アケビは、東北地方を中心に山里に広く生育するつる性の落葉樹。かつては、長野県の山中にも多く生育しており、長野県内の小学校では、給食にアケビを食べる地域もありました。 しかし近年、自然環境の変化や動物に食べられてしまうこともあり、野生のアケビは減少。栽培する農家も少なく、秋にしか出回ることがないため、その希少価値が高まっています。今回はそんな旬の果物・アケビの紹介です。
やってきたのは、長野県南部の飯田市大瀬木。果物が甘くなる条件のひとつである、昼夜の寒暖差が大きい土地柄から、梨をはじめとする果物の産地として県内有数の生産量を誇ります。 農林水産省統計(2013年)によると、アケビの生産量は山形県がトップ。長野県の生産量は少なく、高齢化等の影響でアケビ農家は毎年減少していますが、直売所によっては、アケビが並べば、あっという間に売り切れてしまう店舗もあるそうです。
長野県のアケビは、4月頃に紫色の花を咲かせ、9月上旬に収穫を行います。また、熟すと色が紫に変色し、果皮が割れて乳白色でゼリー状の果実が顔を出します。果実の中には小さくて黒い種がたくさんあり、少々食べづらいところもありますが、食べてみると甘く、やわらかい食感が口の中に広がります。特に近年では、果皮と果実の間にある果肉の利用方法に注目が集まっており、果肉の特徴である"ほろ苦さ"を生かし、炒め物・てんぷら・詰め物料理などに用いられています。
今回、取材協力してくれたのは飯田市大瀬木に住む椎名賢一さん(66)。 椎名さんは、旅行会社で働きながら趣味で農業を営み、定年退職を期に本格的に農業をスタート。現在はリンゴ・市田柿・山ぶどう等を栽培しており、アケビの栽培は今年で20年目を迎える大ベテランです。アケビの栽培をはじめたきっかけを、「人が栽培していないような農産物を作りたかったから」と話す椎名さん。仕事で行った盛岡でアケビ畑を見た時に「自分でも作りたい」と思ったそうです。
アケビの木は、植えてから収穫するまで7、8年程度の時間を要しますが、椎名さんは「楽しく楽しく待ちました」とニッコリ。 椎名さんの畑にあるアケビの木は30本。1本の木から約300個前後収穫できるそうで、毎年約1万個弱のアケビを収穫します。「楽しくやるのが一番大事。暑い夏が来るたび農業が嫌になりますが、秋の収穫を迎えるたび、(農業を)やってきてよかった、といつも思います」と思いを語ってくれました。
■アケビの販売先 JAみなみ信州農産物直売所「りんごの里」 長野県飯田市育良町1-2-1(中央自動車道飯田インター前) TEL 0265-28-2770 FAX 0265-28-2780 E-mail rin50-1@mis.nn-ja.or.jp 営業時間 9:00〜18:00 休業日 3月〜12月無休(1月・2月は水曜定休日) ※時期・数量によっては販売していない場合がございます。ご確認ください。
■問い合わせ先 椎名賢一さん 携帯電話 090-4734-6060 ※アケビの通販販売は実施しておりません。 【通信販売可能な椎名さんのおススメ商品】 山ぶどうジュース(1箱30本入り7,500円・税込)
こちらは 2016.09.13 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
あぐり君
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