「リンゴ」と一言でいってもその品種はとても多く、日本の農林水産省で登録されているリンゴの品種はなんと約177品種に及びます。 リンゴの旬は、秋の終わりから冬までというイメージがありますが、品種ごと見てみるとそんなことはありません。早い時期に旬を迎えるリンゴの早生種については出荷が既に始まっており、なかには旬を過ぎ、今年の出荷を終えてしまったリンゴも存在します。 今回は、そんなリンゴを43品種生産している農家が長野県にいるという噂を聞きつけ、早速取材してきました。
やってきたのは、県南部の南信エリアに位置する宮田村。人口約9,000人が住むこの村は、大自然に囲まれ、農産物の生産にはうってつけの土地です。
今回、取材に応じてくれたのは、「りんご屋すぎやま」を運営するリンゴ農家・杉山栄司さん。 杉山さんの出身地は大阪府。なんでも幼少期に母親が作ってくれたアップルパイがきっかけでリンゴに惚れ込み、「自分でリンゴを作りたい」と、約10年前に脱サラしてここ信州へ。今までとは違う新しい人生「アグリライフ」を歩み始めました。 杉山さんが長野で就農を始めるために引き継いだ土地は、ふじ・つがるといった知名度の高い代表的なリンゴの生産を主としていた農地で、既にリンゴを生産するための環境は整っており、「引き継いだタイミングも良く、ありがたかった」と当時を振り返ります。
リンゴの袋詰めをする杉山さん
長野県の採れたてのリンゴを初めて食べた時、「あまりのおいしさに感動した」と話す杉山さん。その後も、自分の知らないリンゴの品種を食すたびに「自分でも作ってみたい。この品種を消費者に知ってもらいたい」と強く思っていたそうです。そんなとき、ある海外雑誌を見て、アメリカで200品種のリンゴを生産している農家がいると知り、「自分もたくさんの品種を作る!」と決意し、多品種生産に本格的に乗り出しました。
シナノゴールドの木
杉山さんが生産している品種は全部でこれだけあります。
しおりの詩・恋空・シナノレッド・さんさ・つがる 未希ライフ・きおう・旭・メイポール・シナノドルチェ シナノピッコロ・すわっこ・紅玉・千秋・早生ふじ(2種類) 秋映・ジョナゴールド・シナノスイート・陽光・トキ もりのかがやき・美丘・北斗・スターキング・なかの真紅 炎舞・ムーンルージュ・ローズパール・ルビースイート・王林 あいかの香り・シナノゴールド・ふじ・グラニースミス・群馬名月 シナノホッペ・星の金貨・春明21・金星・春紅玉・はるか・スリムレッド (うち19品種は現在育成中)
ちなみにもうすぐ旬を迎えるリンゴはこの品種だとか。
シナノスイート
千秋
紅玉
ところでリンゴのおいしい見分け方はご存知ですか? 杉山さんが言うには品種ごと見分け方も異なるそうですが、一般的には、 (1) 後ろの地色の抜け方(緑色→黄色)を見る。
右のほうがおいしいリンゴだそう
(2) 皮にある点(果点)がしっかり浮き上がっているか などで見極めると良いそうです。特に(1)に関しては、後ろも真っ赤だからといっておいしいわけではないそうです。
今回取材協力してくれた杉山さんの栽培品種は、数年の間には50品種に到達するとか。 「将来的には100品種のリンゴを生産できる農家になれたら楽しいですね」と楽しそうに話してくれました。
■問い合わせ りんご屋すぎやま TEL 0265-85-5502
こちらは 2015.09.15 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
あぐり君
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