長野県はナガイモ出荷量が全国3位※です。
※農林水産省「令和3年産指定野菜(秋冬野菜等)及び指定野菜に準ずる野菜の作付面積、収穫量及び出荷量」より
ナガイモの収穫は11~12月に行う「秋掘り」と、3~4月に行う「春掘り」の2回。今は秋掘りの真っ最中です。
松本盆地の南西部に位置し、景勝地として有名な上高地のふもとにある山形村は、長野県内一のナガイモの生産地です。山形村のナガイモは強い粘りと甘みが特徴で、その味わいの良さは上高地・焼岳の火山灰土による大地の恵みあってこそ。
今回は山形村のナガイモ畑を訪れました。
火山灰土のミネラルが
粘り・コク・甘みを生む
JA松本ハイランド 根菜部会部会長・ナガイモ専門部長の中川信隆(なかがわ・のぶたか)さんに話をうかがいました。
中川さんは先代からナガイモ農家を引き継いだ35年目のベテランで、約80aの農地でナガイモを栽培しています。ナガイモのほかにスイカ(130a)の栽培にも力を入れています。
「ミネラルをたっぷりと含んでいる肥沃で水はけのよい火山灰土のおかげで、粘り・コク・甘みの3拍子がそろったナガイモが育ちます」(中川さん、以下同)
ナガイモは、ほかの産地では砂地の土壌で栽培されることが多いのですが、トラクターでナガイモの周りの土を掘り起こして効率的に収穫することができます。
一方で火山灰土壌では1本ずつ手作業で収穫します。大がかりに掘り起こして、かためてを繰り返すと、土が固くなり、ナガイモがまっすぐ育ちにくくなるからです。
トレンチャー(奥)と芋掘り棒(手前)で土を掘ります
朝7時30分から収穫を始め、秋冬は日が暮れるのが早いため、15時に急いで片づけをします。
「作業できる時間が短いので忙しいですが、焦って収穫すると傷をつけたり折ってしまう危険があるので、気をつけないといけません」
ナガイモは1本あたり重量は1~1.4㎏、長さは1mほど。重くて長いので収穫にも注意が要りそうです。
出来栄え上々!
ナガイモのおいしい食べ方
異常気象が当たり前になってきた最近ですが、中川さんはJA根菜部会の講習会や仲間同士の情報交換などを通じて、異常気象に負けない畑づくりのため管理作業に一生懸命取り組んできたそうです。
今年は7~9月に適度な降水量があり、9月に温度が高かったため、ナガイモの肥大化が進みました。立派でおいしいナガイモがたくさん収穫できています。
とろろにして新米や新そばにかけて食べたら、たまりません。
粘りのあるとろろ
とろろかけ新そば
ナガイモは皮も食べることができます。地元農家はとろろにした残りの皮を素揚げにして食べるそうですが、香ばしくておいしいです。
ナガイモの皮とナガイモの素揚げ
こちらは皮ごとナガイモを米油で炒めて、塩をまぶしたもの。火が通るとホクホクした食感になります。皮つきのフライドポテトを食べている感覚で、皮は全然気になりません。好みで七味をかけてもおいしいです。
ナガイモはカレーや味噌汁など煮てもおいしいのですが、皮つきで煮ると煮崩れしにくくなるのでおすすめです。
JA松本ハイランドのナガイモは直売所や長野県内のスーパーを中心に販売され、一部は関東方面へも出荷されます。オンラインショップでも販売しています。
今年のお歳暮に長野県産ナガイモはいかがですか。