実りの秋真っ盛り! 田んぼの稲が黄金色になり、長野県では収穫の時期を迎えています。 今回訪れたのは、田園地帯が広がる安曇野市。北アルプスに面している安曇野市では、米作りが盛んに行われています。
訪れたのは9月も終わりに差しかかった頃。たわわに実った稲穂は、重そうに頭を垂れています。 今回、取材に協力していただいたのは「(株)あづみのうか浅川」代表取締役の淺川拓郎さん。 現在、淺川さんの田んぼでは「コシヒカリ」「風さやか」といった品種や、酒米、もち米など合計17haものお米を栽培しています。
今年のお米の生育状況は、例年よりも早く、9月上旬から収穫作業が始まっていました。 訪れた9月下旬には、すでに8割ほど収穫が完了しており、出来栄えは良く、十分な収量も見込めるとのことです。
今回収穫するお米は、長野県オリジナル品種の「風さやか」。この品種は、収穫時期がコシヒカリに比べて遅く、高温に強いのが特徴です。また、稲丈が短いため台風の被害(稲が倒れてしまうなど)が最小限で済むとのこと。 大きなコンバインを乗りこなし、巧みに操作しながら稲を刈っていく淺川さん。田んぼの角では何度も切り返して曲がるなど、まるで自分の手足のようにコンバインを操ります。
あっという間に3反歩分のお米を刈ってしまいました。 刈り終えたお米は、コンバインの内部で脱穀され、トラックで移動します。
こちらの大きな機械は、脱穀したお米を乾燥させる装置で、機械の中でお米を循環させて乾燥させます。通常の場合、一晩中乾燥させますが、水分が多い場合には、いっきに乾燥させると仕上がりがおいしくないため、水分18%になったら一度休ませ、再度乾燥させていく行程を繰り返します。そのため乾燥させるのに1日半かかることもあるのだとか。 おいしさを追求し、繊細に扱っている淺川さんの"お米に対する思い"が伺えます。
長野県では全域的にお米の栽培が行われています。 お米の一大生産地でもある安曇野のお米のおいしさはいったいどこにあるのでしょうか? 答えは、豊かな水と昼夜の温度差にあります。
北アルプスの冷たい雪どけ水や、多くの堰が張り巡らされているお蔭で、水を豊富に使うことができます。それによってイネを冷やすことができ、夏場の暑さ対策になります。 また、安曇野の渇水地帯では、江戸時代に奈良井川(水源は中央アルプス茶臼山)の水を引っ張り「拾ヶ堰(じっかせぎ)」をつくったことによって、お米づくりができるようになったといいます。昨年(2016年)9月には開削200年を迎えるほど、長い歴史があります。 先人たちのこだわりと安曇野の豊かな環境が、お米をおいしく育てています。
浅川さんは、減農薬・減化学肥料栽培で安心・安全なお米づくりにこだわっています。 米ヌカを主体にした有機質肥料を90~100%使用し、農薬は地域基準の50%以下の使用に抑えて栽培しています。また、稲の一列一列の間隔を通常よりも広くして風通しを良くしています。
愛情いっぱいに育てられた淺川さんの新米を、こだわりの製法で炊き上げます。 今回、特別に「ぬかくど」で炊いていただきました。 みなさん、「ぬかくど」をご存知でしょうか? 「ぬか」とは「もみがら」のことを指し、「くど」とは「釜」のことを指します。
始めに釜の周囲にもみがらを入れます。釜の中央に火種となる丸めた新聞紙を入れて火をつけると、火が燃え広がり、もみがらへと着火していきます。風を送りながら火を安定させて1時間ほど待ちます。 1時間待った、炊き上がりがこちら!
写真では伝わりにくいのが残念ですが、お米の一粒一粒がしっかりしていて、まるで「食べて食べて~」と言っているよう! この「ぬかくど」は火力が強く、いっきに炊き上げることで"ふっくらおいしく"炊き上がるのだそう。 試食させていただきましたが、ふっくらあつあつ、噛みごたえがあって、数回噛んだだけでも甘みが感じられるほど、お米の味がしっかりしていました。
拓郎さんで14代を数える淺川家。 代々と受け継がれてきた土地と環境、先人方の思い・こだわり、おいしさへの追求があり、浅川さんが家族とお米を大事にしているのがとても伝わってきました。 浅川さんのお米はJAあづみ直売所「安曇野スイス村ハイジの里」で販売しています。
株式会社あづみのうか浅川 JAあづみ
こちらは 2017.10.17 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
ジャスミン
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