蕪四季會社である以上、野沢菜漬は外せません。年2回(12月と翌年1月)、野沢菜漬が届きます。申込口数によって数量が変わり、5000円で1キロ(500グラム×2袋)が2回、6000円で2キロ(500グラム×4袋)が2回、7000円で3キロ(500グラム×6袋)が2回が届きます。
野沢菜がお好きな人はぜひ蕪主に
野沢温泉観光協会の片桐壽満(かたぎり としみつ)事務局長は、次のように話してくれました。
「野沢菜はもともと地域の保存食だったものが、スキー客などを通じて口コミで全国に広がっていったものです。コタツにあたり、宿の主とお茶やお酒を飲みながらつまんだ、いわば野沢のおもてなしの心の表れといえるものです。のざわな蕪四季會社の取り組みも、全国から集まる野沢菜好きのひとたちと地元の人とのふれあいを大切にしています。ぜひたくさんの人に参加してほしいですね」
この記事を読まれたのも信州のつなぐ縁、野沢温泉のざわな蕪四季會社の蕪主募集について詳しく知りたい方は、さっそく下記の野沢温泉観光協会までお問い合わせください。
野沢温泉観光協会
電話:0269−85−3155
FAX:0269−85−3883
住所:〒389−2502
長野県下高井郡野沢温泉村大字豊郷9780−4
営業時間:平日8:30〜18:00
土日祝9:00〜18:00
メール:info@nozawakanko.jp
公式ウェブサイト
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