長野県の南部に位置する上伊那(かみいな)は、中央アルプスと南アルプスの2つのアルプスに囲まれ、南北に沿って天竜川が流れる「伊那谷」と呼ばれる地域です。
JA上伊那管内では多くの農家が白ネギを栽培しています。白ネギが長年愛される商品となったのは、なぜなのか。その秘密を探るべく株式会社JA菜園に取材に行ってきました。
白ネギと呼ばれる理由
白ネギは6割が名古屋、4割が大阪・県内に出荷されています。関西では昔から「葉ネギ文化」があり、白い部分の多い辛いねぎは評価が低く、まちがう消費者もいたことから、白い部分をより長く、青葉を短くして、葉ネギと区別をするために「白ネギ」と名づけたそうです。
採れたての新鮮白ネギ
「名月一文字」とは!?
「名月一文字」は、肉質は緻密で甘みが強いネギです。「根深ネギ」の白い部分(軟白部)のうち根に近い、ほんの少しの部分が「茎(茎盤・けいばん)」で、あとは葉です。葉の白い部分を「葉鞘(ようしょう)」、緑の部分を「葉身(ようしん)」といいます。生長に合わせて土寄せすることで日の光をあてず、葉鞘部を白く長く育てています。
特に葉鞘部にはビタミンCが多く含まれ、葉身部はビタミンCやカルシウム、特にカロテンが多く含まれています。
栽培する生産者が多く、期待の高い品種です。野菜係長の小出さんは「注意するのは調整作業中に葉が折れやすいこと。ただし葉の部分がコンパクトなため、ごみが少なくて済むのは助かります」と言います。
白くなるのは土のおかげ
JA上伊那の白ネギの出荷期間は8~12月の間。ピークは10~11月にかけてですが、9月の早出しも増えてきています。
JA上伊那のネギ専門部長の山口さんにネギ栽培をするなかで大事にしていることを聞きました。
「太くておいしいネギを作るため、定植初期から途中の消毒・除草管理に意識して栽培しています。また、本来は土をかぶせる葉梢(白ネギの白い部分)を土から20センチ出し、その後、土を根元に寄せる作業を繰り返すことで、ネギをより太く白くさせています」
専用の機械で収穫している様子
土から掘り起こして収穫中
左が規格サイズの太くて長いネギ、右が細くて長いネギ
白ネギは、太さや長さなどを目視で確認し、時期になったら収穫して出荷するそうです。農家さんの愛情と日々の適切な栽培管理により、おいしい白ネギが市場へ届けられるのですね。
ネギは、すき焼きやお鍋の定番商品です。最近、少し肌寒くなってきたので白ネギを使って鍋料理を作ったのですが、加熱すると甘味が増すなと思いました。
JA上伊那の担当者は「タレの下味や餃子の具など、さまざまな料理に使える万能野菜であり、切り方によって風味や食感に違いが出るのも魅力のひとつです」と教えてくれました。
今が旬の白ネギを、ぜひ味わってみてください。
左側は白ネギ専門部長の山口さん、右側はJA上伊那の小出係長