果物

新しくて懐かしい「桑の実」を知っていますか?

桑の実

20170621berry02.pngさて、社会科の復習です。この記号は何でしょう。
答えは「桑畑」です。

地図の記号にもなるように、日本では、かつて養蚕が盛んだったこともあり、各地に桑畑の名残があります。
その養蚕に欠かせない桑は、葉っぱが蚕のエサになることで知られていますが、その木に実る果実「桑の実」は、ご存知でしょうか? 体によい成分を含んでいて、健康にも美容にも効果が期待できる「実」なんです。
今回は、「桑の実」と「桑の葉」を紹介します。

桑の実って、どんな実?

桑の実は、クワ科クワ属の落葉樹になる果実の総称です。「マルベリー」「ミュール」とも呼ばれています。品種や変種がたくさんあり、葉っぱを収穫する養蚕用の「ヤマグワ」と、果実の収穫が目的の「西洋桑」に大別されます。

桑の実

桑の実は、成りはじめは白く、徐々に赤くなり、完全に熟すと赤黒くなります。
果実はラズベリーなどと同じように小さな粒が集まって1個の果実になっていて、真ん中の軸は果実の先近くまで中心を貫いてます。
葉っぱは縁にギザギザがあり、木にたくさん付いています。

農薬不使用の桑の実で6次産業化

20170621berry04.jpg桑を栽培しているのは、県東部に位置する上田市の「NPO法人エリスン」。お話を伺ったのは、営業担当の職業指導員・安達孝之さんです。

上田市は、かつては養蚕の町として大きく栄えていました。今では養蚕農家もほとんど見られなくなってしまいましたが、当時の名残として桑の木がそこかしこに見られます。
エリスンでは、耕作放棄地を開墾・整備して、かつて上田地域に広がっていた桑畑を甦らせる活動をしています。現在、6つの農場約12ヘクタールの面積に桑の木約2,000本を栽培しています。6次産業化に取り組んでいて、収穫した実と葉はすべてジャムやくわ茶などに加工し、販売しています。

桑の実

安達さん
「桑は、病害虫の心配が少なく育てやすい樹で、余計な手間がかかりません。もちろん農薬不使用です。『アメリカンマルベリー』『キラベリー』『ララベリー』の3種類を栽培しており、『アメリカンマルベリー』が9割です。昨日収穫したアメリカンマルベリーがあるので、食べてみてください」

編集部員
「美味しい! あっさりとした甘さ、酸味もきつくなく食べやすいです」

桑の実

アメリカンマルベリー

ライバルは鳥獣とアリ!?

収穫を控えた「別所温泉農場」を案内してもらいました。
上田電鉄別所線を見下ろす斜面に、桑の木が等間隔に植えられています。畑を囲むように何やら電線のようなものが・・・。
「シカやイノシシが桑の葉や実を食べてしまうので、電線で囲ってます。そのほかにも実を狙っているのが、アリ。収穫は、鳥獣やアリとの競争です」

桑の実

《桑の栽培》

1~2月頃
剪定をします。丈夫でよく枝が伸びるので、収穫作業しやすい高さに整えます。

4~5月頃
花が咲き、実をつけ始めます。桑は、雌株と雄株に分かれていて、花粉は風で飛ぶので、人工授粉はしません。

6月中旬〜下旬
実が熟し赤黒くなったら収穫します。熟した実は、ちょっと触るだけで、ポロッと採れます。

収穫後〜9月
実の収穫が終ると、葉の収穫をします。

桑の実・桑の葉の効能に注目!

桑の実

桑の実は、アントシアニン、ビタミン類や鉄分、カルシウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛など豊富な栄養素を含んでいます。アントシアニンは、ポリフェノールの一種で、抗酸化力によって老化を予防する効能が期待されています。カリウムは、余分な塩分を排出してくれるので、高血圧を防いでくれる効能が期待されています。

桑の葉は、ビタミン類、亜鉛、鉄分、食物繊維など多くの健康成分を含んでいます。乾燥させたものは、健康茶として注目されています。

新商品の開発や生食用販売に向けて研究中

桑の実

左から、
「桑の実サイダー」着色料不使用の真っ赤なサイダー。甘さひかえめ、弱炭酸のスッキリ味。
「くわの実コンポート」桑の実ひと粒ひと粒をそのまま瓶詰めにしました。ほのかな甘さとつぶつぶの食感を楽しめます。
20170621berry07.jpg「くわの実ジャム」大きな桑の実をふんだんに使用。果実の形を残し、糖度48度で酸味をおさえています。
「くわ茶」丁寧に摘み取った桑の葉を、洗浄→細断→乾燥→加工したお茶の葉。
「くわの葉パウダー」丁寧に摘み取った桑の葉を、洗浄→乾燥→粉砕したパウダー。

熟した桑の実は、傷みやすく日持ちしないため、生のままの販売は難しいとのこと。
「何とか生食での販売を目指し、保存方法を研究中」と安達さん。
このほかにも、桑の実や葉を使った加工品の開発を進めていますので、ご期待ください。

つみとり体験はお早めに!

エリスンでは、「桑の実つみとり体験」(要予約)も開催しており、生の桑の実を食べることができます。今年2017年は、6月25日までとなっております。気になる方はお早めにお申し込みくださいね!

※記事は1917年時点のものです。詳細は下記に直接お問い合わせください。
【お問合せ先】
特定非営利活動法人 エリスン(ネットショップもあります)
TEL:0268-39-8666(開館時間:AM9:00〜PM4:00)
ホームページ: http://elisun.jp/

こちらは の記事です。
農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

この記事を書いた人

マロン

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