住所:長野県北安曇郡池田町会染9642-2
営業時間:9:00~18:00
TEL:0261-62-3125
日本酒の原料は言うまでもなくお米ですが、食用のお米とは異なります。
私たちが普段口にしている食用米は「水稲うるち玄米」で、酒造りに使われるお米は「醸造用玄米」に分類されます。「酒造好適米」といって、いわゆる「酒米」です。
酒米の「ひとごこち」(左)と食用米の「コシヒカリ」。取材現場にコシヒカリしかなかったため、酒米との比較対象として撮影
コシヒカリは食用米なので、お米の真ん中「心白」がない。風さやかも心白はない
酒米のひとごこちには心白がある
食用米と酒米のもっとも大きなちがいは「心白」の有無。写真でわかるとおり、酒米にはお米の真ん中に白い部分があります。
「食べてうまいお米は、酒米には向かない」と宮澤さん。じつは、酒米は炊いて食べるとおいしくないのです。酒米が食用米に劣っているのではなく、単に用途のちがいです。
風さやかは食用米であり、これを「飲んでおいしい風さやか」にするため、食用米とは異なった管理が必要となりました。
宮澤さんの田んぼでは、風さやかの田植えは5月20日頃に行います。気候変動で植えるタイミングが早まっているそう。
5月の田植えの様子
「風さやかはあっさりした味わいで、冷めてもおいしく、和食によく合います。クセがないため飽きずに食べられるお米です」。そんな風さやかのお酒は「風さやか同様にクセがなく、飲みやすいと思います」とのこと。
「粘りのないことが酒米の特徴のひとつで、食べるとパサパサしています。お酒に使うにあたり、食用米である風さやかの粘り気をできるだけ落として、いかに杜氏の理想に近づけるか。水や肥料を調整して、工夫して育てています」
もちろん「食べておいしいさやか」の栽培管理も怠りません。「どういうお米が求められているか、常に考えて作っています」と宮澤さんは言います。
9月、コンバインでの収穫の様子
大雪渓酒蔵のお酒は県内で90%以上が消費され、地元に愛されている酒蔵です。そして「やっぱり旨い!大雪渓!」のテレビCMでおなじみです。数あるCMのうち、筆者が好きなバージョンはこちらです!
大雪渓酒造の専務取締役である薄井結行(ゆうき)さんに酒蔵をご案内いただきながら、風さやかの酒造りについて話をうかがいました。
薄井専務。看板商品とともに
大雪渓酒造では地元である大北(大町・北安曇郡)・安曇野地域のお米を使い、地域に根差した酒造りを行っています。
通常のコイン精米機とは異なり、酒米を「磨く」ための精米機
「精米機を導入したことで、地元の生産者さんとのつながりが増え、極力地元のお米を使った酒造りをしたいと考えるようになりました」と薄井専務。
以前は精米後のお米しか目にすることがなく、自社精米をするようになってから、一等米の同じ品種でも、生産者によって玄米の見た目がちがうことに驚いたそう。
そのちがいについて生産者に確認するうちに生産者との交流が増えてきました。「玄米をとおしていろんなことを学ばせてもらいました」
そして「どうやったら地元産のお米が使えるか…」と考えていたところ、安曇野.comeの宮澤さんと知り合うことができたのです。
風さやかのお酒のラベルに「米」の字を模した安曇野.comeのロゴが
「安曇野.comeで加工米を作ってくれないかと打診したところ、快く引き受けていただきました。ちょうど風さやかが出はじめた頃だったので、地元らしさを表現するためにお酒造りをとおしてPRすることになりました」
先に述べたとおり本来、酒造りに使われるのは酒米です。食用米である風さやかでの酒造りは、正直どうなのでしょうか?
