さて、社会科の復習です。この記号は何でしょう。答えは「桑畑」です。 地図の記号にもなるように、日本では、かつて養蚕が盛んだったこともあり、各地に桑畑の名残があります。 その養蚕に欠かせない桑は、葉っぱが蚕のエサになることで知られていますが、その木に実る果実「桑の実」は、ご存知でしょうか? 体によい成分を含んでいて、健康にも美容にも効果が期待できる「実」なんです。 今回は、「桑の実」と「桑の葉」を紹介します。
桑の実は、クワ科クワ属の落葉樹になる果実の総称です。「マルベリー」「ミュール」とも呼ばれています。品種や変種がたくさんあり、葉っぱを収穫する養蚕用の「ヤマグワ」と、果実の収穫が目的の「西洋桑」に大別されます。
桑の実は、成りはじめは白く、徐々に赤くなり、完全に熟すと赤黒くなります。 果実はラズベリーなどと同じように小さな粒が集まって1個の果実になっていて、真ん中の軸は果実の先近くまで中心を貫いてます。 葉っぱは縁にギザギザがあり、木にたくさん付いています。
桑を栽培しているのは、県東部に位置する上田市の「NPO法人エリスン」。お話を伺ったのは、営業担当の職業指導員・安達孝之さんです。
上田市は、かつては養蚕の町として大きく栄えていました。今では養蚕農家もほとんど見られなくなってしまいましたが、当時の名残として桑の木がそこかしこに見られます。 エリスンでは、耕作放棄地を開墾・整備して、かつて上田地域に広がっていた桑畑を甦らせる活動をしています。現在、6つの農場約12ヘクタールの面積に桑の木約2,000本を栽培しています。6次産業化に取り組んでいて、収穫した実と葉はすべてジャムやくわ茶などに加工し、販売しています。
安達さん 「桑は、病害虫の心配が少なく育てやすい樹で、余計な手間がかかりません。もちろん農薬不使用です。『アメリカンマルベリー』『キラベリー』『ララベリー』の3種類を栽培しており、『アメリカンマルベリー』が9割です。昨日収穫したアメリカンマルベリーがあるので、食べてみてください」 編集部員 「美味しい! あっさりとした甘さ、酸味もきつくなく食べやすいです」
アメリカンマルベリー
収穫を控えた「別所温泉農場」を案内してもらいました。 上田電鉄別所線を見下ろす斜面に、桑の木が等間隔に植えられています。畑を囲むように何やら電線のようなものが・・・。 「シカやイノシシが桑の葉や実を食べてしまうので、電線で囲ってます。そのほかにも実を狙っているのが、アリ。収穫は、鳥獣やアリとの競争です」
《桑の栽培》 1~2月頃: 剪定をします。丈夫でよく枝が伸びるので、収穫作業しやすい高さに整えます。 4~5月頃: 花が咲き、実をつけ始めます。桑は、雌株と雄株に分かれていて、花粉は風で飛ぶので、人工授粉はしません。 6月中旬〜下旬: 実が熟し赤黒くなったら収穫します。熟した実は、ちょっと触るだけで、ポロッと採れます。 収穫後〜9月 実の収穫が終ると、葉の収穫をします。
桑の実は、アントシアニン、ビタミン類や鉄分、カルシウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛など豊富な栄養素を含んでいます。アントシアニンは、ポリフェノールの一種で、抗酸化力によって老化を予防する効能が期待されています。カリウムは、余分な塩分を排出してくれるので、高血圧を防いでくれる効能が期待されています。 桑の葉は、ビタミン類、亜鉛、鉄分、食物繊維など多くの健康成分を含んでいます。乾燥させたものは、健康茶として注目されています。
左から、 「桑の実サイダー」着色料不使用の真っ赤なサイダー。甘さひかえめ、弱炭酸のスッキリ味。 「くわの実コンポート」桑の実ひと粒ひと粒をそのまま瓶詰めにしました。ほのかな甘さとつぶつぶの食感を楽しめます。 「くわの実ジャム」大きな桑の実をふんだんに使用。果実の形を残し、糖度48度で酸味をおさえています。 「くわ茶」丁寧に摘み取った桑の葉を、洗浄→細断→乾燥→加工したお茶の葉。 「くわの葉パウダー」丁寧に摘み取った桑の葉を、洗浄→乾燥→粉砕したパウダー。
熟した桑の実は、傷みやすく日持ちしないため、生のままの販売は難しいとのこと。 「何とか生食での販売を目指し、保存方法を研究中」と安達さん。 このほかにも、桑の実や葉を使った加工品の開発を進めていますので、ご期待ください。
エリスンでは、「桑の実つみとり体験」(要予約)も開催しており、生の桑の実を食べることができます。今年2017年は、6月25日までとなっております。気になる方はお早めにお申し込みくださいね!
※記事は1917年時点のものです。詳細は下記に直接お問い合わせください。 【お問合せ先】 特定非営利活動法人 エリスン(ネットショップもあります) TEL:0268-39-8666(開館時間:AM9:00〜PM4:00) ホームページ: http://elisun.jp/
こちらは 2017.06.20 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
マロン
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