野菜

特集 春の育て人 --ハウス野菜案内

信州では、暮れから元日にかけて大雪となり、すっかり冬景色となりましたが、ハウスの中では元気に野菜たちが育っています。そこはすでに春真っ盛りで、収穫された野菜は、地元の直売所を中心に販売されています。そうした春を先取りした野菜たちを求めて、直売所出荷の生産者のみなさんを訪ねました。

太田哲正さん・艶子さんご夫妻

JAながの 

長野市屋島にある太田さんのハウスでは、ホウレンソウ、小松菜、ミズ菜が栽培されています。哲正さんはいわゆる「定年帰農」派で、本格的に農業に取り組んだのは会社を辞めてから。艶子さんが6年前から、哲正さんは2年前からレタスとキュウリの栽培をしています。現在栽培している冬場の葉物野菜は、レタスの育苗用ハウスで初めて取り組みました。自家用プラス直売所出荷をしています。「ささやかな量で恥ずかしい」と艶子さんは話しますが、ホウレンソウは長野県の「環境にやさしい農産物」の認証を受けています。農薬の使用回数と化学肥料を30%減らした栽培で、有機質堆肥を入れて土づくりにこだわっているのです。「手間はかかりますが、安全・安心で旬のおいしいものを作っていきたい」「アグリながぬま(直売所)があるから、これくらいの量でも、販売できる」と、太田さん夫婦は笑います。屋島地区ではハウスでキュウリやトマトの栽培が盛んで、2月になるとハウスでの種まきがはじまります。

柴正人さん 矢澤秀明さん 大野智司さん南部営農組合

JA上伊那 

柴さん、矢澤さん、大野さんの3人が所属する南部営農組合がハウス栽培に取り組んだのは昨年から。「営農組合」というのは地域の農家が集まって作られた組織で、南部営農組合は50名ほどで構成されていて、梅やジャガイモなどを栽培するほか、野沢菜の収穫体験や地元の保育園児の野菜作り体験を企画するなど、様々な取り組みで地域を盛りあげるのに貢献しています。栽培にはJAの育苗ハウスを使います。育苗とは苗を育てることで、1年のうち限られた期間しか使用しないため、使われずに空いている期間にハウスを有効活用しようと、柴さんらが野菜作りをはじめました。組合で作っているのはニンジン、京菜、冬菜、便利菜で、ニンジンはベータリッチという品種を栽培しています。甘味が強く色が鮮やかなのがこの品種の特徴で、ジュースにしたり生でサラダにして食べるのに向いています。野菜は全てJA上伊那の直売所「ファーマーズあじ~な」で販売され、高い人気を得ています。現在、ハウス1棟で栽培していますが、育苗ハウスがほかにもあるので、規模の拡大や品種を増やすなど「みんなで話して決めていきたい」と柴さんは話します。

酒井悦男さん

JAグリーン長野 


長野市松代清野の酒井さんのハウスでは、ホウレンソウ、小松菜、オータムポエムが栽培されていて、12月下旬からAコープ松代店や地元の量販店に出荷されています。オータムポエムはアスパラ風味の新しい野菜で、菜の花のようにおひたしや和え物でいただきます。黄色の花が春っぽくて好評だとか。寒さに弱いため、ビニールを2重にかけて栽培します。酒井さんはトマトとキュウリを36アールの施設で栽培しますが、1月の下旬には苗の定植がはじまります。苗は四国で栽培されたものを使います。まだ、寒い時期なのでハウスは加温し、土中にもお湯を通して地温を高めて、ハウス内は常時14度から15度に保ちます。「人間サマよりも待遇が良い」と酒井さんは苦笑い。

この時期の代表的なハウス野菜

ホウレンソウ
ビタミンやミネラルが豊富で、漫画ポパイの活力にも一役買っています。おひたしやバター炒めで。消化のよい食物繊維が胃腸を整え、便通をよくします。西洋種と東洋種の一代雑種ができ、周年栽培が可能となりました。冬場のものは、栽培日数が長いため、栄養的にはこの時期のものが良いとされています。

小松菜
江戸時代から親しまれている伝統野菜。栽培期間が短く、いろいろな環境に対応できる小松菜はハウス栽培、トンネル栽培、露地栽培と1年を通して生産されます。冬には冬菜とか雪菜と呼ばれています。霜や雪にあたると繊維が柔らかくなり、甘くなっておいしくなります。

ミズ菜
ミズ菜は、ギザギザした形の葉の野菜です。京菜という別名もあり、伝統的な京野菜で、京都を中心に関西地方で多く生産・消費されています。カロチンやビタミンC・Eが豊富に含まれています。風邪の予防になるともされていて、寒い冬にはピッタリの野菜です。

春菊
春菊は11月から3月に旬を迎える冬の食卓には欠かせない野菜です。肝機能を増強し、腸内の老廃物質を排出する漢方薬として使われています。カロテン、ビタミンB2・C、カルシウム、鉄分などを豊富に含み、他の緑黄色野菜にくらべ、ミネラル分や食物繊維も多く含まれます。


*12月31日から1月1日にかけての降雪で、長野県内のパイプハウスが倒壊する被害が発生しました。74件、2.3ヘクタールの生産施設で、被害金額で約2千万円の被害となっています。被害に遭われた生産者の皆様にお見舞い申し上げます。

こちらは の記事です。
農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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