花束はいつもらってもうれしいものです。普段は花に縁がなくても、もらって気づく花の良さもあると思います。卒業・入学シーズンにぴったりな花のひとつ、桜をご紹介します。
枝の蕾はピンク色に色づき、いままさに開花のときを迎えようとしています。 この時期、卒業式や入学式などの装花として需要の高い「啓翁桜(けいおうざくら)」を栽培しているのは、県南部・松川町生田の大蔵昌弘さん。まだ蕾ですが、開花すると1cmほどの淡いピンク色の花が咲きます。大蔵さんの畑は山間部にあるため、山の斜面を活かした花木、フジバガマ、ヒペリカム、ブラックベリー、スノードーム、ハナタケなども栽培しています。
御歳75歳という昌弘さん、失礼ながらご高齢にはこの斜面は危ないのではかな? と心配していると、「斜面は慣れっこ! はしごに登って剪定もする」と心配をはねのけるお言葉。さすがです。
訪ねたときは、3月はじめに切った桜の枝を、通常より早く花を咲かせるため、外気温より高い室内で水揚げして保管する「ふかし」作業の真っ最中で、桜を保管しているビニールハウス内にはストーブと、その上に水を張った鍋があり、十分な湿度と室温(20~25度)が保たれています。
花も人間と同じように、寒いと風邪をひいてしまうそうで、過去には夜間の室温が下がってしまい風邪をひいて咲かなかった年があったのだとか。そのため、風邪をひかないよう室温管理と湿度は一日中必要となります。
1年目の挿し木
始めたきっかけは、本気でやっていた人から、「やってみる?」と苗をもらったこと。挿しておくだけなら...と始めたのが15年ほど前。元々、花木を専業に栽培している大蔵さんですが、「10年ほど前から、桜が採れはじめてから楽しくなってきた」と花木農家魂に火がついて、本腰を入れて栽培をし始めたそうです。木が生長して枝が採れ始めるまでに10年程度かかるため、本格的に出荷し始めたのは5年ほど前です。いまでは、苗をわけてもらった方よりも上手に栽培してしまい、アドバイスをすることもあるのだとか。
2年目の挿し木。枝が伸びている
2~3月の農閑期に出荷できるということもあり、栽培農家が増えつつあるそうで、「生田(地区)でやりたいっていう若い人がいるから、そういう人には苗をあげる」と、挿し木(切った枝を地面に挿して育てる栽培方法)で2年ほど育てた苗を分けているという大蔵さん。若手育成や地域農業の発展にも貢献しています。
「花は『いらん!』って言われることはないから作ってる、もっと採りたいね! これから新生活を始める人には、『頑張れ』と声をかけたい」と、今後の抱負とエールをいただきました。
「これは絶対咲く!」とおすみつきの桜を少し分けてもらい、水に挿しておけばいいとアドバイスをいただき、さっそく花瓶に生けてみました。
風邪をひかないよう、温度と湿度を気にかけていると5日ほどで開花しました。 まだ肌寒い日もありますが、部屋に一枝あるだけで心はポカポカ、春を感じます。 春が待ち遠しい方も、新生活を始める方にもオススメな桜。部屋に飾って春を先どりしてみてはいかがでしょうか?
こちらは 2019.03.12 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
ジャスミン
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