「ナガイモなのにサイズが短いナガイモ」を紹介させてください。なに、短いナガイモ、だぁ? そうです、そうなんです、短いナガイモなんです。みなさんがご存知のナガイモより、短いナガイモ。この短いナガイモ、その名を「とっくり芋」と申します。以後よろしく、お見知りおきください。
「とっくり芋」は、3年ほど前より長野県信濃町を中心に栽培がはじめられました。地域に元気を与える特産品を育てたいと、農家が希望を胸に栽培を開始した、まだまだ新しい一品です。全国的にも、ナガイモを多く栽培する長野県においても、まだまだめずらしいナガイモです。
丹精こめてとっくり芋を栽培する信濃町の生産者、木村勝昭さん(66)に話しをうかがいました。
トーク・アラウンド・ザ・とっくり芋
「長野県信濃町」は、長野県の北端に位置して新潟県に接し、北は妙高山を背に、西には黒姫山、南は飯綱山と戸隠山、東は斑尾山と、ぐるっと北信五岳に囲まれています。そこは有名な俳諧師、小林一茶の生誕の地でもあります。木村さんはこの土地で、米を中心にナス、ケール、カボチャなどを栽培する農家。さっそく、木村さんに「とっくり芋」の話しを聞いてみましょう。
どのくらいを栽培されているのですか?
木村:「現在、信濃町を中心に10人の農家が、約1ヘクタール栽培しています。今年は、約10トン収穫できたかな。収量は上がってきてるけど、納得は出来ないね」
栽培して3年が経ち、いかがですか?
木村:「まだまだ、芋ははじめたばかりだから無我夢中さ。農業が好きでね。なにかはじめるということは嬉しいよね」
どうして栽培をはじめることに?
木村:「信濃町は県内でも雪が多く降る地域でね。雪が降ると農産物は作れない。そこで、土地にあった農産物でなんとか冬場の現金収入につなげられるものを地元農家とJAながので協力して探していたんだ。そこで出合ったのがとっくり芋というわけだよ」
ナガイモの2倍はねばりがある
特徴はなんですか?
木村:「なんといっても大きさだね。食べられるところが50〜60センチと短いんだ」
なぜ短い芋がよいのでしょうか?
木村:「短いと、軽くて運び安いだろ。農作業も労力が少なくてすむんだ。われわれもいい年齢だからね(笑)。また、消費者のみなさんへ、ギフト用でほとんど出荷しているんだよ。ナガイモに比べ小さいから、家族の少ない家庭でも食べきりサイズが好評で、思っていた以上に喜ばれているよ」とニッコリ。
栽培は難しいですか?
木村:「基本はナガイモ。作り方は同じです。当然手はかかるけど、短い分掘り起こすのも時間がかからない。それに他の農産物と栽培時期が違うから、比較的育てやすいんだ。それに、土壌も信濃町の水はけのよい火山灰に適している」
味は?
木村:「それが、ナガイモの倍はねばりがあって、うまいんだよ。また、火山灰との相性がよくて、風味が生まれ、食べた方からは大変好評をいただいてる」
今後の展望は?
木村:「3年目になり、知名度も少しずつ広がっている実感はあります。今後はさらに量と質を高めたい。まだ時間はかかるけど、信濃町をとっくり芋産地にしたいんだ」
農業のおかげで若くいられる
木村さんにとって農業とはなにですか?
木村:「農業とは、若さを与えてくれるものです。農産物は手間隙をかけた分、良い農産物に育ってくれる。納得のいく農産物が出来たときの喜びは感動だよね。この喜びや感動がわたしに力を与え、さらに若くしてくれるんだよ」
取材に尋ねたのは1週間程前の12月上旬。昨年に味を知ってもらったお客さんからの要望でギフト用はすでに完売していました。遠くは九州へも贈られたそうです。もちろん、木村さんも満足そうな顔。
「とっくり芋」をはじめ農業へ情熱を注ぐ木村さんや生産者のみなさんと、信濃町地域を管内に持つJAながのでは、今後さらなる産地化を目指し、来年の計画を立てています。長い目で育てられる短いナガイモ「とっくり芋」は、将来が楽しみな作物なのです。
とろろもいいが、よりうまい食べ方も
この「とっくり芋」は、すりおろしたとろろも良いですが、オススメは一口サイズに角切りにして少し醤油を少々かけていただく、これが絶品なのですとか。
「とっくり芋」についてさらに興味のある方はJAながの営農指導部、電話026(224)3703におたずねください。JAながの長沼農産物直売所のアグリながぬまには少量ですが「とっくり芋」が出荷されている場合もあります。ただし、まだまだ収量が少ないので、品物がない場合もあることをご了承下さい。
JAながの長沼農産物直売所アグリながぬま
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