キノコの甘辛煮(左)とキノコの香味だれ
天候をはじめとした自然条件で作柄が左右されがちな農産物。大きな価格の変動は生産者のみならず消費者にとっても頭の痛いところ。そんな中で人工栽培が主流を占めるキノコは、価格も量も1年を通して安定して手に入る家計に優しい存在です。毎日の食卓に上手に生かすコツを、キノコのおいしさや機能、調理の仕方に詳しい「きのこマイスター」でJA上伊那理事の白鳥豊子さん(伊那市)にうかがいました。
冬場のこの時季ならキノコといえば鍋。しかし、白鳥さんは「キノコはどんな料理にも生かせるし、合う」と、鍋に限らずキノコの活用を勧めています。 「みそ汁には、そのまま入れれば良いし、目玉焼きを焼くとき、割り入れた卵の横に好みのキノコを入れて一緒に焼けば、野菜プラスの付け合わせにもなります。肉ジャガもマイタケを入れると一味違った出来上がりに。煮物、炒め物、揚げ物、汁物、グラタンやチーズとの相性も良く、癖がないのでどんな料理にでも合います。タマネギなどと同様に、常備すると便利ですよ」と強調します。
野でとれたものと違い、衛生管理が行き届いた施設で栽培されるキノコは、袋から出し石突き(根元)を取れば、水洗いせずにそのまま料理に使うことができます。とはいえ、例えばエノキタケの場合、どこまでが食べられるのか、貧乏性なリポーターはいつも迷います。 結論から言うと、培地に接したほんの数mm程度を切り落とせば、あとは問題なく食べられます。かさの部分より栄養価が高い、締まった根元の部分を「ステーキ」として食べている生産者もいます。白鳥さんは「どこまでという決まりもないので、好きな部分まで利用すればよいのでは」と言ってくださいました。
「食育が話題になっていますが、親の偏食が子どもに及んでいる現状が心配です。スーパーなどで、キノコが買い物かごの中に入っている姿を見る機会が少なくて寂しい。もっと気軽に料理に活用してほしいですね」と力説する白鳥さん。 そんな中でお勧めは、ブナシメジとエノキタケ、シイタケを細かく刻んで甘辛く煮付けた常備菜「キノコの甘辛煮」です(レシピは下記に掲載)。白鳥さん自身、子どもの弁当を作っていたころには重宝しました、と振り返っています。 「ナメタケも、しょうゆとみりんで煮込めば家庭で簡単に作れます。フライパンでキノコを乾煎りして、大根おろしをかけていただくと酒のさかなにもなるし、おいしいですよ」とも。
キノコは余ったら冷凍保存。冷凍することで硬い細胞壁(セルロース)が崩れ、旨味や栄養成分も増すそうです。たくさん買ったら冷凍保存がおすすめですが、保冷庫でも1週間ぐらいは保存でできます。天気の良い日はざるなどに広げ、天日に1時間ぐらい干すだけでも栄養価が増す上、風味も出ます。冷凍、天日と時間をかければそれだけの見返りがあります。「キノコの世界は奥が深い」と白鳥さんは言います。
※いずれも保存容器に入れ、冷蔵庫で4、5日はもちます。
こちらは 2019.01.29 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
昭和人Ⅱ
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