ふとした時に、暖かくやわらかなトーンの春色を見ると、なぜかワクワク・ソワソワしてしまう。そんな季節がやって来ましたね! そこで今回は、ひと足早く春爛漫な花畑から、色とりどりのお花のご紹介です。
訪ねたのは、長野県北部にある千曲市。信州の花といえば南信地域(県南部)が有名ですが、ここ千曲市も、古くから花の栽培が盛んな土地柄なんです。長野県が生産量日本一を誇るトルコギキョウを昭和25(1950)年頃、全国に先駆けて栽培を始めた場所でもあるとか。
案内してくれたのは、栽培歴20年のベテラン生産者、久保田寛さん。16棟ものハウスで、年間通して10種類の花を育てています。主力のトルコギキョウは6月中旬からですが、今の時期(3月)の花を教えてもらいました。
生産者の久保田寛さん
パステルカラーのカンパニュラ
一つ目のハウスの扉を開けると、ピンク・薄紫・紫と、一面パステルカラーのお花畑が♪ ハウス内の暖かさと相まって、まさに春満開です。 「これがカンパニュラ。花の形から釣鐘草とも言われているんだよ」と久保田さん。栽培のポイントは温度管理。今年のような暖冬や急激な寒暖差には常に気を配ってきたそう。使用するのは、地元で剪定された枝を燃料とした暖房用のまきストーブです。
カンパニュラ
暖房のボイラーの燃料は剪定枝
それ以上に「一番厄介なのは収穫作業」と言います。一番花の次は根元の方から次々と蕾を付ける二番花。草丈が半分くらいに成長し、開花したら再度出荷。ハサミで枝を切る時に、次の二番花を誤って切ったり傷つけたりしないように、丁寧な作業が必要だそう。「まあ大変だけど、たくさん出荷できるから嬉しい悲鳴でもあるよ」と笑います。
茎の下から次々と新しい花が咲く
キンギョソウ(カリヨンピンク)
キンギョソウ(カリヨンホワイト)
続いてのハウスは、赤・白・黄色とこれまた華やかな色合いのキンギョソウ。花びらのピラピラが優雅に泳ぐ金魚の尾びれに似てるかも・・・。切り花で見るよりずっと背高のっぽで、1m30~40cmと、まっすぐ伸びた茎の先端5~10cm程に幾つもの可愛らしい花がつき、1本でもボリューム満点の花です。「カリヨンピンク」「カリヨンホワイト」「カリヨンイエロー」とあり、特にこの「カリヨンイエロー」は、2016年1月28日に行われた花のコンテスト「信州フラワーショー」で、北信地域唯一の受賞を果たした品種でもあります。栽培のポイントは、茎をまっすぐ伸ばす工夫。3段にも張ったネットで1本1本まっすぐ育てます。春らしい華やかさで人気なのもうなずけます。
キンギョソウ(カリヨンイエロー)
まっすぐ育てる秘訣はオレンジ色の3段ネット
クリスマスローズ
次に案内されたのは、もう終盤を迎えた「クリスマスローズ」。西洋でクリスマスシーズンに咲くため、その名がつけられたとか。日本ではバレンタインデーにもピッタリな花のひとつ。やさしいピンクと淡いグリーンの花、葉の緑とのコントラストが目をひきます。全体的に愛らしいフォルムで、庭植えとしても人気の花です。
3月上旬のアリウム ブルーパフューム
4月にはバニラの香りの美しい花が咲く(写真提供:JAちくま)
その隣には、何やらタマネギのようにひょろひょろした苗がありました。今は、見た目も香りもネギのようですが・・・。 これは「アリウム ブルーパフューム」。その名の通り、4月頃に青色の小さな花が集まった、ネギボウズのような花を咲かせるそうです。アレンジのポイントとしても使いやすそうですよ。
収穫直後、花畑での生け花
ここで、生産者の久保田さんに聞いちゃいました!
Q:切り花を長持ちさせるコツは?
A:とにかく水をきれいに保つことが大切です。 ①買ってきた花の茎の根元を水洗いすること。(バクテリアの繁殖を抑えるため) ②水中で斜めに水切り、この時すぐに引き上げないで十分に水分を吸わせること。(断面積を大きくカットして、じっくり水を吸わせるため) ③水はコマメに取り換えること。(バクテリアの繁殖を抑えるため) ④延命剤を入れる。(十円玉、漂白剤などという手もある)
久保田さんに生けていただいた色とりどりの花と
「まだ少し寒い日もありますが、これから花の季節真っ盛りとなります。大切な記念日はもちろん、日常生活でも花を、春を、楽しんでほしいですね」と、華やかな花束を抱えて微笑む久保田さん。この日、ひと足早い春を満喫した編集部員なのでした♪
JAちくま
こちらは 2016.03.08 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
まちゃ
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