「ガブリエル」をご存じですか? 聖書に出てくるガブリエルは、「神のことばを伝える天使」です。でも、このガブリエルは、ガブリエルはガブリエルでも、その天使のガブリエルのことではありません。われわれのガブリエルは、カラーピーマンの新品種で、甘味が強く、細長くて、大きくて、そのままガブリとかじって、生で食べられるから「ガブリエル」っていうのです・・・
期待を集めるガブリエル
カラーピーマンの栽培は長野県ではみなさんもご存じの「パプリカ」の導入を進めて6年目を迎えますが、近年、高糖度のカラーピーマンの育種がされ、先進地での商品化が進んできていて、長野県でも昨年、試験場や現地で試作が行われた結果、病気になりにくくて、収量も期待できる「ガブリエル」を導入したのだそうです。現在、須坂市と小布施町の農家で7件、中野市で6件、他にも飯田市などで栽培されています。
緑が黒ずんで赤に黄に!
このガブリエルを栽培している小布施町の小林憲一郎さん(写真)のハウスを訪ねました。小林さんは、巨峰を中心としたブドウやリンゴ、桃、プルーンを生産する果樹農家で、3年前からパプリカを、ガブリエルは2年目になります。ハウスのなかへ入ると、ピーマンのにおいでいっぱい...。まだちょっと早かったようですが、赤や黄色に色づきはじめていました。色づく前は緑色で普通のピーマン。だんだん黒ずんでいって、あれあれ不思議! 鮮やかな赤や黄色に変わっていくのです。ガブリエルはパプリカに比べて、節と節の間が長いので、成長が早く、高さが3mにもなるそうです。
「ネットを張って枝を這わせていくのに苦労します。ちょっと手をかけないでいると枝が折れちゃうので」
茎が1センチほどにも太くなるパプリカは、はさみが入らずナイフで収穫するのですが、ガブリエルは節間が長くパプリカより茎が細いので、比較的収穫はしやすいそうです。また、水やりも大変な作業のひとつで、1日3回2リットル以上くれるとか。水分が十分でないと、カルシウムが欠乏して、表面が腐ってきてしまうのです。
ガブリエル、この味はいったいなに?
「まあ、とにかく食べてみて」
といわれて、その名のとおりガブリといってみました。
いやいや、甘〜い!
「子どもたちはおやつに食べてるよ」と小林さん。
ホントにフルーツ感覚で食べられます。聞けば、パプリカの糖度は12〜13度、ガブリエルは2度ほど高く15度もあるのだそうです。甘いわけです。形もパプリカと比べると細長く、皮が薄くて、種も少なく、料理しやすい! さらにビタミンCが豊富とくれば、これはもうガブリエルを食べないわけにはいかないでしょう。ピーマンが嫌いな方も大丈夫!
食べれたら幸運が
出荷は7月下旬から本格的になり、霜が降りる11月下旬ごろまで続きますが、栽培は今年から本格的にはじまったばかりで、まだまだ全体の量は少ないのですが、もしもスーパーなどでカラーピーマンを手にとる機会があったら、それががぶりと食べれる「ガブリエル」かどうかチェックしてみてください。あなたが幸運に恵まれますように。