「酒米に比べると、すっきり仕上がる印象です。ただ食用米なので粘り気が強く、扱いづらさはあります。粘り気が強いと、どうしても作業効率が落ちるんです」
玄米から精米した酒米。真ん中に心白がよく見える
「酒米はでんぷん質の構造が粗い心白があることで、酒造りに欠かせない麹菌が入り込みやすいのですが、食用米にはない。そこが難しく、試行錯誤です」
やはり食用米でのお酒造りは、ひと筋縄ではいかないようですが、それでも「風さやかの酒造りで目指すのは、地域らしさを出すこと。地域に根差した商品の発信源となりたいんです」と薄井専務は言います。
「たとえば県内でも酒米の美山錦は作っていますが、美山錦を使った商品は全国にある。だからこそ県外の方に珍しさを感じてもらい、そのストーリーを語れる商品を持つことは大事だと思っています」
店内の様子
店内には試飲コーナーもあり
最後に今後の展望をお聞きしました。
「長野県産の酒米の半分が、ここ大北地域と安曇野地域で生産されています。仕込み水と同じ水で育ったお米の相性が悪いわけがない。風さやか以外にも、地域らしさを感じられる酒造りに挑戦していきたいです」
直営店の前に仕込み水が流れる。営業時間内なら汲むことが可能。ただし生水なので、必ず煮沸して自己責任での利用を
さて、お待ちかね。その味わいは(ちなみに筆者はガッツリ系のサムギョプサルと一緒にいただきました)。
開栓後すぐは「少しさっぱりしすぎているかな?」と感じたのですが、クセがなく、どんなお料理にも合いそうです。1週間後には味がまろやかになっていました。
日本酒には賞味期限がなく、時が経つにつれて味は変わるもの。薄井専務は「その変化を楽しむのもありです」
パッケージにいる可愛い子は安曇野の農産物を応援する妖精あづみ~ずの「米」の妖精・らいすん
たくさんある商品のなかから、私がいただいておいしかったお酒や安曇野の農産物を使ったお酒を一部ご紹介します。
もちろんすべて自分で買って飲んでいます(あまり映えさせられなくてすみません…)。ちなみに筆者の日本酒の好みは、甘口でお米っぽいお酒。どぶろくやマッコリが好きです。ご参考までに。
「大雪渓」蔵出し
地元で大人気の看板商品。「すっきり淡麗、辛口」で、どんな料理にも合うと評判。地元JA部会(生産者の集まり)でも、これが定番だそうです。
筆者は辛口に苦手意識があったのですが、これが飲みやすく、飽きのこない味。辛口だからとひとくくりにはできないなと感じました。
「大雪渓」大吟醸 山田錦 原酒
試飲コーナーで私がもっともおいしいと感じたお酒です。もーーー、とにかくおいしかった!
さっぱりして飲みやすいのに、お米の旨みや甘さがしっかり感じられます。香りはフルーティーで、ふんわり甘いのに、ベタつきが全然ない。日本酒はちょっと…という方にもおすすめしたいです!
大雪渓「真白酒(ましろざけ)」
本当においしい!大好きなお酒に巡り合ってしまった!
甘くて飲みやすいので、ぐんぐん飲んでしまう。「超上質な米ジュース」って感じです。まさにデザート酒。季節限定なので、見かけたら買いですよ(また買いに行きたい)!
「大雪渓」苺酒
安曇野は涼しい気候のもと夏秋いちごの生産が盛んです。その夏秋いちごを純米酒で仕込んだ、安曇野らしさいっぱいの逸品!
いちごジャムをお酒にしたような、夢のようなお酒です。無限に飲めます。甘いお酒がお好きな方、必飲(?)ですよ!
薄井専務いわく「かき氷のシロップにしてもおいしいよ」。なんとも大人な食べ方を教えてくれました。夏が来たら試してみます!
▼夏秋いちごについてJAあづみを取材した記事はこちら
キュンと甘酸っぱ!安曇野育ちの夏秋いちご
おいしい米があるところに、おいしいお酒あり。
風さやかをすでに食べている方は、飲んでおいしい風さやかも味わっていただき、あるいは風さやかのお酒をきっかけに、食べておいしい風さやかを知っていただきたいです。
食べても飲んでもおいしい風さやかを、ぜひ味わってみてください!
こちらは
の記事です。
農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
今回紹介したお酒が買えるところ
「大雪渓酒造」の公式ホームページより購入ができます。
風さやかのお酒について、詳細は「大雪渓酒造」にお問合せください。
長野県北安曇郡池田町会染9642-2
営業時間:9:00~18:00
TEL:0261-62-3125
おとうふ
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