野菜

ひとごこちからつくられた信州のお酒

大町市常盤地区水田の緑が心なしか黄色く色づきはじめています。今回はお米について、それも酒米(さかまい)についてのお話しをしましょう。お酒を造るための米を特に「酒米」といいますが、酒米と普通の米との大きな違いは、米粒をよく見るとわかります。米の中央にある円形の白色不透明の部分を「心白」と呼び、この心白のある米を「心白米」と呼んでいます。心白部はデンプンが少なく柔らかい部分で、麹菌(こうじきん)の菌糸が中に伸びやすく、強い酵素力のある麹ができて、酒母、醪(もろみ)での糖化も良いのです。酒米の特徴はこの心白が大きいことで、心白が一番大きい酒米に有名な山田錦という米がありますが、長野県にはこの山田錦に次いで心白が大きくなる米があるのです。それが「ひとごこち」です。

淡麗で味に幅のある酒ができる米
「ひとごこち」は、長野県農事試験場が信交酒437号と信交444号組合せて平成6年に育成した酒造好適米品種です。酒造適正の高い酒米の定義は、1.心白(しんぱく)が大きく、2.外硬軟性に富み、3.タンパク質含有量が少なく、4.大粒であること、などがあげられます。

ひとごこちは、同じく長野県で育成されて有名になった酒米の美山錦よりも大粒で心白の発現がよく、栽培特性も優れています。50%程度までの搗精(とうせい)では、美山錦よりも淡麗で味に幅のある酒ができるのです。蔵元によっては、このひとごこちのことを新美山錦と表記している場合もあります。

大雪渓酒造さんがひとごこちでつくったお酒もともと長野県は酒造りが盛んな土地で、各地に蔵元がありますが、最近ではひとごこちで造ったお酒も増えています。北安曇郡池田町の大雪渓酒造では、JA大北ときわ「ひとごこち生産グループ」の作ったひとごこちを原料にして特色ある地酒を造っています。

地元の人たちのために造られるお酒
まずは今年の1月、当サイトの「地酒と地ビールの特集」でも紹介した大町市常盤地区の特別純米原酒「餓鬼(がき)のしずく」。同地区の15件の農家でつくる「ひとごこち生産グループ」は、04年からひとごこちで造った地酒の地場消費の拡大に取り組んできました。名前は同地区から見えて親しみもある餓鬼岳という山の名からつけ、ラベルに印刷された餓鬼岳をのぞむ常盤地区の絵や文字も同地区のみなさんで作ったというごだわりようです。完全数量限定で、販売も常盤地区に限定された、まさに地産地消を絵に描いたようなお酒です。同グループでは今年12ヘクタール(種子量換算面積)でひとこごちを生産しており、地元住民から「餓鬼のしずく」のファンを増やしたいと考えて、のぼり旗を作ってPRしたり、普段から飲みやすい価格の普通酒も検討しているそうです。

こちらは の記事です。
農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

1155654000000

関連記事

不可能に挑戦したすごい農家の話をしよう

不可能に挑戦したすごい農家の話をしよう

霊峰の雪室でただいま旨酒熟成中

霊峰の雪室でただいま旨酒熟成中

編集後記:私がお酒の記事をがんばる理由(わけ)
グルメ・カフェ

編集後記:私がお酒の記事をがんばる理由(わけ)

まずは一献。東京の真ん中で「長野の酒」三昧

まずは一献。東京の真ん中で「長野の酒」三昧

新着記事