農事組合法人北の原 小原恒敏組合長
秋深し・・・、ネギがことさらおいしくなる季節がやってきました♪ 長野県南部に位置するJA上伊那管内でも、特産の白ネギの出荷が最盛期を迎えています。*1 甘~い白ネギを求めてやってきたのは、駒ヶ根市赤穂の「農事組合法人北の原*2」。その品質はもちろん、生産量・販売高でも県内トップクラスで、「ここの白ネギを」と指定されるほどの人気ぶり☆ 今回は、その人気のヒミツを探ります。 ラーメン・そば・うどん、納豆などの薬味や、焼き鳥、すき焼きの名脇役として欠かせない存在ですが、今回は「主役は白ネギっ!!」と叫びたくなるお料理も登場しますよ♪
広~い白ネギ畑にはすでに収穫・出荷作業に追われる25人ほどのメンバーが・・・。辺りに漂うネギ特有の香りの中、機械で掘り取り、余分な皮をむき、束ねる作業を行っています。
まずは、前日の雨で少し重たくなった土の中、大きな機械で土の両側から圧をかけ、根を切らないように収穫。スルスルとベルトをのぼってくるネギを両手で抱えて作業台へ運びます。100~130本程度の山に分けてから、他のメンバーが枯れ葉や余分な皮を落として選荷場へ運ぶため菰で包みます。
白ネギについて教えてくれた小澤章二さん
約7ha、何十枚もある畑ですが、「ネギに大切な"日あたりの良さ"と"夜の冷え込み(昼夜の寒暖差)"でおいしいネギが育つ」と教えてくれたのは、副代表理事の小澤章二さん。「あとは中央アルプスの雪どけ水、これも大事。おかげでものすごく甘くなるんだよ」と笑います。
と、ここで早速、自慢の白ネギを炭火で焼いてもらうことに。もちろん目の前の畑でとれたてをいただきます☆ ひと皮むかれて真っ白に輝くネギを網の上に・・・。しばらくすると焦げた良い香りと炭に滴り落ちる水分が。おっおいしそう!!
アツアツを豪快に真ん中からかぶりつきました。「トロットロ、柔らかくてあま~い♪」。月並みですが、まさにこの一言につきます。
隣で奥様の里子さんが調理してくれたのは「白ネギのチーズ焼き」と「白ネギの肉巻き」です。
4~5cmのぶつ切りにした白ネギをフライパンでこんがり焼き、軽く塩コショウして、とろけるチーズをたっぷり乗せたら、アルミホイルで蒸し焼きにすること3~5分でできあがり♪ 香ばしさと噛めばかむほど甘くなるネギの旨味、チーズの塩気がたまりませんっ。 こちらは、ダンナ様(章二さん)が一番お好きなお料理なんだそう。
白ネギ料理を作ってくれた里子さん
同じくぶつ切りにした白ネギに豚肉を巻いて、巻き終わり部分を下にしてフライパンで焦げ目をつけ、醤油・みりん・砂糖などで照り焼きにしてできあがり♪ 甘辛の味付けが絶妙!! 「誰か~、白いご飯もってきて~~~ 笑」
さて、スーパーなどでよく見かける、数本のネギを束ねた販売スタイルに至るまでには、どんな工程があるのでしょうか。まずは、余分な根・葉をカットします。小澤さんに手作業で教えてもらいました。基本的には上下を切り、3~4枚葉になるように上からスーっと一気にむいていきます。「真っ白になる瞬間が気持ちいい、楽しいよ」と小澤さん。「ただ1日約2tもの出荷量だから手作業では無理っ」と苦笑い、「秘密兵器があるんだよ」とも。
案内してくれたのは、すぐ近くの選荷場。広々とした作業台と大きな音にまず驚きです。 ベルトコンベアに1本ずつネギを並べて流すと、ベストロボとよばれる機械で、根と葉が一度でカットされます。
1. 圃場から集荷場へ到着
2. 葉の上部と根を切り落とす、その名も「ベストロボ」
次にネギを持って銀板を手の甲で軽く押すと、両側からエアがシューっと一気に噴き出て、一瞬でツルッと皮がむけるのです。速くてきれい! これぞまさしく秘密兵器☆
3. 一瞬で皮がむけ真っ白なネギに
この機械が3台、続いて選別・拭取り・結束、箱詰めが20名ほどで、こちらも流れ作業で進み、各地に出荷されます。 8月中下旬から、10月にピークを迎え、12月中下旬まで、約5万箱(約140t)を目標に出荷しているそう。
4. きれいに整えられたネギ
5. 数本ずつテープで結束
これだけ大量のネギをカットしているので、香りはもちろん、目に染みる成分(硫化アリル)も大放出! 取材中に涙目になる人もいたほどです。私はといえば、無性にネギたっぷりの納豆が食べたくなったり(笑)、食欲増進効果もバツグンと判明。 そうそう、以前に当ブログで紹介しました、上伊那産の白ネギを100%使用した「伊那華のねぎだれ」(2016年4月にJA上伊那で発売)もオススメ。刻みネギをしょうゆと砂糖などで味付けしたねぎだれは、冷奴や揚げナス、焼肉、ハンバーグにも、玉子焼きにもバッチリ合いますよ。 もうこれは食べるしかないっ! この秋冬、おいしい白ネギをいろいろお楽しみください。
1箱3㎏の白ネギが次々に積まれていく集荷場。出荷量は1日2tほど
【おいしい白ネギの見分け方は?】 緑葉と白色部分の境目がハッキリしていて、緑葉は濃く、艶やかに白く、よく締まっているものがおいしいネギです。 【北の原オリジナルの「ネギカレー」とは?】 普段あまり料理をしない男性陣が収穫祭の目玉に、と考案したメニュー。具材はなんとネギだけ! という衝撃のカレーです。1cmほどにぶつ切りにしたネギをラードで炒めて、普通のカレーと同じように作ります。「ネギだけなんて、ちょっと寂しいのでは?」と思うそこのあなた! 動物性脂肪とネギ自体の甘さ・コクで、予想外の満足感があるそうですよ。2017年11月4日(土)の収穫祭でも振る舞われる予定です。
■ 収穫祭情報 2017年11月4日(土)10:00過ぎ頃からお昼頃まで 会場:農事組合法人圃場周辺(町公民館含む) ネギカレーの振る舞いなど
*1特産の白ネギ: JA上伊那管内では47haもの畑で栽培されている白ネギ。白い部分が30cm以上の長さを持つのが特徴。8月中下旬から12月まで出荷され、出荷量は年々増量中。
*2農事組合法人北の原: 80人ほどの組合員で構成して13年。白ネギのほかにも米や麦、大豆など、さまざまな農作物を栽培している。特産の白ネギはピーク時(10月上旬)には、1日約2t(3kg×700箱)も出荷する。
JA上伊那
こちらは 2017.10.24 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
まちゃ
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