キノコはいまや衛生的な工場で一年中生産され、量的にも質的にも大幅な進化を遂げています。食用菌類の代表としてのキノコの魅力を伝え、消費拡大を進める日本きのこマイスター協会(中野市)の前澤憲雄理事長に、改めてキノコの効能をうかがうとともに、食材としての魅力や可能性を語っていただきました。
キノコの健康効果についてはエノキタケの制がん効果をはじめ、血液の流れをよくする働きやアレルギーを抑える効果、コレステロール抑制効果など、この50年来、さまざまな分野で研究されてきました。本ブログでも触れている「信州中野 きのこ生産の歴史と未来」展でも紹介しています。それらの効果をまとめると、近年話題となっている腸内環境を整える働きに行き着きます。 つまり、キノコを食べることで、キノコが含む豊富な食物繊維をはじめビタミン、ミネラルなど複合栄養素が腸内細菌を活性化し、結果的に免疫力がアップするのです。食物繊維で見ると100g当たり、生キャベツだと1.8g程度に対し、シイタケの4.2gをはじめエノキタケは3.9g、エリンギは3.4g、ブナシメジは3.7gぐらいと、キノコはどの種類も安定して多いのです。
傘と茎(軸)部分を比べると、食物繊維は軸部分の方が多いから、健康効果から見れば「軸を食べる」のは理にかなっています。最近出回り始めた「軸を食べるぶなしめじ」を本ブログでも紹介していますね。また、エノキタケでも軸の固まった部分を「ステーキ」などとして商品化されている例があります。
「軸を食べるぶなしめじ」(左)と一般的なブナシメジ
同じく軸が占める割合が多いエリンギでは従来、縦にスライスしてキノコの形を残して調理する場合が多かったのですが、サイコロカットや千切りにして「キノコミート」として肉のような食感を前面に打ち出す例も増えてきました。多様な調理の仕方があり、キノコはそれに応える柔軟性を持っています。
厚生労働省は食物繊維の摂取目標を成人男性は1日に20g以上(女性は18g以上)としていますが、現実は十数gにとどまっています。不足分はキノコを食べることで埋めてほしい、というのが私たちの思いです。
帆立て貝を思わせる軸が詰まった「きのこバーガー」の断面
「フードテック」という言葉が世界的に注目され、食料加工のベンチャーが台頭しています。食料の生産から加工、流通に至るまで、それぞれの分野で追求される技術は多岐にわたりますが、食材の分野では循環型社会に適合した環境負荷が小さく、健康に良い、新たな食材が求められています。キノコはその資格十分と思っています。 キノコは乾燥させるとビタミンDが増えます。これからますます重要性が増す高齢者の骨粗しょう症対策には有効でしょう。キノコは9割以上が水分ですから、パウダー(粉末)にするには手間がかかるので、ペースト状にするのも一法でしょう。そんな形であらゆる食品にキノコが一次原料として利用されることを期待しています。
こちらは 2019.09.24 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
昭和人Ⅱ
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