ヤマノイモ科ディオスコレア属のなかにあって学名を「ディオスコレア・オポジタ」という、いわゆる「長いも」は、秋と春との2回に分けて収穫されます。そして今、長野市の松代地区では、春掘り長いもの収穫作業が終盤を迎えました。
昨年12月の半ばころに秋の収穫を終え、長いもたちは長い冬を土の中という天然の冷蔵庫で過ごして新年を迎え、2月の終わりころから、気持ちも新たに春掘り長いもとして収穫されるのです。
今回は、長いも作り40年のベテラン上原幸治さん(JAグリーン長野野菜部会根菜専門部長)と、山崎善文さんのおふたりの、春掘り長いもの収穫作業の現場を訪れました。
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自慢そうなふたり。左が上原さん、右が山崎さん |
今年の春掘り長いもは
例年だと2月20日前後にはじまる春掘りですが、今年は暖冬の影響で1週間ほど早まっています。そのため春掘り作業が終わるのも早くなって、例年4月10日ころまで続く作業も、今年は3月中にはほとんど終わり、このぶんだとまず今週いっぱいで全ての作業が終わりそうだとか。
なぜ春と秋に分けるのですか?
春と秋に分けて掘る理由ですが、出荷が一時期に重ならないようにすることのほかに、仕事量を分散する目的があります。たとえば山崎さんは1町4反部(1.4ヘクタール)もの長いもを栽培しているため、一時期に集中して作業をするのはなかなかに困難です。だから、春と秋でだいたい半々くらいに作業量を分けているのです。
ちなみに長いもは1反部(10アール)あたり3トンくらいの収穫量が通常で、良いときは4トンほど獲れます。
長いもの収穫はこうする
さて、長いもの収穫作業に簡単に触れておきましょう。記事冒頭の写真にあるように、油圧ショベルを使っての大掛かりな収穫作業です。長いもは、一本がおおよそ最低でも70センチちかくもあり、傷つけることなく地中より取り出すには深く掘らなくてはならないのです。
見慣れない人にとっては「畑で工事でもしているのか?」と思われても不思議ではありません。長いもは、地球の引力に逆らわず、下に長く長く伸びていくために、これを太古さながらに手と掘り棒で土を掘って収穫するとなると、大変な作業になります。
だから植えつけ時にあらかじめ等間隔で種いもを植えておいて、収穫時には長いもと長いもの間をショベルで掘るのです。イメージを図にすると下のようになります。
土 土
────┐ ┌────
ナ | | ナ
ガ | ここを | ガ
イ | 掘ります| イ
モ └─────┘ モ
ショベルで掘った穴の両側に、長いもが縦に植わっています。それを今度はスコップで掘り出していくわけです。掘ったあとには細長い穴が畑に開いています(左写真)。
おわりはまた新しいはじまり
そして、このようにして春掘りの収穫作業が終わるとすぐ、次の秋に向けた作業がはじまります。長いもがまっすぐにすくすくと伸びていくためには、当然ながらやわらかい土が必要なので、土を掘り返してやわらかくしてから、つぎの収穫にむけての種いもを植えつけていきます。
収穫された長いもは、予冷庫で適温保管されます。松代地区で生産された長いもは主に関西方面に出荷されていきますが、JAの販売センターでは地方発送も受けつけています。贈答用の10kg入りが3800円からです。このほか5kg入りや家庭用のお手ごろ価格のものなど幅広く取り揃えていますので、興味ある方は下記の連絡先までお問い合わせを。
JAグリーン長野 松代農業総合センター
住所:長野市松代町東寺尾3588
電話:026−278−9595
FAX:026−278−9590