加工品

木曽・王滝ならではの「すんき」つくり隊!

すんき

今年も「すんき」のシーズンがやってきました。
すんき(漬け)は山深い木曽地方に伝わる乳酸菌発酵による独特の漬物。塩をまったく使わないことから健康食品として注目を浴びています。

原料の赤カブも地元産

すんき

原料の赤カブ(王滝かぶ)づくりから取り組んでいるJA木曽王滝支所女性部かぶらつくり隊の作業現場を訪ねました。
元の王滝かぶは10月20日過ぎから収穫が始まっていますが、すんきに使う茎葉はまだ硬いため、利用するのは霜が連続して3日ぐらい降りてから。葉が紫色に変色する11月10日ころからがすんきの漬け込み作業になります。

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訪ねた11月19日は既に作業最終盤。翌日で本年度の作業が終わる日でした。同支所の作業場前にはカブが切り取られた茎葉の束がずらり。カブは「赤かぶ漬け」として一足先に漬け込まれています。

おしゃべりはずむ漬け込み作業

すんきの漬け込み作業自体は単純です。残った茎葉はたわしや手で土やごみを取り除き、きれいに洗い、お湯(60度ぐらい)に浸して殺菌した上、種として漬け上がったすんきと交互に重ねて桶に漬け込みます。
茎葉をまるごとまっすぐに伸ばして漬け込むのが王滝流。木曽でも開田や三岳、木祖など他地区ではあらかじめ切り刻んだ上で漬け込むのだそうです。

すんき

茎葉を洗う作業は支所の配慮で温水が使えますが、傷んだ葉や茎を取り除き、株元の土をたわしで洗い流し、茎の間に残るごみなどを丁寧に取り除く一連の作業は結構、手間がかかります。かぶらつくり隊の代表、下村壽子(よしこ)さんも「すんきは洗うのが一番大変」と言います。それでもメンバーは桶を挟んで座り、にぎやかに話しながら作業を進めていました。

すんき

株元の茎の間もきれいに

洗い終わると、漬け込み用にビニール紐で束に。まとまったすんきは株元の方から湯に漬け、湯がいたあとは漬け込み桶に。既に漬け上がったすんきを種として隣のたるから取り出し、漬け込む茎葉と交互に重ねていきます。ピンク色の漬け汁や、お湯も適宜入れ、桶がひたひたになるようにします。

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湯に漬けて殺菌する「かぶらつくり隊」代表の下村壽子さん(右)

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桶にビニール袋を広げて漬け込む用意

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湯に浸した茎葉を漬け桶に

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種となるすんきを重ねる

桶がいっぱいになったら空気が入らないようにビニール袋の端をたたみ、重石をして、ふたをします。1日置いてなじませたら10度以下に保った冷蔵庫に入れ、2週間ほどで完成です。一般家庭では常温のままで置いておくこともあるそうです。
下村さんによれば「カビが一番怖い」ので、湯に漬ける消毒から漬け込みまでの一連の作業は「最も気を使う」そうです。

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すんきは誰でも漬けられる?

ここまで読んで、自宅でも試してみようと思う方も多いでしょう。同僚からも自宅で漬ける場合の注意点を聞いてきて、と頼まれました。
結論から言うと、そう簡単にはいかないのです。

すんきをつくるカギは種となる乳酸菌はもちろんですが、元となる赤カブが握っています。
木曽のすんきは王滝かぶをはじめ、三岳黒瀬かぶ(木曽町三岳地区)、開田かぶ(同開田地区)、細島かぶ(木祖村)といった各地域の在来種でつくられ、それぞれに微妙な味わいの違いがあります。いずれも長野県の「信州の伝統野菜」に指定されています。
大きな特徴は繊維がやわらかいこと。特に、かぶらつくり隊の王滝かぶは、在来種を選抜した優良種から育てた貴重品です(信州大学農学部が選抜した種を元に、王滝村が京都の種苗会社に委託して製造した種を、同村内に限って配布している)。
しかも、漬け込みは11月10日からわずか10日ほど。茎葉の旬は本当に短いのです。
栽培する地元に住んでいない場合、一般的な野沢菜のように店で購入して漬ける、とはいきません。
なるほど、すんきは風土と密接に結びついた産品なのですね。地理的表示保護制度(GI)に登録されているのもうなずけます。

創作レシピが止まらない!

すんき

JA木曽王滝支所製造の「すんき漬」と「赤かぶ漬」

そんな貴重なすんき、どう味わうのでしょうか。
かぶらつくり隊のベテランにうかがうと、花がつおとしょうゆで5分ほどいって、お茶請けやご飯のお供に。豆腐などとみそ汁に。そばやうどんの汁に入れて楽しむほか、ピザに入れたり玉ネギなどと一緒に天ぷらにしたり、ちりめんじゃこや長ネギなどと一緒に油で炒め、ジャガイモと混ぜて「すんきコロッケ」にする――といった答えが返ってきました。

寒さがピークとなる2月に干しておけば、夏場にもみそ汁の具などで楽しめるそうです。一段と酸味が増して味わいも格別だそう。冷凍庫がなかった昔は、こうして干し上げたすんきを翌シーズンの種にして受け継いできました。

地元の子どもたちも体験

この日は近くの王滝小学校の3、4年生が、すんきと赤かぶ漬けの作業体験に来ていました。子どもたちは王滝かぶの種まきから間引き、収穫までを体験した上で、この日の作業に当たりました。漬け込んだすんきは後日、学校に運んでいただくそうです。

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JA木曽王滝支所の塚澤孝支所長から説明を受ける子どもたち

JA木曽王滝支所女性部かぶらつくり隊のすんきは400g入り700円。赤かぶ漬は400g入り600円。
問い合わせはJA木曽生活センター(TEL 0264-23-2112)へ。

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農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

この記事を書いた人

昭和人Ⅱ

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