風さやかの日本酒で地域を元気に!JA×酒造メーカーの挑戦
農業体験で収穫が上がると、丸子地区に元気が出るようないい加工品は作れないかと考えました。
そこでひらめいたのが風さやかで造った日本酒。
「『食べてよし、飲んでよしの風さやか』というのは斬新だと思いました」
日本酒は酒造好適米(酒米)から造るのが一般的です。酒米は酒になるデンプン質(心白)の部分が多く、デンプン質の間に微細な空洞がたくさんあるため発酵しやすいという特徴があります。
風さやかは酒米ではなく食べる用の米(飯米)ですが、「コシヒカリと比較して粘りけが少なく米粒が大きいという特徴があるから、できる!」と信じて、地元の酒造メーカー「信州銘醸」に相談しました。
「風さやかの日本酒というお願いに加えて、さらに純米吟醸酒で、日本酒初心者でも飲みやすい仕上がりにしてほしいとお願いしました」
すると、酒米から造っていないため純米吟醸酒を名乗ることはできないけれど、純米吟醸製法で造ってみますと了承していただけたそうです。
しかし、宿題も課せられました。
「純米吟醸製法では精米歩合を59%にして日本酒を造ります。粒が大きく胴割れしないように注意して風さやかを栽培し、搗精(とうせい)工場にお届けする必要がありました。ドキドキでした」
※搗精...玄米を精米にする研磨工程
農業体験の様子(稲刈り)
初年度の2019年には、風さやか500㎏を収穫し、令和2(2020)年4月に日本酒「夢現」900本(720ml)を醸造しました。
信州銘醸さんのご尽力のおかげで、米麴も含めて風さやか100%、低温純米吟醸製法で造られた本格的な日本酒になりました。日本酒初心者でも飲みやすいやや辛口で、香りが穏やか、スッキリとしたのどごしが自慢です。
完成を祝う(左から)掛川丸子営農センター長、信州銘醸滝澤社長、小山事業部長、清水事業部次長
本年(2021年)は2年目の挑戦です。
従来の夢現(650本)に加えて、新たに搾りたての生原酒「夢現槽口直汲み(ふなくちじかぐみ)」(200本)を製造しました。
「地域の方が楽しみにしてくださったおかげで、『夢現槽口直汲み』は販売開始前に予約完売しました。現在は夢現のみ販売しております」
写真左・夢現、右・夢現槽口直汲み
夢現という名前には「夢を現実としてかなえる」という意味が込められています。
「『夢』とは、消費者と農業者の互いの顔が見え、話ができる関係となることです。関係性を築くことで消費者が購入するきっかけになると思っています。最終的には農業と商工業とともに、地域も元気にしたいですね」
地元のJAと酒造メーカーがコラボして造ったお酒を地元の消費者が飲む、地域全体が元気になる素敵な取り組みです。