早いもので、もう12月。年の瀬ともなると、ただでさえ慌ただしい毎日に忘年会なども加わり、胃腸を酷使する日々が続きますよね。そんな時、編集部員がモーレツに欲するものの一つが「長いも」。今回は、今が旬の長いもをご紹介します。
やってきたのは長いもの産地でもある塩尻市片丘にある北村亘さんの畑。眼下には市街地が広がります。そして畑にはたくさんの長いもが・・・、とはいかず、一面茶色の土~! そこには殺風景な冬の畑がありました。
一見すると何もない畑。トレンチャー(収穫用の農機具)の右は収穫後、左はこれから
不安げに「今日、収穫体験できますよね?」と尋ねた編集部員に、「右半分は収穫済み、ここから左側はまだありますよ」「10月までは棚がずらっと並んで青々と葉が茂ってますよ。11月になって葉が枯れたら熟した証拠=収穫時。その黄葉の景色も最高! そこで棚を解体して、枝葉を刈り取って、収穫です」と教えてくれた北村さん。地上の枝葉が枯れて何もなくなってからが、長いもの一番おいしい季節の始まりなんですね。
ずらりと並ぶ長芋の棚。秋に一面黄葉した景色は壮観
青々した葉が黄葉して枯れた時が収穫時(JA塩尻市提供)
ちなみに、収穫が早いと長いもにアクが残ってしまうんだとか。すりおろした時に若干青臭さを感じたことや、すぐ赤黒く変色してしまったことはありませんか? これがアクの正体! JA塩尻市では、生産者さんの協力のもと、収穫前のタイミングでアクの検査をしています。
「よ~く土を見て下さい。ほらここも、ここにも」と北村さん。土の中から茶枯れた茎というかツルがちょこんと顔を覗かせています。(おぉっ~、この下に長いもが・・・、お宝お宝)目の前にはスコップが。「これで掘っていいですか?」と先走る編集部員。「やってみる? いいけど・・・」と北村さん。まず軍手でさらさらした土をかき分けると長いもの頭が見えてきました。「出た~~!!」との感動もつかの間、掘っても掘ってもなかなか進まない。「まだまだ序の口、あと1mはあるよ」との北村さんの声に、あえなくギブアップ。
目印はちょこんと土から顔を出すツル
手掘りを体験するもここまでが限界
そこで、長いも収穫の必須アイテム、長いも掘り機「トレンチャー」の登場です。1m20~30cmもの深い穴を軽々と掘ってくれる優れもの。北村さんは20cm間隔で植えられた長いもを傷めないように、注意しながらトレンチャーを操ります。取材当日は曇天・強風の寒い日でしたが、こんな日が長いも堀り日和なんだそう。「雨は論外。機械を動かせないし、長いもに付いた泥が落ちづらく、傷みが早くなるから掘らない。天気が良すぎると穴が深いので、土の中が真っ暗になり長いもがまったく見えなくて大変」と笑いながら話してくれました。
収穫用のトレンチャーと北村さん
こちらの芋掘り棒も収穫作業に欠かせない相棒
そうこうしていると、長いもが見えてきました。土を落とすと、まっすぐで太い、立派な長いもが姿を見せました。ここ片丘は、きめ細やかで水はけの良い赤土と雨が少ない土地柄で、味がぎゅっと濃い、粘りとコクのある長いもができるそう。雨が多すぎると水っぽくなりやすいんだとか。
半分に切ると中は真っ白
さらに最近では、核家族用に中ぶりな長いもや、お好み焼き屋などが使う業務用の大きな長いもなど、要望にあわせて作り分けているそう。このあと、洗わず半日は乾燥させて日持ち効果を保たせています。
きめ細やか、かつクリーミーな粘りとコクが特長
JA塩尻市総務部協同活動推進課の古牧課長と伊藤さんが、とれたての長いもで「とろろご飯」を作ってくれました。北村さんも一番の好物というとろろご飯を、集まってくれた若手長いも生産者の皆さんと一緒に味わいます。すり鉢で丁寧にすりおろし、だし汁を少しずつ加えたら、空気をたっぷり含ませるようにふんわり混ぜてできあがり。炊きたてのアツアツご飯にたっぷりかけていただきます♪ とろりと滑らかな舌触り☆ とろろが駆け巡ってます!! 何杯でもおかわりできそうです。
よく考えると、生でおいしい「おいも」って本当に珍しい=貴重ですよね。ジャガイモだってサツマイモだって生は無理ですし・・・。消化酵素を含んでいるので胃にもやさしく、飲み会が楽しいこの季節のお助けマンでもあります(笑)。
とろろの他に、地元ならではのおススメの食べ方としては、ステーキ、煮物、薄焼き、雪見鍋など。 長いもは熱を加えると食感が激変するのです。火の入れ具合はお好みでどうぞ。生に近いほうから、シャキシャキ → サクサク → ホックホクと、様々な味わいを楽しむことができます。 ちなみに「薄焼き」ってイメージ沸きますか? すりおろした長いもだけをホットプレートで食べやすい大きさで丸く焼くだけ。とろみが一変、ほわっともっちもちに、甘さも際だちます。この薄焼きは離乳食にも向いているそう。にんにく醤油を薄く塗れば、大人のおつまみにもピッタリだとか♪
出荷作業中の長いも。一本一本手で土を落として出荷される
今回取材した長いもは「新鮮市場ききょう」(塩尻市広丘郷原1350-1 定休日:12月31日~1月5日 電話0263-52-1965)でも販売されています。
切り方や加熱方法によって味わいが変わる長いも。お料理の幅が広がること間違いなし! この冬、お好みの食べ方で元気に乗り切りましょう☆
JA塩尻市直売所「新鮮市場ききょう」
入口すぐに長芋コーナー
11月25-26日ふじ・長いも・ワインまつりが行われた
塩尻市のワイナリーで造った今年の新酒ワイン
●4月下旬~5月初旬 大きな農機で深く耕運 軽く盛り土したところに3cm程の深さに種芋を植える ※種芋は収穫した長いもを越冬し、4~5cmに切ったものを用意 ●5月中下旬 棚を設置。青々と葉が覆い茂る ●10月 黄葉が美しい ●11月 葉が枯れたところで棚を解体、収穫
JA塩尻市
こちらは 2017.12.12 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
まちゃ
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