果物

今年は格別に甘くて美味しい桃ができました

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「長野の桃は日本一美味しいと思うんです」

そう語気を強めたのは、1998年に長野冬季五輪オリンピックで世界の舞台となったオリンピックスタジアムのある南長野運動公園の近くで、親の後を継いで桃の栽培をはじめて今年で10年目をむかえた荒井一男(あらいかずお)さんです。

旬を迎えて真っ赤に色付いた桃に誘われるように、荒井さんの桃畑に足を踏み入れてみると、収穫を待つばかりなまでに生長した、たわわな桃たちの甘くかぐわしい香りが、そよ風にのって鼻をくすぐります。桃たちを満足そうに見上げて荒井さんが言いました。

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「これが自分たちが幸せな時なんです、このときが一番。それまで苦労してきたことが今実る時なんです」

少しホッとした表情。でも今年は凍害、そして雹(ひょう)と、農家には大変なスタートだったことを話してくれました。そしてその後の天候の回復、梅雨明けからの晴天続きのおかげで、栽培を始めて10年目となる荒井さんが初めて味わう「今までにないくらいの甘さです。すごくいい出来」になったのです。

驚くほどに甘くて食べ応えもある
実際、今収穫している"あかつき"でも、収穫の度に測定する日々の糖度を平均すると、糖度13度以上が桃の高糖度とされる中で、荒井さんの作り上げた桃は15度以上の糖度がはじき出されています。さらに別の品種の"白鳳"の果肉を絞ってみると、糖度計のメモリはなんと20度以上を示したではありませんか。とにかくまぁ驚くほどに甘く、そして大きな食べ応えのある桃ができあがったのです。

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なぜ長野の桃が日本一というのか
「花が咲いて実を結んでからその実が出来上がるまでの時間が長い長野のこの地だからこそ、じっくりと生長して実が大きくて、そして甘味ののった美味しい桃が出来あがるんです。だから長野は日本一だと思うんです」

荒井さんは長野の桃が特に美味しい訳を説明してくれました。さらに続けて、

「肥料っていうのは土にくれるじゃないですか、それが葉っぱにもくれるんです。根からも栄養を吸収するし、葉っぱからも吸収するんです。それが甘味にかわり、見た目にかわり、消費者に喜ばれる果物を作るコツなんだと思います」

と荒井さん家の桃が美味しい理由も教えてくれました。荒井さんが桃の栽培をしているここは、国内に留まらず今や海外進出まで果たしているあの"川中島白桃"という桃の銘品を生んだ土地です。長野市の犀川と千曲川に挟まれた標高400メートル程のこの場所は、天気の良い日が多く、また7月から8月にかけての降水量は比較的少なく、そして夜と昼の寒暖の差が大きいこと、さらに、もともとこの土地が桃の栽培に適する土であったという、桃に最適な、恵まれた多くの条件が整っていることもあったのです。

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わたしが桃を好きな理由
「手間はかかりますが、桃が好きなんです。桃が大好きなんですから」荒井さんは言います。「たとえ隣の畑であっても、与える肥料や日当たりの状況などによってまったく味の違うものが出来あがるんです。だから桃は作る人によって味が全然違うから面白いんです」

さらに精密機械関係の仕事にも携わってきた荒井さんならではの、農業用機械を造ったり、また使い易いように機械を改造して農業を行なうことも、楽しみのひとつとなっているのです。

「だけどまだ10年、人間にたとえれば小学生でしょ。だからこれからもっと栽培の研究と経験を増やして、美味しい桃を作っていきたいんです」荒井さんは瞳を耀かせました。

おいしい桃の見分け方のヒント
現在200本の桃の樹を所有している荒井さんですが、行程にはその実のひとつひとつに袋をかけるという大変な作業があります。しかしそれによって直接実に消毒がかかるのを防いだり、時期がきてその袋をはずす時、突然太陽の眩しい光を浴びた桃は驚いたように急激に、そして鮮やかできれいな色をつけるのだそうです。そうして「いい香りになってきたなぁ」と桃が放つ香りを嗅いで確認しながら、いよいよ収穫の作業がはじめられるのですが、桃を選ぶ場合は「白い斑点があるものを選ぶことです」と消費者が選ぶための美味しい桃の見分け方をそっと教えてくれました。

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"桃"とひとくちに言っても荒井さんの畑で作られている桃は、細かくは7月上旬からの"たまき"という品種にはじまり"なつき""白鳳""千曲白鳳"そしてお盆前頃に収穫を終える"あかつき"、そして盆開け頃までが収穫となる"川中島白鳳"、さらにはその後の"夏っ子"、そして"川中島白桃"と、様々な品種を手掛けており、9月上旬まで収穫と出荷作業に慌しい毎日が続きます。

桃を育てる技術と知恵を次の世代と分けあいたい
しかしいくら忙しくとも「桃の栽培に携わっていなかった昔は外に出て日に焼けることなんてほとんどなかったでしょ。それが今では『いい顔になったね』と妻に言われるほどです。やっぱり、お日様の光を浴びたほうが人間、健康的でいいんです。やっぱり親が作っていた桃づくりを続けていくことが目的なんです」と語り、必然的に足を踏み入れることとなった農業の生活がすっかり気に入ってるらしく、元気な笑顔を向けてくれました。

全国的な桃の産地として、今や全国でも栽培される桃を次々と誕生させてきた川中島の桃、それらの桃が現在、他県での生産量を増やす一方で、皮肉にも県内の生産量はといえば高齢化をはじめるとする問題などによって生産量は減少している状況にあります。そうした状況を危惧し「長野県で生まれた桃を、品種、品質、そして数量等守っていかなければ」ということが荒井さんは常々気にかかっているといいます。そして県内には桃作りの若者がほとんどいない現状に対して「自分がこれまで蓄積してきたもの、そして自分の考え方を残す意味でも、若い人にはどんどんと同じやり方を伝え教えていきたいんです」と全国に名高い桃を生んだ川中島の桃を支える意志を見せてくださいました。

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川中島の桃を食べてみてください
糖度が高く、いい出来となり、とりわけ評価の高い長野県産の今年の桃。昔から桃は美味しいばかりでなく、血の巡りをよくすると言われてきましたし、食物繊維のペクチンが多いため、整腸作用や癌予防等の効果も期待されます。今年は長野県産の美味しい桃で、読者のみなさんもこの暑い夏を乗りきってください。

荒井さんの桃をお求めご希望の方は、事前に荒井さんの携帯電話 090−3819−8891へ連絡を。また荒井さんをはじめ、川中島で育つ特別な桃は下記の場所で販売されています。

・JAグリーン長野 川中島共選所・・・・電話026−284−4475
・JAグリーン長野 西部流通センター・・電話026−293−4668
・JAグリーン長野 東部流通センター・・電話026−292−0082

参考サイト:JAグリーン長野のホームページ

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農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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