おそらく誰もが子どものころから親しんでいる甘くておいしいハチミツ。このハチミツが体にいいというのは皆さんご存知のとおりです。ハチミツは栄養分が豊富で消化吸収がとってもよいもの。同じ量の砂糖と比べて甘みが強いにもかかわらずカロリーは低いというすぐれものでもあります。
ダイエット効果も期待できる
さらに、ハチミツの糖分はある一定量以上は血液中に吸収されないので、砂糖より脂肪になる率が低いといわれています。ですから、毎日の食生活で砂糖のかわりにハチミツを使えば、それだけでダイエット効果も期待できるというわけ。
甘いものは控えているという方でも、使いやすいおいしいハチミツを毎日の食卓に上手に取り入れてはいかがでしょうか!
趣味が高じたハチミツ採取
上田市富士山の黒澤嘉武[くろさわよしたけ]さん(写真)は、公務員時代からの夢だったハチミツの採取をはじめてもう5年になります。最初は趣味ではじめたのですが、今年はじめて直売所に出しました。売れ行きは「?」のようですが、
「ハチの世界は不思議がいっぱいでむずかしいけど、かわいいよ!いっしょうけんめい働いてくれてね。」
とうれしそうに話してくれました。
採蜜のときの服装は、養蜂家のトレードマークとも言える細かい網目の面布(めんぷ)をつけた麦わら帽、ジャンパー、ゴム手袋と長靴。ハチに刺されるのと汚れを防ぐためにかなりの重装備です。
それでもさされてしまうこともあるとか。怖いですねぇ。せっかく集めたハチミツを人間にぜ〜んぶとられてしまって、みつばちたちがちょっとかわいそうな気もしますが、でも、また元気に新しい蜜を集めに出かけていくので大丈夫! 4〜5日もすればまた巣箱はハチミツでいっぱいになるのだそうです。
え、働きバチは雌なのですか?
ところで、一匹のミツバチが生涯集めるハチミツの量って一体どのくらいなのでしょう? アリと並んで働き者の代表といわれているミツバチ。働きバチが成虫になってから死ぬまでの期間は、わずか30〜40日ですが、実際に蜜を集める期間は風雨に邪魔されたりで10日間ぐらいだとか。まさに生涯をかけた大事業! なんですが、どんなにがんばっても一生のうちで小さじ(5cc)2/3程度だそうです。
左写真 中央上のところにいるのが女王バチで他はみんな普通のミツバチ。
働きバチの行動範囲は約2キロで一日に12〜13往復します。最盛期にはなんと4万匹もの働きバチが飛び交うといいます。4万匹中100匹は雄で、なんにもしないんだとか?? いえ、実は働きバチは雌蜂で、雄蜂は巣の仕事(働きバチのすること)には一切かかわらず、時々外出して結婚相手を待ち続け、交尾シーズンには女王蜂を見つけて死に物狂いで戦うのだそうです。
ちゃんと役割分担があるのですね。冬は? そう、冬越しが肝心なのだそうです。黒澤さんは、巣箱に発泡スチロールをかぶせてまわりをわらで囲って、とにかく「暖」を逃がさないようにしています。来年も甘くておいしいはちみつがたくさん採れるといいですね。
ハチミツのうんちく
さて、ハチミツの種類ってどのくらいあるかご存知ですか?
花の数だけあると言われているのです。アカシア・レンゲ・さくら・なたね・みかん・クローバー・リンゴ・とち・そばなどなど・・・蜜源の花、つまりどんな花から採れたかでその種類が分けられます。
一般的には色が薄く香りが少なく、くせのない「アカシア」や「レンゲ」のハチミツが人気ですが、「そば」のように鉄分が多く、黒砂糖に似た味がして独特の香りがあり、貧血によいというハチミツも、長野県内では評判がいいのです。
ちなみにヨーロッパでは、苦味とコク、強い香りがある「クリ」のハチミツが好まれているとか。
また、花の種類によって害があると言う話もあります。ローマ時代には、戦争の兵器として利用されたことがあり、シャクナゲから採ったハチミツをローマ兵になめさせることにより、意識不明になったという記録が残っているのです。
「ハチミツの歴史は人類の歴史」とイギリスのことわざにあるように、はるか太古から人の暮らしに根差してきた、美しく、甘く、滋養に富んだ食べもの。ハチミツは日本では、古墳時代から平安時代にかけて朝廷への献上品とされ、当時からハチミツは貴重品とされ、しばらくはすたれていたものの、江戸時代には徳川家康の孫娘千姫が絹などとともにハチミツ数百貫を持って嫁いだと伝えられています。
ハチミツの基礎知識
ハチミツは糖度の高い食品ですから、ほとんどの細菌は活動できません。このため、何年おいても腐ることがなく、保存するときは、開封した後も冷蔵庫に保存する必要はありません。いつでも手の届く場所において使ってください。
最後にはちみつを使った裏ワザをご紹介しておきます。
(1)ハチミツでごはんをおいしくする
目安は、米カップ1に対しはちみつ小さじ1。水の量は変えず、30分くらい置いてから炊きます。はちみつに含まれる酵素がでんぷんを分解し、ご飯に甘味とふっくら感を与えてくれます。
(2)ハチミツで肉をやわらかくする
高い浸透性を持つはちみつは、肉の組織が縮むのを防ぎ、保水性を良くしてくれます。また、糖分が表面を素早く焼き固めさせるため、ジューシーな焼き上がりになります。
(3)ハチミツで料理に照りを与える
はちみつの持つ輝きは、料理に加えることで照りを与えてくれます。味だけでなく、見栄えに華を添えるひと工夫を!