美容と健康の鍵を握るとされる発酵食品。なかでも私たち日本人にもっとも身近で、昔から慣れ親しんできたものといえば、熱々の一口に身も心も温まる、みそ汁の"みそ"でしょう。 その昔は各家々でみそづくりをすることもあったようですが、今ではそれもごく稀で、最近は食育の一環として小学校の授業で行っているところもあるでしょう。 日本人ならば一度はその作り方を知っておきたい、と思っていた矢先、「あまりの人気ぶりで、急きょまたみそづくりをすることになって」という情報を聞きつけ、県東部の上田市を訪れました。
なんでもこのみそ、ちょっと特別な大豆が使われているそうです。 上田市塩田地区で古くから栽培されているといわれる大豆の名は「こうじいらず」。ウグイス色をした、少し大きめの粒のこの名の由来は「こうじが要らないくらい甘くておいしいみそができる」ことからだとか。
みそに必要な材料は、こうじいらず(大豆)と、麹(地元産コシヒカリ100%)、塩の3点だけ。大豆10に対して麹10で作る、豆と米麹の量が同率のこめみそは、加温、加圧することなく自然に任せ、時期をみて天地返しを行い、ゆっくり熟成させる天然醸造だそうです。
「口コミでみそのおいしさが広がり、今では県外からの問い合わせも多いほどです」と話すJA信州うえだ塩田営農センターの小林伸充さん。さらに、「みそ汁は、だしをとる必要もないほどに甘味がありますし、また、きゅうりに付ければ、ほんとにおいしいのがよくわかりますよ」と、ちょっと興奮気味に教えてくれたのは、中塩田地区営農活性化推進組合みそ班のお母さんたち。「このみそを作るのが楽しみで」と、今回も10名ほどが集ってのみそづくりです。
では、その工程を一緒にご覧ください。
1回の釜で作る量として、40kgほどの大豆を2日間ほど水に浸し、2~3倍ほどにふやかしたら、軟らかく煮ること2時間。煮大豆の良い香りが充満する室内で、硬さを確かめるべく口に入れた大豆は甘味があって、ついもうひと口と、つまみ食いをしたくなるほどに美味。それをすぐさま機械で潰して、台に広げて冷まします。
茹でたばかりの大豆は熱々で、扇風機を稼動させても熱気で室内は真っ白に。ようやく40℃以下に温度が下がったところでひとまとまりにしておきます。
次に、麹(温度を冷まし、大豆と混ぜやすいようにかたまりを手でバラバラにほぐしたもの)と塩を、先ほどの大豆のかたまりを壊しながら混ぜて練り、再度それをひとまとまりにします。
麹をほぐす
叩きつけるようにしてバケツに投げ入れて空気を抜き、詰めていきます。
さらに上から手で押して空気を抜いたら、雑菌が入らないように表面を覆って重石を乗せ、この日の作業は終了です。
あとは頃合を見ながら待つこと数カ月、みそを均一に熟成させるための天地返しを行いながら、あがりを待つのみ。 昔、各家では春の足音が聞こえてくる頃に行われていたとされるみそづくり。その頃はちょうどみその発酵に適した温度となるそうですが、今回は寒い時期に仕込む"寒仕込み"といったところでしょうか。 「ゆっくりと熟成させて、今回は"2年みそ"を作ってみようと思っています」と新たな挑戦を企てる小林さんは、続けて「みそとこうじいらずの人気に、大豆生産者は少しずつ増えているんですよ」とも教えてくれました。 一部の地域で細々と栽培されていた大豆に、今や全国からの熱い眼差しが注がれています。
【信州塩田のこだわりみそ(こうじいらず使用)の販売先】 ◇A・コープコアしおだ店 長野県上田市中野64-1 電話0268-38-3828 営業時間 月~土曜9:30~20:00、日曜9:00~20:00 ◇A・コープマルシェ国分店 長野県上田市国分80 電話0268-27-5580 営業時間 月~土曜9:30~20:30、日曜9:00~20:30 ◇うえだ食彩館ゆとりの里「直販センター」 長野県上田市住吉380-24 電話番号0268-26-1050 営業時間[3~12月]9:00~18:00 [1・2月]9:00~17:00 ◇道の駅あおき 長野県小県郡青木村村松30-2 電話: 0268-49-0333 営業時間 9:00~18:00(店舗により異なる) 定休日 年末年始(12月31日~1月5日) 参考価格:1パック(750g入)750円(税抜き)
こちらは 2018.12.25 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
すし☆すぶた
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