野菜

長野県に良質な大豆が存在する理由を求めて

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豊富な栄養をもつとされる大豆。しかしそんな大豆も、いい種であってこそ、いい大豆も出来るわけです。え? そんなことは百も承知ですと? では、良い大豆となる大豆の種は、どこで育てられているかご存じですか? 今回は、良質な大豆となる種を生産し出荷しているエルダーのもとを訪ねました。

2月の上旬、昼間にもかかわらず、辺り一面すっぽりと雪に覆われて静まりかえる、山間の一本の細い坂道を登っていったその先の、とあるお宅の仕事部屋には、夫婦肩を並べてひっそりと、しかし着実に仕事を進めているおふたりの姿がありました。

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一部屋にこれほど大量の大豆は見たことがない
今年の1月に長野市と合併した昔の中条村、現在の長野市中条に住む宮沢忠義(ただよし)さんと奥さんの志津子(しづこ)さん。おふたりはここで、いままさに種となる大豆(ナカセンナリ)の選別をおこなっている最中で、訪れた部屋は、今までこれほどの大豆を一度に見たことがないという位に大量の大豆が占領していました。

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以前は「信州西山」と呼ばれたこの地域は、傾斜地で水はけの良い小さな畑がいくつも点在し、その当時から大豆栽培の盛んな土地でした。そして収穫される大豆は今でも"西山大豆"として味の良さに定評があるものです。宮沢さん夫婦も、毎年6月初旬に種まきをして、11月に収穫、根を抜いて4〜5日間畑で干した大豆を、真冬の農閑期に自宅の作業部屋で選別という一連の作業を、もうかれこれ30年近く続けているのです。

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それはおそろしいまでに神経を使う作業でした
大豆の選別方法は、先ずはじめにふるいに大豆を通し、粒の小さなものやゴミ等を振るい落して、次は残された大きな粒のものについて選別し易いよう少量ずつ箱に入れて揺すりながら見ていき、さらにはひとつひとつを手で転がしながら粒が欠けていたり、病気に掛かっていないか等を見極めつつ、粒全体をくまなくチェックして、一粒一粒、良いものと悪いものを選り分け、種となるのに相応しい質の良い大豆を選別していく、とてつもなく神経を使う作業です。

「もう目がショボショボしちゃてかなわんねぇ」

と嘆く志津子さん。実は忠義さんともども夫婦そろって今年で87歳になりますが、小さな不良部分を見つけるのにも神経を使い、体にこたえます。しかも一部でも不良品があると、そっくり全部が返品され戻ってきてしまうというのですから、すこしも気の抜けないのです。

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今年は、昨年収穫の600キロの大豆について出荷となりますが、聞けば昨年の長雨の影響で、紫色の斑紋をもった紫斑病などの病害やさらには美味しい大豆を狙っての鹿の被害によって、収穫は減ってしまいました。でも「県内の良質な大豆を生産するために、体の続く限りは続けていきたい」と、それでも忠義さんは温かな表情で話すのでした。

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ほんとうにほんとうにありがたい仕事
それがとてつもなく重要な仕事であることは誰の眼にも明らかです。長野県の良質な大豆はここからはじまっていました。話を聞いたあとは、ありがとうございましたとしか、言葉がありませんでした。

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農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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