アルストロメリアという花をご存じですか。 南米・アンデス原産の豊富な花色を持つユリズイセン科の多年草です。 別名「アンデスのユリ」とも。 ヨーロッパに渡り、オランダなどで改良された結果、1年を通して花が咲く「四季咲き性」を獲得しました。花持ちがいい上、1本の茎から複数の花をつけるため、ボリューム感に優れます。ピンク、黄色から白まで多彩な花色も自慢です。
アルストロメリアは、長野県の上伊那地方が日本一の産地です。 日照時間が長く冷涼な気候の土地を好むことに着目して、1970年代に栽培が始まりました。1996年に地域内5農協が合併してJA上伊那が誕生することで出荷量がまとまり、一段とパワーアップ。いまや1年間で1000万本以上を出荷する大産地となりました。
JA上伊那花き部会・部会長の赤羽今男さんのハウスを訪ねました。 通年で咲くアルストロメリアは、結婚式などの慶事から葬儀をはじめとした弔事まで幅広いシーンで活躍しています。 需要に応えるため、栽培農家は、冬は暖房を施し、夏は地中冷房で地温の上昇を抑えるなど、通年栽培のハウス整備を続けてきました。 移ろいやすい消費動向に対応するため、JA上伊那では毎年、先進地のオランダに出向き、育種段階から上伊那の気候に合わせ、日本人の趣向にあった品種選定に当たっています。地元では2カ所の試作圃(ほ)を用意。農家の品種選びの一助としています。
赤羽さんは、サラリーマン時代からアルストロメリア栽培に取り組み30年余。「どんな作物でも基本は変わらない」と断りつつ「毎日の選花を含め、アルストロメリアは手間がかかり、1年中休むときがありません」と苦笑いします。 そんな苦労も、ひとえに「産地として伸びて行ってほしい」から。日本一のアルストロメリア産地を支える心意気です。
年中花を切らさないため、出荷は1週間に3回。アルストロメリアの世話は「休む暇がありません」と言いつつ、蕾(つぼみ)の状態を見て回るJA上伊那花き部会長の赤羽今男さん
年度末から新年度のスタートに向かうこれからの時期に出荷のピークを迎えるそうです。農家の思いがたっぷりと詰まったアルストロメリア。お世話になった人たちに、お礼と感謝の気持ちを込めて贈るのにぴったりです。
3月14日はホワイトデー。JA上伊那やJA全農長野は、この日を「フラワーホワイトデー」と呼んで、花のある暮らしをアピールしています。
黄色、白、ピンク...豊富な花色を誇るアルストロメリア
*アルストロメリアをはじめとした切り花を中心に、花の上手な扱い方がJA上伊那花き部会のホームページに詳しく解説されています。参考にしてください。
こちらは 2020.03.03 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
昭和人Ⅱ
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