桃食べて もっと長生き するつもり
7月発表のおいしい川柳で、いいJAん!信州大賞を受賞した一句です(名古屋市の「ぷらいむ」さんの作品)。桃には霊力があり、古代中国では仙人になるために桃を食したとの言い伝えがあります。
現在、長野インターから長野市内へ向かう途中の青木島交差点で、この川柳の大きく書かれたビルボードが目に入るたびに、不思議な力を持つおいしい桃をたくさん食べて、心も体も元気にさせて、長生きしたいという願いの表れでしょうか、無性に桃が食べたくなってくるのです。
信州の夏の果物といえばスイカを思い浮かべる方も多いですが、桃だって負けてません。甘くて水分たっぷりの桃は、暑い夏にかぶりつくにはもって来いの果物。渇きを癒す力が大で、胃の喜ぶ食べ物。種類も沢山あり、夏というトップシーズンの短い期間で、いくつも異なる味を食べ比べられるのも、桃の魅力のです。
でも、ですね、「桃は当たりハズレが大きい」というイメージはありませんか?
つまり、おいしい桃も、おいしくない桃もそれなりにあって、それだけおいしい桃を作るのは難しいということなのです。しかし、そこは奥の深いのが農的世界、やっぱりいらっしゃるのですね、とにかくおいしい桃を作ると評判の農家さんが。
いったいどんなこだわりが、あるのでしょうか?
長野市の南部に位置する篠ノ井(しののい)。1998年に長野オリンピックの開閉会式が行われた会場のすぐ近くに、桃園はありました。園主の矢島憲夫(やじまのりお)さんは、地元のJAグリーン長野のもも部会長です。更には全農長野の果実専門委員会でも、モモ部会長を務めています。矢島さんの作る桃は評判が良く、いろいろな所から売ってほしいという声がかかります。
まずは土にこだわる
まず大事なのは土づくりだと矢島さんは言います。グリーン長野の桃農家は全員が県のエコファーマーに認定されており、農薬や化学肥料を最低限に抑えた持続性の高い栽培をしています。
「畑に草が生えてるでしょ。これはわざと除草してないんだよ。草があると根っこが土に深く張るし、ミミズとかが土に住めるから、土を勝手に耕してくれる。微生物が増えて有機物を補給してくれたりするし、刈った後は放置して肥料になるしね。草生(そうせい)栽培って言うんだよ」
雑草が生えていると養分を吸ってしまい良くない、として除草してしまう農法もありますが、草刈などのタイミングを間違えなければ、雑草は土作りにとても役に立つようです。病気に弱く、虫などに食べられやすいので農薬が欠かせない桃栽培ですが、現在は出来るだけ自然と共存しながら品質を上げていこうという方向にシフトしているのですね。
更に木づくりにこだわる
桃の木を育てる時から、こだわりははじまっているんです。と言っても、桃の種を蒔いてから大事に大事に育てる。。。というワケではありません。桃は、台木となる強い木(原生種の桃の木が多いようです)に切れ込みを入れて、そこに育てたい種類の桃の芽や枝を接ぐ「接木」や「芽接ぎ」をする方が、強い木に育つからです。既に接木された苗木を購入することも出来ますが、矢島さんは全て自分の手で接木を行っています。
「買って来た苗だと、どんな桃が出来るかわからないよね。その点、美味しい桃を作ってくれると分かっている木から枝をとって来て接げば、安心して育てられるし、将来実る桃の品質にも自信を持てるんだ」
と矢島さん。うまく木同士がつながらず、失敗することもないわけではないようですが、そういったこだわりがあってこその、安定した高品質を生み出すひとつの要因のようです。
そして枝づくりにこだわる
「この木は失敗だよね」一本の桃の木の前で、少し苦笑いしながら、矢島さんが話しはじめました。「本格的に桃作りはじめた頃だったから分からなかったんだけど、この枝はここで伸ばすべきじゃなかったんだよな・・・」
なんの話かと思えば、枝の伸ばし方のようです。上から伸びている枝が下にある枝と同じ方角に育ってしまい、少し日光を遮ってしまっているとのこと。
桃は自然のままだとたくさん枝を生やします。おいしい実をつけるには、その中から、どの枝を育てるかを選ぶことが重要なんだそうです。
枝が生えてきた位置によって、どんな枝になるのか、どちらに伸びるのかを考え、これだ! と思った枝以外は、育つ前に剪定してしまうのです。そうやって、まんべんなく日の光が当たるように、たくさんある枝のなかからただ1本の枝を選んで残し、全体をデザインしていくのです。
こだわりが生む信頼 桃作りは、一年中作業があり、頭も使うし、手間もかかって大変だとか。ですが、矢島さんは
「矢島さんの作った桃、美味しかったよ!」
と言ってもらえる事が何よりも嬉しくて、今年もおいしい桃を作ってやろうと思ってがんばっているのだそうです。
収穫した桃は厳しく選別(等級分け)しているため、品質が安定しています。おいしい桃を作るための数あるこだわり。そういった生産に対しての誠実さが、矢島さんの作る桃が信頼を得ている理由でした。
お知らせ★チャリティーセールで川中島白桃が予約販売中です!
さて、桃のシーズン真っ盛りです。現在出荷されている「川中島白鳳」「あかつき」などに加え、これからは「なつっこ」「川中島白桃」など、9月上旬までつぎつぎと出荷されていきます。
今、JAタウンで開催中の「長野県のおいしい食べ方300号記念チャリティーセール」で、グリーン長野の「川中島白桃」の予約が開始されました!! 収益金は全額、東日本大震災・長野県北部地震の義援金となります。とてもお得な値段で、上の記事で紹介した桃作りにこだわる矢島さん達JAグリーン長野もも部会の方々の作った桃を、どうか召しあがってみてください!!
「長野県のおいしい食べ方300号記念チャリティーセール」のページ