こんもり半球状に盛り上がった姿が一般的なブナシメジに対し、軸が長く伸びて束になった新スタイルのブナシメジが出回り始めました。ブナシメジ、エノキタケ、エリンギなど、日本一のキノコ生産県・長野に現れた〝新顔〟です。開発したのは中野市で高田きのこ園を営む高田健史さんです。
高田さんは、祖父が始めたエノキタケ栽培を継いで就農しました。ブナシメジの生産を始めたのは2014年でしたが、エノキタケからブナシメジへ生産の主軸を移すに当たって高田さんが自ら気付いたのが、ブナシメジの下処理の大変さ。調理する際、培地と接する根元部分を切り取る作業は面倒だし、切り取るとばらばらになってしまうのも厄介に思えました。 株を切り離してすぐに使える「カットブナシメジ」にする方法もありましたが、競合の懸念も。高田さんはエノキタケのような姿のパッケージで売ることを考え、栽培方法を見直し、まっすぐに伸びるように工夫しました。 出来上がった製品は、エノキタケスタイルのブナシメジといった趣です。包装にトレイを使わない分、家庭でもごみは減ります。下処理は、エノキタケと同様に横倒しにして、おがくずが付いた根元部分を切り取るだけ。軸に沿って裂くように切り分ければ、ばらけることも少なく、軸が長い分、可食部分も多くなります。副次効果として通常の栽培だと出てしまう苦味などの雑味が少なく感じる人がいることも分かりました。 2017年にJGAP(農業生産工程管理)を取得。態勢を整えた上、仲間二人と昨年3月から本格的に生産を始めました。
「軸を食べるぶなしめじ」(左)と一般的なブナシメジ。細長く軸が伸びた「軸を食べるぶなしめじ」は、簡単に可食部分を切り分けることができ、バラけることもない
これまでならかき揚げでしか使えなかった天ぷらにも、ブナシメジの形そのままを利用できます。肉巻きにも使えるし、鍋に入れてもまとまっているので存在感があります。「調理の幅は格段に広がります」と高田さんは胸を張ります。 早速、県外の消費者から「スパゲティやポトフに入れてシャキシャキしたおいしい食感を楽しみました。これからもたくさん生産してください」といった便りをもらいました。工場の休憩室に貼り、励みにしています。JA中野市の担当者も「初めての経験」と手応えを感じています。
開発した「軸を食べるぶなしめじ」を持ってほほ笑む高田きのこ園の高田健史社長
高田さんらの「軸を食べるぶなしめじ」は、事前に連絡して予約すれば「JA中野市農産物産館 オランチェ」(TEL 0269-23-5595)や「信州中野いきいき館」(TEL 0269-26-1186)で購入できます。
こちらは 2019.09.10 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
昭和人Ⅱ
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