キノコ

きのこ王国のぶなしめじ栽培施設を見学に

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なんともはや神秘的な光景ではありませんか。光といい、かすみ具合といい、写っているものといい。これがなになのかおわかりになりますか? 実はこれ、ぶなしめじたちなのであります。最近きのこ類の薬効がさまざまに研究されて、制ガン効果や、血液サラサラ効果や、老化防止などの面で「健康維持機能を促進させるものである」ことがわかってきていますけれど、わたしたちの暮らすこの、世界でもまれなきのこ大国日本で、今、注目されているのが「ぶなしめじ」です。そう「ぶなしめじ」。さらに言うなら、われらが信州には「ぶなしめじ」は「ぶなしめじでも」、ふつうの「ぶなしめじ」とはちょっと違う、スーパーな「ぶなしめじ」が...そうです、「スーパーやまびこしめじ」が、あるのです! 今回は、信州の最北に位置するJA北信州みゆき管内で、このきのこ産地を支えるひとり、岸田幸男(きしだゆきお)さんの、やまびこしめじの栽培施設へご案内いたします。

 

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わたしが育てています
長野県はきのこ生産量の中でも、えのきたけ1位、ぶなしめじ1位、なめこ1位、と、まさに日本一のきのこ王国なのです(林野庁「平成16年特用林産関係資料」)。JA北信州みゆき管内では年間、やまびこしめじ8000トン、えのき4500トン、なめこ1100トン、計13800トンを生産します。これだけの量の生産を可能にしているには理由があります。北信州は冬がとっても厳しくて、雪も多く降る地方で、冬に農作物が育ちません。そこで、施設栽培が可能なきのこが昔から副業として注目されたのです。

 

岸田さんは約100人からなる「やまびこしめじ生産部会」の部会長。やまびこしめじとは北信州で育てられる「ぶなしめじ」の名称です。岸田さんは、平成元年に脱サラし、実家で農業を一から学びました。それまで家ではタバコ栽培をしていましたが、需要が減っていたことや冬場の収入減少から当時振興作物として注目されていた「きのこ」を栽培するを決心したのです。当初は多くの農家がきのこ生産に名乗りをあげたといいます。現在岸田さんは、自分の施設だけでやまびこしめじを年間80トン生産し、全国へ長野産「スーパーやまびこしめじ」として送り出すほどになっています。

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ストレスに弱いのは人間と同じ
やまびこしめじにかぎらずキノコ全般に言えることですが、キノコはひじょうにデリケートな作物で、栽培環境がそのすべてを決めてしまいます。「温度、湿度、光など厳しい栽培管理が要求されます。5年ほど前、栽培中のしめじから水がでてしまいほとんどが腐ってしまいました。あれはこたえました」と岸田さんは当時を振り返ります。原因はやまびこしめじのストレスでした。ん? ストレス? とお思いの方もいるでしょう。岸田さんは続けました。

 

「しめじも人間も同じで、ずっと閉じこもった場所ではいやになってしまうんですよ。たまに、声をかけて窓を開け、換気を行うとまた元気に育ってくれるんです」

やまびこしめじの120日
それでは、「やまびこしめじ」が作られるまでの120日を4枚の写真でざっとみなさんにご紹介しましょう。

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  1. こだわりのおがくず(写真上左)、米ぬか、麦の皮、豆皮、もろこしの芯、綿の実などを絶妙なバランスで配合する。これが、今後の栄養のすべてとなります。
  2. ビン詰め ビンへ配合したものを詰め込んでゆきます。(写真上右
  3. 殺菌 蒸気により完全殺菌をします。
  4. 乾燥 ビン全体が非常に熱くなっているため、菌の入らない部屋で乾燥させます。(写真下左
  5. 植菌 菌を植えつけます。
  6. 菌糸培養・初期培養 約19℃前後で菌糸(きんし)をビン内に蔓延させます。約40日程度。
  7. 菌糸の熟成 約24℃前後で菌糸に養分を蓄積させます。これまた、60日程度。
  8. 菌掻き(きんかき)(5.)で植えたビンの一番上の古い菌をはぎ落とします。なぜ?? 古い菌捨て菌を刺激することでココから新しい菌がもとにニョキニョキぶなしめじたちが伸びはじめるのです。ここまでの間約100日! とっても大事にそだてられた「ビン入り娘」といったところでしょうか
  9. 生育期間 約14℃前後で成長に必要な光を当てて傘を作らせ、生育を促すのです。20〜21日程度かかります。
  10. そしてようやく、収穫。(写真下右)その間なんと120日!!

 

これほどまでに手間隙かけて大きくなったやまびこしめじだから、みなさんの手に届いてパックから空けて根元の部分を取れば、そのまま食べれてしまうのです。培養過程でお分かりの通り、農薬など一切使わず、衛生面で十分管理されているので、まさに安全・安心の作物なのです!!(それでも、気になる方はサッとやさしく水で洗ってあげてくださいね)

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農業者は毎年が一年生
「日々、葛藤ですよ。相手が生き物だから毎年、毎回違ったものが育つわけで、農業者は毎年が一年生。きのこの場合は温度、湿度などの調整は機械が自動で行ってくれるが、毎日の天気や時間など様々な要因で機械の設定に微妙な判断が求められる。これは人間じゃなきゃできないよね」と岸田さんは苦労を笑顔で話してくれました。ちなみに左の写真のなかで、両手で軽そうに持っている青いひとつのケースで約10キロあります。きのこ栽培には体力と根気が必要なのです。

 

「施設栽培なので通年通して栽培できるし、台風や豪雨など直接的な自然災害に強い。一番はここの地域の産業として根付いていること。忙しいときは地域の人が助けあって作業をするんですよ。地域で真剣に真面目につくったやまびこしめじを、全国の皆さんにたくさん食べてほしいですね」ときのこ栽培の魅力を語ってくれました。

やまびこしめじの驚くべき食べ方
そんな岸田さんは当然ながらやまびこしめじが大好きで、なかでも「から揚げ」はお酒のともに最高だとか。また、サッと湯合えしたしめじとたらこをまぜた「たらこあえ」は、お子さんにもオススメだそうです。さらにハヤシライスにたっぷりのやまびこしめじを入れて作ったら、これが家族にとっても好評だったそうですよ。

まさに、長野県のおいしい食べ方でありますね。で、編集部が一番驚いたのは「カップラーメンにやまびこしめじを適量ポイッ♪ といれて、そのままお湯を注いで3分待つ」という食べ方♪♪ ぜひこのうまさはご家庭でお試しください。

信州産のスーパーやまびこしめじはどんなお料理にもあうのが特徴です。さっそく今夜の料理に一工夫いかがです?

こちらは の記事です。
農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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