米穀

長野米のおいしさの源を訪ねてみました

長野米

以前「鳥追い祭り」で取材した佐久市浅科地域は、長野県でもとびきりおいしいと言われる「五郎兵衛米」の産地です。5月も終わりに近づいたころ訪れてみると田植えも最終段階に入っていて、浅間山をバックに整然と植えられたばかりの稲が風にそよぎ、とてもすがすがしい光景が広がっていました。
さてこうして育てられた稲が、私たちの家庭で見るおなじみの姿になるのに、どんな過程を経てきているのでしょうか。

長野米

五郎兵衛米の苗が軽トラックに積み込まれ、次々に田へ運ばれていきます

おいしさを育む内陸部特有の気候風土

長野県では平野部といっても海沿いの県の広大な平野と比べれば狭く、斜面に段をつけながらの水田も少なくありません。水を張って稲を育てる水田は、畑と違って水平にしなければ成り立ちませんので、丘陵地が多く平野部が少ない長野県は地形的には不利になります。ところが「内陸部だからこそ、おいしいお米の生産に適している」と説明するのは、JA全農長野米穀課の宮村さんです。
内陸部は川の源流にあたり標高が高い。標高が高いと全体的に気温が低いため病害虫の発生が抑えられるとともに、朝夕の温度差が大きく、それがおいしいお米が育つのに適しているのだそうです。内陸性の気候は日照時間も長く、冬に大量に積もった雪どけ水を源流とする清冽な水も、おいしさに一役買っています。
長野県産米は1等級の比率の高さが全国でもトップクラスで、宮村さんの言葉が裏付けられています。

お米のおいしさを引き立てる人たち

ところで、良いお米が収穫されたとしても、その品質が保たれたまま安定的に流通が維持され、かつその過程で適切な「精米」がされていなければ、私たちはそのおいしさを味わうことができないでしょう。
お米の精米とはいかなるものなのか、それを確かめに、長野県産のお米の多くを取り扱っている精米会社(株)マイパール長野さんにお伺いしてみました。

長野米

米どころ安曇野のど真ん中にマイパール長野精米工場がありました

「お米のおいしさを食味と食感に分けるとすると、食味はその土地の環境とお米の育て方でほぼ決まってしまいます。私たちがしている精米はどちらかというと食感にかかわりますね」と説明いただいたのは、同社の中山工場長です。
長野県のお米のおいしさを損ねることのないよう、この工場では様々な技術を駆使して精米し、袋に詰めて出荷しています。
この精米工場には長野県中から玄米が運び込まれてくるわけですが、どのようにして私たちが目にする姿に変わっていくのか、中山工場長に精米工場を案内していただきました。

長野米

荷受けホッパー

長野県内各地から運び込まれた玄米は荷受けホッパーに投入され、その後様々な工程を巡ります。まず通過するのが精選機と石抜機で、精米に入る前に糸クズ、もみ殻、未成熟の米粒、石、鉄類等が取り除かれます。

長野米

精選機と中山工場長

長野米

大型石抜機

その次が精米で、精米とは玄米からヌカを削り取る工程です。通常は重量にして玄米の10%ほどが削られます。ここでは商品に合わせ大小2種類の精米機が稼働しており、お米の表面に付着したヌカも除去されて光沢の良い白米に仕上げられるのです。

長野米

150馬力の大型精米機

精米後も割れた米(砕米)や着色米を取り除いたり、米粒の大きさを均一に整えたり、さらには金属探知機といった工程が続きます。

長野米

ハイブロシフター。振動させて砕米を除去します

長野米

マジックソーター。着色粒やガラスなどの異物を除去

長野米

袋詰めとともに最終の金属探知を行います

長野米

袋詰めされたお米を積み上げるロボット

全体を通してみると精米工場とはいえ、精米そのものより異物や食感を損なう様々なものを取り除くための工程が"これでもか"というくらい延々と続いているといった印象です。
私たちが普段意識することのないこういった過程を経て、お米を安全に、そして、おいしく食べることができるんだな、と実感しました。

長野米

このブランド、一度食べてみませんか

長野米

出番を待つ各ブランドの袋

ところで各地から運び込まれるお米は、その地域によって個性が違います。それを品種別、地域別あるいは精米処理の仕方によって商品名をつけ、袋詰めしていくわけですが、これがブランドになります。前述の「五郎兵衛米」は特定の地域で産出された人気ブランドと言うわけです。
ここから出荷される様々なブランドのうち目を引いたのは、例えば「一番開花」。これまたお米がおいしいとされる北信州・飯山市木島産の稲の穂の先端部分(この部分が一番最初に開花する)だけを使ったという、いわば"お米の中のお米"です。
そして今売り出し中なのが2013年に登録されたニューフェイスの長野県オリジナル米「風さやか」。あっさりした食感は女性に好評で、冷めても「もっちり」とした食感とおいしさが保たれるので、おにぎり、お弁当などにもピッタリです。しっかりとした旨味と甘味があり、粘り・味・香りのバランスも良いことから、特に和食に合うと言われています。

長野米

今のところ順調に育ち始めた長野県のお米。今年はどんなおいしさに出会えるのか、楽しみです。(つかはら)

■ 参考サイト
株式会社マイパール長野コーポレートサイト
長野米ネットショップ/産地の説明
「一番開花」について
「風さやか」特設サイト

こちらは の記事です。
農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

1496156400000

関連記事

米粉が切り拓いていく新しいお米の未来の形
米穀

米粉が切り拓いていく新しいお米の未来の形

バケツ稲づくり観察ノート 10月 涙の収穫編
米穀

バケツ稲づくり観察ノート 10月 涙の収穫編

ダンボールでミネラル豊富な堆肥づくり
加工品

ダンボールでミネラル豊富な堆肥づくり

長野県産米で安心!アレルゲンフリーのおいしい非常食
米穀

長野県産米で安心!アレルゲンフリーのおいしい非常食

新着記事