お米にとって味はきわめて大切です。どうせ食べるのならおいしいお米を食べたいと、誰もが思います。JAの食糧専門会議は食味の向上に力を入れていて、毎年食味調査を行ってきました。今年は3,200点の食味調査を行い、その結果の成績の高いお米が、全国米・食味分析鑑定コンクールに出品されました。平成17年に行われた第7回コンクールにおいて、総合部門の特別賞に入選したのが、今回紹介する安曇野の淺川さんのコシヒカリでした。とにかくうまい米を食べたい人には、絶対のおすすめのお米を作る人物なのであります。
経験がものをいう米作り
安曇野市堀金烏川(ほりがねからすがわ)で農家をしている淺川利夫さん(67)は、JAあづみの理事を務めて現在2期目になります。5.3ヘクタールの自作地と6ヘクタールの借地で米と麦を栽培する米作り50年の超ベテランです。米というのは、普通1年に1回きりしか作れません。米作りは年を重ねる経験がものをいう世界なのです。また、アールスメロン(マスクメロン)やホームランメロンなどメロン栽培にも20年間取り組んできました。「就農時は米1俵が勤め人の1カ月の給料だったな」と淺川さんは感慨深そうに振り返ります。就農時は2.3ヘクタールの自作地でしたが、この50年、換地などでここまで田んぼを増やして来ました。
「米の食味は出穂後の天候にも左右されますが、土づくりが一番のポイント」と淺川さん。現在は3人いる息子の末っ子の「たく」こと淺川拓郎さん(25)が2年前に就農して、淺川さん夫婦とともに米づくりに励んでいます。
だからお米がうまい
JAあづみ管内は、長野県内でも良質米地帯。北アルプスから流れ出るミネラルたっぷりの雪解け水と、盆地型気候に恵まれ、夏場の気温の昼夜の温度差が大きく、充実した品質で良い食味のお米が収穫できるのです。
冬場は厳寒ですが、夏も冷涼な気候のため、病害虫の発生が少なく、全国の平均防除回数(農薬成分数)が17回のところ、JAあづみ管内は、その回数が12回と少ない地域。JAあづみは、環境への負荷の低減を持続的に実施するシステムを構築するために要求される国際標準規格ISO14001の認証を取得して、環境にやさしい農業を推進しています。
特別栽培米「ヌカっ子」
淺川さんは3年前の平成14年からは特別栽培米にも取り組み、地元でとれた米ぬかを主体に大豆かすなどを原料にした肥料を使った、田んぼから獲れたものを田んぼに返して再利用する循環型農業に、取り組んでいます。この特別栽培米を「ヌカっ子」と名付けて、防除回数も6回以下に限定して栽培し、販売しています。「減農薬、減化学肥料で栽培するため、収量は落ちますが、安心できる安全でおいしいこだわりの米づくりをしています」と利夫さん。また、テレビのコマーシャルでご覧になった方もあるかもしれませんが、トーヨーライスが販売している「胚芽を少し残した金芽米(きんめまい)」に適したお米として、JAあづみの米は出荷されています。
豊かな大地だからこそ
淺川さん親子が米づくりをする田んぼは、北アルプスの常念岳や有明山といった安曇野の代表的な風景を一望する風光明媚な田園地帯にあります。水利は北アルプスの雪解け水の清流や奈良井川から取水する拾ケ堰により潤っています。
「ここの風景は国内でも最高に自慢できます」と胸を張るのは息子の拓郎さん。子供のころから農家になるのが夢だった拓郎さんは、大学卒業後、県内外の先進的な農業法人などで研修を経験してから就農。現在は地域の先輩から教えてもらった夏秋イチゴの栽培にも取り組んでいる最中です。将来は、農産物の加工にも挑戦したいと夢は広がります。
最近の米価の下落は、淺川さんたちの経営にも大きな打撃を与えています。「国の政策が変わるたびに振り回されることがないようにしたいですよね。大規模農家になる夢を持ち続け、米を中心としながら、メロンやイチゴの複合経営を目指します」と淺川さん親子。
親と子で作るこだわりのお米は、安曇野市堀金にある農産物の直売所「旬の味ほりがね物産センター」で「淺川さんちのお米」として販売中です。
淺川拓郎さんの連絡先
TEL:0263−73−1195
FAX:0263−73−4192
ブログ:
あづみのうか
信州 安曇野での農作業、農家の生活をお伝えします