加工品

霜が降りたら「すんき」のシーズンですよ!

すんき

もうすぐ冬がやってきます。
霜が降りたら「すんき」のシーズンですよ!
長野県中部の木曽郡王滝村では、信州の伝統野菜「王滝かぶ」の収穫時期を迎えています。

信州が誇る地域ブランド「信州の伝統野菜」

すんき

信州の伝統野菜のひとつ、王滝かぶの収穫作業

信州の伝統野菜」は、信州各地に伝わる食文化や気候風土に適した野菜を長野県独自の基準で認定したもので、他にはない多彩な味と香りを持っています。時代の流れとともに多くの地方種が淘汰されていった中で、限られた地域で今日まで脈々と伝えられてきた貴重な品種です。
2017年7月30日の時点で、認められている品種は76種類あり、蕪だけで見れば8種類が認定されています。中でも、6種類が木曽地域に適した信州の伝統野菜となっています。

江戸時代から食べられてきた王滝かぶ

すんき

王滝かぶ生産者・森さん

王滝かぶの歴史は古く、およそ300年前から栽培が始まっているといわれています。
「王滝かぶ」を栽培し始めて60年余りになる、森唯夫さんにお話をお聞きすると、今年の出来は、平年どおりで良いとのこと。
最近では、王滝かぶの派生種である"王滝甘かぶら"という品種が開発され、森さんは王滝甘かぶらも栽培しています。"王滝かぶ"と"王滝甘かぶら"はどこが違うのでしょうか?

すんき

王滝かぶ(左)と王滝甘かぶら

色や葉の形、味は一緒ですが、蕪の形が異なります。王滝かぶは球根(蕪)が丸いのに対して、王滝甘かぶらは楕円形になっています。

王滝かぶは、きめが細かく生でも食べることができます。実際に食べてみますと、みずみずしくてほんのり甘く、歯ごたえもあります。王滝村では蕪は「甘酢漬け」、茎葉部分を「すんき」の漬物にするのが一般的な食べ方です。

すんき

かぶの甘酢漬け

すんき

すんき漬け

塩を使わず乳酸発酵で作る注目の漬物

すんき

森さんの圃場から

雪に覆われる長野県では、野菜・果物の収穫は春から秋まで。冬は農作物が採れないため、先人たちは加工貯蔵した野菜で食いつないでいました。
"漬物"は、野菜を塩漬けにすることによって長く貯蔵できるよう考えられた策なのでしょう。今でこそスーパーマーケットが建ち、食料品・生活必需品・輸入品等が買える時代になりましたが、ここ木曽郡王滝村という地域は山々に囲まれた地形。流通や交通がなかった時代には、塩は高価な物で貴重品であったため、たくさんは購入できませんでした。
そこで考え出されたのがすんき漬け。乳酸菌の力だけで発酵させる製法です。

すんきの様子を見せていただきました!
すんきに使われるのは、王滝かぶの茎・葉の部分です。まず、お湯を沸かした大きな釜に葉をさっと湯通しします。これは殺菌を目的としており、乳酸菌は生かし、それ以外を殺菌します。茹ですぎるのも禁物! 葉が柔らかくなり、食べたときのジャキジャキした食感が失われてしまいます。

すんき

蕪を切る

すんき

蕪を洗う

すんき

蕪は甘酢漬け、茎葉部分はすんき漬けに

すんき

湯通し

茹でた葉は、ビニール袋をかぶせた漬樽へ入れていきます。ここで登場するのが"すんきの素"!

すんき

すんきの素

すんき

乾燥すんきの素

"すんきの素"とは、昨年度漬けたすんきのことです。できあがったすんきを冷凍保存し、漬ける季節まで保存します。冷凍庫がなかった時代には、春に干して乾燥させて使っていたそうです。
葉とすんきの素を交互に積み重ねていきます。中蓋をし、重石を乗せて袋をしばったらあとは待つだけ!

すんき

王滝かぶの葉とすんきの素を積み重ねて

・・・と思いきや、そうではありません。すんきは100%乳酸菌発酵ですので、温度管理が重要になってきます。湯通しをして、樽内は暖かい状態になっています。そこで急冷させてしまうと、乳酸菌が発酵しなくなってしまうため2、3日間(すっぱくなり始めるまで)は家の中で保管します。さらに、熱を逃がさないよう毛布などで温めます。
2、3日たったら、次は寒いところ(外)で保管します。暖かいところに長時間置いておくとカビが生える原因になるため、カビが生えるのを防ぎます。
外で保管し始めたら、すんきの完成です☆ 雪が降ろうと、凍ろうと、いつでも取り出して食べることができます。

すんき

発酵が進んだすんき(昨シーズン撮影)

さまざまな料理のトッピングに大活躍!

蕪の部分は甘酢漬けにするとおいしいよ、と教えてくれたのは、森さんの奥様の幸子さん。
「酸っぱいほどおいしいのがすんき!」と語る森さん。
ごはんのお供としてはもちろん、蕎麦やラーメンにトッピングしてもおいしい「すんき」。
組み合わせ次第で味が広がる楽しさも「すんき」の醍醐味かもしれません!

※今年度より地理的表示登録(GI)により「すんき」表示となりました。

■ 販売店
すんきは下記の店舗等で販売しております。
A・コープきそ店
木曽地域の「道の駅」
木曽商工会ホームページ掲載店

すんき

JA木曽王滝支所製造の「すんき漬」と「赤かぶ漬」

■ 関連リンク
JA木曽
・JA木曽 王滝支所
 長野県木曽郡王滝村2891-1
 TEL 0264-48-2121

こちらは の記事です。
農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

この記事を書いた人

ジャスミン

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