(写真提供:JA上伊那)
中華料理や豚骨ラーメンなどに使われていて、黒っぽい色でコリコリとした食感。 料理の中でひときわ異彩を放っている食材「キクラゲ」。 一見、海藻の仲間? と思ってしまいますが、実は、きのこの仲間です。 キクラゲは中華料理の食材としてポピュラーな印象がありますが、国産品は少なく、ほとんどが輸入。そして、多く目にするのは乾燥もの。 きのこの生産量日本一を誇る長野県でも、生のキクラゲは稀少なのです。
長野県の南部、伊那市東春近でブナシメジを中心に生産している株式会社マッシュ・デ・イーナでは、希少な国産キクラゲの栽培に取り組んでいます。 ブナシメジの栽培施設を有効利用し、2015年からキクラゲ栽培を始めました。 菌床3000個を通年栽培しており、生産量は年間3トン。肉厚で良質なキクラゲを生産し、「生」と「乾燥」を全国に販売しています。
収穫は手作業で丁寧に行います(写真提供:JA上伊那)
マッシュ・デ・イーナの北原利通代表取締役にお話を聞きました。
きのこといえば、秋~冬が旬。鍋のシーズンには欠かせませんよね。ところが・・・。 北原さん「実は、キクラゲの旬は春~夏(主に6~9月)。ブナシメジなどのキノコは、夏場の需要が落ちるので、栽培量も少なくなる。その期間を利用してキクラゲを栽培してます。冬期は気温が低いので、栽培には適していませんが、お客さんからの要望もあって、今シーズンは栽培に取り組みました」 食用キクラゲは何種類かあるようですが、「マッシュ・デ・イーナ」で栽培しているのは「アラゲキクラゲ」。3~6センチの耳状、暗褐色。特徴として、表面に灰色の細かい微毛が密生しています。
【キクラゲができるまで】 菌床の発生処理から収穫まで、栽培期間は約4カ月。 1.菌床作り:袋におがくずなどとキクラゲの菌を入れる。(培養センターにて) 2.菌床を培養:培養室で約2~3カ月寝かせる。
培養中の菌床
3.発生処理:菌床の表面に切り傷を入れる。 4.発生室に移して、25度に保温。十分な室温を保ち管理する。 約3週間ほどで、きくらげが出来始める。
温度と湿度を保った発生室
収量は1個の菌床から1~1.5キロ。発生処理前の菌床は2.5キロあり、収穫を終えると1キロになるそうです。収穫後の菌床は堆肥にリサイクルしています。
収穫後、生のキクラゲは100gパック詰め。 乾燥キクラゲは、天日干しをした後、約2時間機械乾燥して仕上げる独自製法で作っています。15g入りで、賞味期限は約6カ月。 それぞれJA上伊那、JA全農長野に出荷しています。
キクラゲには、体に大事な栄養素が多く含まれています。 代表的なもので、ビタミンD、不溶性食物繊維、鉄分、カルシウム、カリウム、ビタミンなど。 キクラゲは、中華料理に代表されるように炒め物で、と思われがちですが・・・。 北原さんおすすめの食べ方は? 「生は、市内の旅館などにも卸していますが、和食に合います。さっと茹でて、わさび醤油で刺し身風に。天ぷらやサラダにしてもおいしいですよ」
マッシュ・デ・イーナの生キクラゲを食べられるお店があります。 伊那市の老舗食堂「萬楽」。地元で長年親しまれているご当地グルメ「ローメン」に、生キクラゲを使った「生キクラゲローメン」が、新たに加わりました。 生のキクラゲを一食あたり40g使っています。 店主の正木金内衛さんは「乾燥キクラゲに比べて肉厚で弾力があり、ローメンとの相性は抜群です」。 伊那市にお越しの際は、ご賞味ください。 ※ローメンについては、「ローメンこそ南信州は伊那の新しい郷土料理」をご覧ください。
「生キクラゲローメン」を手に、正木さん(左)と北原さん
キクラゲについての問い合わせは、JA上伊那営農部きのこ担当(TEL:0265-96-8602)まで。
こちらは 2018.01.16 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
マロン
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