今回は長野県が全国生産量1位を誇るカーネーションをご紹介します。カーネーションというと、母の日を思い浮かべる方も多いかと思いますが、それだけではありません。たくさんの品種があり、いろいろな場面で活躍しています。どんなふうに生産されているのか、生産現場をレポートします。
県南部富士見町にある名取靖さんの農場では、たくさんのカーネーションが収穫期を迎えていました。鮮度を保つために涼しい時間帯に収穫するので、この日も朝6時前から収穫作業が行われていました。これから夏に向けて日中の気温が高くなる時期には、朝4時半ころから作業することもあるそうです。
カーネーション農家の名取靖さん
ハウスごとに苗を植える時期を1カ月ずつ遅らせて、収穫期をずらすようにしています。取材時は、12月頃に植えた苗がちょうど収穫を迎えていました。気温が上がり生育が早まると、ずらした収穫期が近づいてきてしまうので、収穫作業は時間との戦い。ハサミを使わず手で茎を折って収穫していました。これが一番早く収穫できる方法だそうです。
手で折って素早く収穫する生産者
夏場には夕方にも収穫作業を行うほか、2番花を育てるための芽かきなど、土壌消毒→土作り→定植→芽かき→収穫→土壌消毒と、年間を通して作業があります。
富士見町など諏訪地域のカーネーションは、標高760メートルから1200メートルの高冷地で生産されています。ここでは、一日の温度差が大きく、晴天率も高いため日照量が多く、色鮮やかで長持ちする花が育ちます。
カーネーションは赤、ピンク、白、グリーン、黄、オレンジなどの色や、花びらの違いによりたくさんの品種があります。地元のJA信州諏訪管内だけでも、スタンダードカーネーション94品種、スプレーカーネーション51品種が生産されているそうです。中には、1軒の農家で17~18品種を作る方もいるというから驚きです。花束やアレンジメントはもちろん、ブライダル、弔事など、さまざまな場面で活躍しています。
フラワーアレンジメント(カーネーション、サマーチェリー)
収穫したカーネーションは、鮮度保持のため約8度の冷蔵庫内で花を冷やしながら、STS剤(延命剤)を5~10時間吸わせる「前処理(延命処理)」を行います。日持ち向上へ向けて、生鮮野菜以上に気を使っているそうです。
規格ごとに選別し、大切に箱詰めされたカーネーションは、集荷所に運び込まれると、検査員により全箱開封検査されて、東京、中京、大阪などの各市場へ出荷されます。
集荷された花は、鮮度を保つため検査まで冷蔵庫で保管される
検査レーンを流れるカーネーション
全箱開封して検査員がチェック後、等級シールを貼る
検査を終えて梱包されたカーネーション
JA信州諏訪管内には、富士見町を中心におよそ70人のカーネーション生産者がいて、年間に約12万箱(1箱100本)の出荷をしており、5月末から12月頃まで出荷が続きます。 曇りがちなこの時期、高原で育ったきれいなカーネーションを飾って、心も笑顔になりませんか?
こちらは 2017.06.27 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
ピーチちゃん
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