今年は例年になく長いゴールデンウィーク(GW)。長い休みを利用して楽しい計画を予定している人も多いことでしょう。そこにひとつ加えてほしいのが「トマト」。 なぜなら、「GW頃のトマトは一番おいしいんじゃないかと思うんです」。 そう話してくれたのは、「くまとま」こと、熊崎農園の熊崎道代さんです。
トマトは、夏は暑さのために成長が早く、収穫後も熟成が進む「追熟(ついじゅく)」という特性を持ちます。夏場は定植後約2カ月で、赤く熟する前に収穫・販売されることが多いのに比べ、GW頃のトマトは収穫後の追熟もさほど早くないことから、3カ月間たっぷり栄養を吸収して熟成が進んだところで収穫・販売され、おいしいのだそうです。
「トマト栽培に適する土地」と言われる場所にある熊崎農園は、県南部の飯田市山本地区にあって、標高は約620mほど。日中は日差しが十分に降りそそぎ、夜間はぐっと気温が下がるため、昼夜の寒暖差によって実が締まるとともに、光合成による養分をたっぷり蓄えて成長し、味の良いトマトになるのだとか。
「どうせ作るならイチゴが良かった(笑)」と冗談を言いながらも、嫁ぎ先のトマト農家で働き始めて早7年の熊崎さん。旦那様とそのご両親に教わりながら、今ではすっかりトマト栽培にはまっていると言います。「今年のトマトの収穫も、いよいよ先週の2月19日から始まりました」というハウスを案内してもらえば、一反部あるという間口15m、奥行65mという巨大ハウスの内部は、11月中旬から定植して3カ月、今収穫を迎えた苗が1,800本、水耕栽培によって整然と並んでいました。ちなみにこの水耕栽培、昭和60年頃から始められていたと言いますから、もう35年近くになります。
1本の苗で10段作るというトマト。その数え方は、最初に色付く一番下の4つから5つの塊を1つ(1段目)として、他の実は摘果。そして順々に上へと実る塊を2段、3段と数え、6月中旬頃(定植して7カ月)10個目(10段)の塊を収穫したところで役目を終えます。そしまた6月下旬から、トマトの品種を変えて苗を定植し、8月のお盆頃から11月中旬まで収穫、という二期作を行うそうです。
ハウスにはマルハナバチを放ち、受粉作業を50日間一緒に手伝ってもらいます。過湿を嫌うトマトのために、通気性や日当たりを良くするための葉取り作業、わき芽欠きや摘果等と、熊崎さん家はこれからの時期、数カ月ぶっ通しで休日が取れないほどの忙しさが続くそうです。
とはいえ「良いトマトが作れたときにはとても嬉しい」と話す熊崎さん。採れたてのトマトは熊崎農園隣接の自動販売機で販売されます。ほかに2軒の農家が一緒に販売していますが、今はリンゴやブナシメジ、ホウレンソウなどが納められ、訪れたときも数組が慣れた様子であっという間に買い物を済ませていきました。この自動販売機、トマトの時期になれば、トマト目当てに人だかりができることもあるそうです。
「まだまだ栽培は両親に頼っているところが多くて・・・」と話す熊崎さん。なかでもトマト栽培ベテランのお義父さんは「トマトと会話しながらやっているんですよ」とも教えてくれました。 熊崎さん一家が栽培するトマトは、最盛期になると中央自動車道飯田IC出入口近くの「りんごの里農産物直売所」で販売されるそうです。おいしいトマトは、もうすぐです。
【熊崎農園のトマトの販売先】 ◇熊崎さん家の自動販売機 長野県飯田市山本2093-2 TEL 0265-25-2507 ◇りんごの里農産物直売所 長野県飯田市育良町1-2-1(中央自動車道飯田IC前) TEL 0265-28-2770 営業時間 9:00〜18:00 休業日 3月〜12月無休(1月・2月は水曜定休)
こちらは 2019.02.26 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
すし☆すぶた
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