異常気象で今年の長野県は雪が少ない冬でしたが、3月に入ってから季節はなかなか春へ移らず、季節の歩みは行きつ戻りつを何度も繰り返して、今日まで進んできました。まぁ、そのおかげで、桜もずいぶんと長持ちしたようです。
それでも4月も中旬を過ぎ、立春から80日を過ぎると、ようやく信濃国も春本番を迎えたといっていいでしょう。このときを待っていましたとばかり「信州のフレッシュな農産物」の出荷がはじまります。
野菜ではなによりもアスパラガスが、その一番手といえます。実は全国でアスパラガスの生産量第1位は、この長野県で、加温栽培のものは冬期間からわずかに出荷されていましたが、4月の後半から5月にかけては、露地物が出荷最盛期を迎えます。その露地もののアスパラガスですが、ここへきてぐいぐいと天に向けて顔を出しはじめました!(写真はJA信州うえだ管内にある東御市[とうみし]のハウスで撮影したものです)
立っているのが好きなアスパラガス
アスパラガスは、ユリ科アスパラ属に分類され、この属は全世界に300種ほどあるとのことですが、このうち食用で栽培されているのは1種類だけだそうです。それを思うと、身近なアスパラガスも、98%が水分でできているとはいえ、ちょっと貴重なものに思えてきます。
効能はタンパク質、ビタミン、ミネラルを含み、特にそのなかの成分カロチンは病気に対する抵抗力を高め、アスパラギン酸は新陳代謝を促したりタンパク質合成を高め疲労回復を早めるといわれています。また、ルチンは高血圧、動脈硬化予防等の効果があります。この春、新しく進学や就職された方も、異動で新しい職場に移られた方も、そろそろ疲れが出てくる頃。そんなときこそ、疲労回復のためにアスパラガスを食卓に一品いかがでしょうか。
ご存知の方も多いでしょうが、アスパラガスはよく見るグリーンのほかに、ホワイトとムラサキがあります。グリーンとホワイトは品種は同じですが、ホワイトはグリーンのものに土をかぶせ、日光を遮って栽培します。ムラサキはグリーンより、アントシアニンを多く含みアンチエイジング効果、発ガン予防もあると言われています。
アスパラガスは条件にもよりますが、1日に4〜6cmも生長し、食べるだけでなく観賞用として、楽しむ方もいるようです。収穫後も株元が下、穂先が上になっている状態が、アスパラガス本人(?)にとって自然で好ましいので、必ず立てて冷蔵庫に入れてください。寝かしておくと、自然な状態に戻ろうとエネルギーを使うので、鮮度が早く落ちてしまいます。一年中出回ってはいるアスパラガスですが、まさに今が旬の長野県産! 全国のみなさんに十分その味と季節感を満喫していただきたいものです。