10年以上かけて開発が進められてきた長野県生まれの新しいリンゴが、この夏、はじめて出荷されました。 その名も「シナノリップ」。 リンゴの産地・県北部の飯綱町の生産者・大塚孝雄さんの畑を訪れました。
シナノリップの生産者・大塚孝雄さん(左)とJAながの営農技術員の綿貫良さん
3mほどにスクッと伸びた樹に、真っ赤に色づいたシナノリップが実っています。 樹間は狭いのですが、列と列の間は軽トラックが通れるほどの空間があり、作業の簡略化などが見込める「新わい化栽培」を取り入れたリンゴ畑です。 一定間隔に植えられたシナノリップは、3年目と2年目のもの。
「誘引しないと枝が元気よくなりすぎて、リンゴ(実)に栄養がいかなくなってしまうんです」と大塚さん。誘引とは枝が勢いよく伸び過ぎないように、適切な角度に枝を曲げ、紐などで固定すること。枝1本1本が一度下がってから上向きに成長するよう、丁寧に固定されていました。
「リンゴ作りは毎年が勉強です」という大塚さんは、この道35年の大ベテラン。晩生種の「ふじ」をメインに、早生種「つがる」やシナノリップを家族で栽培しています。 早生・中生・晩生と、さまざまな品種のリンゴが栽培されている昨今。長野県オリジナルで人気の品種「秋映」「シナノスイート」「シナノゴールド」といった中生種を育てていない大塚さんに、その理由を聞いてみました。 「いろいろなリンゴを作るとそれぞれに手がかかってしまいます。よりおいしいふじ(晩生種)を育てるために、わたしは中生種は作りません。石橋を叩いて渡るタイプですね(笑)」
葉っぱの根元の部分が来年の実に。「ここが大きいほど良い実がなります」(大塚さん)
大塚さんは数年前、長野県果樹試験場に行き、実際に樹を見たり、栽培方法について質問をしたうえ、自らの経験や勘も総動員して悩み、考えた末、「真っ赤に色づき、みずみずしくてジューシー。酸味と甘味のバランスも抜群。盆前に出荷できる。よし、賭けてみるか」と、新品種であるシナノリップ生産者のひとりに手をあげました。
飯綱町もかつてない暑さ。「ここ数日、夜の気温がグッと下がったら一気に赤くなりました。寒暖の差が色づきの決め手ですね」(大塚さん)
シナノリップは長野県内のみで栽培されている長野県オリジナルの品種です。飯綱町の生産者は現在20軒ほど、大塚さんが所属している「JAながの」全体でも50軒ほど。今年の出荷目標は3,000ケース(1万5,000kg)と少量のため、地元でも気軽に買えるようになるには、あと数年かかりそうです。
潅水設備完備で日照り対策もバッチリ。奥の空き地にもシナノリップが植えられる予定
とっても貴重なシナノリップをいただきました。
みずみずしくてパリッとした食感。しっかりした甘味。そして、酸味もちゃんと感じられる。これこれ、このバランスの良さ! リンゴ好きにはたまりません。
おいしいシナノリップの見分け方を大塚さんが教えてくださいました。 「皮は透明感のある赤色。お尻は黄緑色から黄色になったら熟したサインです」
シナノリップを購入する際は、透きとおった赤色と黄色いお尻を目安にしてみてくださいね。
リンゴに含まれるポリフェノール「リンゴポリフェノール」は、腸内環境の改善やダイエットの効果も注目されているそうです。どうぞ信州のリンゴをたくさん食べて、季節の変わり目も健やかにお過ごしくださいね。
問合せ 全農長野果実課 TEL 026-236-2222
こちらは 2018.08.21 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
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