まさに今が収穫の真っ盛りのナンテン談義

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「も〜う、いくつ寝ると、お正月」ということで、あと10日もしないうちにお正月がやってきます。「おもちをいくつ食べようか?」と悩んでいる人も、きっと多いことでしょう。えっ? そうでもない。はぁはぁ、まだクリスマスという一大イベントが残っているのでお正月気分にはなっていないと。なるほどなるほど。ではまだケーキをいくつ食べるかで悩んでいるところなんですね。

 

 

しかし、日本中がクリスマス気分に浮かれるなか、お正月に向けてちゃくちゃくと出荷準備が進んでいるものがあります。それが今回ご紹介する「ナンテン」であります。漢字で書くと「南」の「天」と書いて「南天」。その音が「難(ナン)が転(テン)ずる」に通じることから、古来わが国ではお正月の飾りつけとして人気の高い縁起物とされています。

 

 

暮れも押し詰まりつつある現在、長野県の南部、南信地方では、そのナンテンの出荷が最盛期を迎えています。ということで今回は、JA上伊那の管内でナンテンを生産している香坂実(こうさか みのる)さんのお宅におじゃまし、お話をうかがいました。香坂さんはかれこれ20年近くもナンテンの栽培を続けているナンテンのエキスパートなのです。

 

手をかけすぎるとよくない
ナンテンは目木(メギ)科の常緑低木。英語では「nandin」と綴られます。ナンディンですね。漢字の「南天」は中国名の南天竹からつけられたと言われています。

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ナンテンには多くの品種があって、江戸時代には盛んに栽培されたようです。難が転ずるの音から、各家庭でも鬼門の方角にナンテンを植えるといったことが行われていました。

 

6〜7月頃、花が咲き、秋から冬にかけて実をつけます。実や葉は生薬として咳止めや解毒の作用があるとして、古くから利用されてきました。のど飴にもこの名前をつけたものがありますね。

ナンテン栽培の1年の流れを見てみると、収穫が終わった1月過ぎから選定がはじまり、残った実と葉を全て取り除きます。その後、時期をみて肥料を与え、少し草刈りをします。ここまで行ってしまうと、その後は収穫までほとんどやることはありません。

「肥料を多く与えるなど手をかけ過ぎるとかえって良くない物になってしまう」と香坂さん。ナンテンは自立した孝行息子(娘?)なのかもしれません。

収穫は今月28日まで続く
香坂さんが栽培を始めたのは昭和の終わりころ。遊休農地だったところを利用して栽培をはじめたそうです。村の補助事業で500本の苗を導入し、5アールで栽培しています。

ナンテン栽培には日当たりが良く、水はけの良い土地が向いています。そして香坂さんがナンテンを育てている土地は南向きの傾斜地で、土地も砂地であることから水はけが良く、まさにナンテンにピッタリの土地だとか。

秋冬に実がつき、寒さに当たって色づきが良くなると、いよいよ収穫です。JA上伊那では、今年12月12日から収穫がはじまりました。

ナンテンは水の吸い上げが悪いため、収穫した後すぐに水につけて一晩置いておきます。この作業を怠ると、出荷したあと市場に着く頃には実も葉もボロボロに落ちてしまうのです。

ナンテン畑が自宅から少し離れているため、香坂さんは収穫したナンテンをバケツに入れては、畑と水槽のある自宅との往復を繰り返します。収穫は月が押し詰まる28日まで続き、ここで取れたナンテンは関東、関西各方面に出荷されていきます。

昨年は豊作だったのに
さて、ナンテンの出来具合ですが、豊作だった昨年とは反対に今年は収穫量が少ないのです。「夏場の長雨が影響したのだろう」と香坂さんは話します。全国的にも同様の傾向らしく、ここへきて市場からはひっぱりだこの人気なのですが、とはいえ絶対量が限られてしまっている状況です。現在、JA全体で1万本ほど導入していますが、今年は5千〜6千本収穫できるかどうか、というところでしょうか。

こうした状況下で、JAでは生産量の拡大に向けて農家に声をかけ、ナンテンの生産者を増やしていこうと努力しています。また、香坂さんら既に栽培をはじめている人からの口コミでも、生産者は少しずつ数を増やしています。

ナンテンは導入後、2〜3年で収穫できるようになるので、現在導入しているものが、今後2〜3年のうちには収穫できるようになるでしょう。香坂さんも「遊休農地は有り余っているので、可能な限り、ナンテンを増産したい」と話していました。

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目の覚めるような赤い実
今年は収穫量が少ないということもあり、収穫されたものはすべて市場に出荷されてしまいます。関東、関西地方を中心に出荷されていますので、お求めをご希望の方は、街の花屋さんなどの店頭の切り花コーナーを気をつけて覗いてみてください。目の覚めるような鮮烈なナンテンの実の赤の美しさは、必ずやお正月のおめでたい気分を盛りあげてくれることでしょう。

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農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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