こんにゃく芋からこんにゃくを手づくりした経験のある方は、少ないのではないでしょうか。今回ご紹介するのは、冬場の手仕事として仲間と一緒に手づくりこんにゃくを楽しむために、自家用こんにゃくを栽培している西澤靖子さんとその仲間たちです。
こんにゃく芋を植える西澤さん
西澤さんは、1998年2月開催の長野冬季オリンピックの開会式・閉会式の会場として使用されました長野オリンピックスタジアムに程近い、長野県長野市篠ノ井東福寺で自家用こんにゃくを栽培しています。今年(2017年)のこんにゃく芋の植えつけは4月22日。畑の周りの桃畑の桃の花は満開を迎えていました。 植えつけた芋は、順調に育てば6月頃に芽が出てくるそうです。
地下室で大切に保存
生芋でつくるこんにゃくが食べられるのは、10月から3月頃まで。こんにゃく芋は寒さに弱いため、西澤さんは、コンテナに入れたこんにゃくの上に、藁やもみ殻などをかけて保温効果を高め、地下の室(むろ)で保存しています。 1年目、2年目の芋は、翌年に畑に戻し、3年目のものをこんにゃくにし、おでん、田楽、煮物料理などにして食べています。
西澤さんが昨シーズンこんにゃくづくりに使用した芋は約30個。3月の中旬、2016年産の芋でつくるこんにゃくづくりにお邪魔しました。
こんにゃくづくりを楽しむみなさん(左から宮本良枝さん、富田さん、西澤さん、宮本千恵子さん、荒井さん、荒川さん)
西澤さんと一緒にこんにゃくをつくるのは、同じ地域に住む女性たち(荒井ふじ子さん、荒川八恵子さん、宮本千恵子さん、富田則子さん、宮本良枝さん)5人です。 何回も協働でこんにゃくをつくっている仲間なので、各人の役割が自然に決まっていて、何も言わなくても一人ひとりがテキパキと作業しています。
手分けして生芋を一口大に切る
「こんにゃくづくりはひとりでもできるが、ひとりでやろうと思わない」「ひとりではやりたくない。やる気にならない」と全員が声を揃えて笑顔で話してくれました。その理由は、これからご紹介するこんにゃくづくりの工程にありました。それでは、こんにゃくづくりをご紹介しましょう!
生芋をミキサーにかけると調理室の中には独特の匂いが漂いました。こんにゃくの香りとも違い、どう表現してよいか難しい・・・。西澤さんが、「こんにゃくの花の香りに似ている」と喩えてくれたクセのある匂いは、加熱することでこんにゃくのよい香りに変化していきました。
切った生芋と水を入れてミキサーする富田さん
すりつぶした汁をかくはんする荒井さん
生芋を洗ってからこんにゃくができるまで、約2時間。「みんなで作業を分担、協力し、段取りよくやったからこの時間でできたんだよ。人が多くても、少なくても時間はかかってしまうから、5~6人がいいかな」と西澤さん。ワイワイ、ギャーギャーいいながらみんなでやるからこそつくれる、と。 今回は、5鍋分のこんにゃくを作りましたが、不思議なことに鍋ごとにこんにゃくの色が微妙に違うのです。これが、手づくりのよさなんでしょうね。
「出来上がったばかりのこんにゃくを食べたいな」とお願いしたのですが、「あくがまだ少し残っているので、水に半日ぐらいさらしたほうが、美味しいこんにゃくになるよ」と言われ、その場で出来立てを食べることはできませんでした・・・。残念。
おすそ分けしてもらったこんにゃくを、数時間水にさらしてから刺身こんにゃくにしていただきました。これがにんにゃく本来の香りなのか、と思えるほどしっかりしていて、歯ざわりも絶妙で美味しかったです。
こちらは 2017.04.25 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
さくら
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