「未来への憧れ」・・・なんとも素敵な花言葉を持つアルストロメリア。 今回は、長野県が生産量全国トップの産地を誇るアルストロメリアのお話。中でも一番の産地である上伊那地域から、最盛期を前にした、この時期ならではの作業や出荷時の工夫、はたまた「目揃え会(めぞろえかい)」なる出荷査定会の模様をお伝えします。
JA上伊那 美篶花卉選果場
訪ねたのは、長野県南部、南アルプスと中央アルプスと天竜川からなる伊那谷(伊那市)。 中央道で東京・名古屋から2時間半、さらに桜の三大名所のひとつ、高遠城址公園でも有名な豊かな自然に恵まれた地域です。もともと日照時間が長く、天竜川流域に広がる肥沃な土地に恵まれ、稲作、畜産、果樹、花きなど農業生産が盛んでもありました。
まずは、ご存知の方も多いと思いますが、日本一のアルストロメリアのご紹介を♪ その花色は白、オレンジ、黄色、ピンク、赤などカラフルの極み、色だけで140種もあります。花びらには条斑(じょうはん)というすじ模様があり、これで昆虫を誘うという優れもの。気持ち太めな茎はすっくと背高に立ち、細身の葉は、何故かくるりと巻いて裏側が上を向いているところがこれまたオシャレ! です。 ちなみに、名前はスウェーデンの植物学者アルストロメール(1794年没)に由来ですって。 上伊那地域での生産面積は14ha、年間1300万本を越す生産量で、その販売額は、なっなんと10億円突破! 周年長期安定生産が可能で、切り花として長い間楽しめるアルストロメリア。その花作りの謎の一端にせまりますっ☆
教えてくれたのは、アルストロメリアを育てて15年の西村邦明さん。ハウス内では肩に届くほどに伸びた茎で西村さんの姿が見え隠れ・・・。はい皆さ~ん、これがアルストロメリアですよ~♪ で、西村さんはというと、なにやらしゃがみこんでの作業。 「今? メリアの間引き作業中。収穫後の古い茎を取り除き、日当たりと通気性をよくするためのものだよ」 愛着を込めて「メリア」と呼ぶ西村さん、手を休めることなく教えてくれました。50aのハウスで10種以上を栽培し、幾通りもある列を黙々と進むその額には、すぐに汗がにじみます。
間引き作業をする西村邦明さん
枯れた下枝などを除去し日当たりと通気性を良くする
間引きにも収穫にも大活躍の台車
間引きされた枝
気になるのはその根元。土の上に木屑のようなものが敷かれています。 「これはバカスと言うんだけどね。サトウキビの搾りかすのことで、除草と適度な湿気を保つために撒くんだ」 これらの作業すべてが、丈夫で日持ちのするアルストロメリアを育てる秘訣と言えそうです。もちろん収穫時期をずらした栽培も必須とも。
敷き詰められたバカス(サトウキビの搾りかす)
JA上伊那 美篶花卉選果場、ここから全国へ出荷される
収穫されたメリアは、遠別・箱詰めのあとJA上伊那 美篶花卉選花場へ。ここから全国各地に出荷されます。まず注目はダンボール箱! 遠く県外へ運ぶためひと工夫されています。さて、ここで問題です。この工夫とは何でしょう? 次の3択よりお答えください。
1. 花を傷めないよう、綿で包む(くるむ) 2. 箱の中に水が入っていて、切り口から給水できる 3. ハンドパワーを送る
いかがでしたか? 答えは、2番の「箱の中に水が入っていて給水できる」でした~☆ ダンボールには大きく「横積厳禁」の文字! 大切に守られて運ばれますよ~♪ もちろん、3番のハンドパワーも、生産者さんの気持ち的には送っていることでしょう。ちなみに、西村さんのメリアは世田谷方面に出荷されるそうですよ。お近くの皆さん、どうぞお楽しみに☆
輸送時も給水できるよう水を入れて箱を立てて運ぶ
さてこの日、選花場のすぐお隣、事務所の一室で行われていたのは「目揃え会」なるもの。な、謎の会!? ぜひとも潜入せねばっ。西村さんに連れていってもらい、いざ入室♪
出荷品質の統一基準を学ぶ目揃え会
そこには、ダンボールや花束を囲み「切り前をそろえて・・・」「植え替え時に土壌診断を・・・」などと専門用語が飛び交う中、20名ほどの人たちが。とても和やかながら、独特の活気があります。 「切り前」とは、花の開き具合や花を採花する段階をさす言葉。季節ごと輸送や販売時間にあわせ、つぼみの状況をそろえて出荷します。すべては消費者の皆さんにちょうど良いタイミングで買っていただけるように。正式には「アルストロメリア専門部出荷査定会」というこの会は、生産者の皆さんが出荷基準を統一し、地域ブランドを守るための勉強会なのでした。
開花状況などを具体的に確認
もともと上伊那地域での洋花栽培は、標高が高く冷涼、かつ晴天率の高い土地柄に加え、戦後すぐの欧米化や経済成長・高速道路の普及ともに生産販売を伸ばしてきたそうです。アルストロメリア導入から30年以上という長い間、研究熱心で新品種の導入や給水しながらの縦箱輸送を積極的に行い、そして何より毎年毎回、状況にあわせた統一出荷を続けてきた生産者さんの努力によって、この一大産地が築き守られてきたことを実感した一日でした。
そして現在、JA上伊那では「花育」にも力を入れています。「食育」「食農教育」との言葉はだいぶ浸透しましたが、こちらでは「花」バージョンも盛んです。子どもたちに花や緑を通じて心の豊かさを育んでもらいたいと、地元はもちろん、大手取引先である大阪の小学生にも花束贈呈やアレンジメント・花の生産流通などの出張授業などを行っています。
花や緑に接することで、やさしい気持ちになったり、誰かを思いやる気持ちが生まれたり。それは、大人にとっても大切なこと。今日は、色とりどりのアルストロメリアで部屋を明るく彩ってみませんか。
JA上伊那
こちらは 2016.04.26 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
まちゃ
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