南信州を代表する冬の特産品「市田柿」。 最高級の干し柿として近年、全国的に知名度が上がってきておりますが、産地である下伊那郡高森町には市田柿を生産する「干し柿専用の工場」が存在します。今回は、全国的にも珍しい干し柿専用の工場「市田柿工房」に行ってきました。
やってきたのは、県南部にある下伊那郡高森町。 高森町は、市田柿の発祥の地とも言われており、500年以上前から市田柿(渋柿)の生産を始めていたと言われています。長野県の干し柿の生産量は、市田柿を中心に全国で第1位。古くからある伝統の食文化が今も残っているんです。
市田柿は、2006年に地域ブランドとして商標登録した長野県の干し柿(渋柿)で、鮮やかな果肉の色や小ぶりで品のある外観に加え、もっちりとした食感と上品な甘さが特徴です。 一般的に干し柿は、生食する場合と比べるとビタミンCは減少してしまう一方で、食物繊維・ポリフェノール・糖度はグンと上がると言われています。通常の甘柿の平均糖度は約17%~18%。干し柿になった市田柿の糖度は65%前後にまで上がります。
選果
皮むき
市田柿工房ではまず、渋柿の状態である市田柿を「大・中・小」の大きさに分けて選果を行い、専用の機械で1つずつ柿の皮をむき、台車に吊るし、約30分燻蒸を行い酸化を防ぎます。
その後、約5日間乾燥させ、はざ下ろし(柿を吊るした状態からもとに戻す作業)を行い、柿もみという作業を何度も繰り返し、ヘタを取ってから箱詰めとなります。
はざ下ろし
柿もみとは、網の中に乾燥させた干し柿を大量に入れ、専用の機械で回転させることを言います。これにより、柿同士がぶつかり合って、柿の水分を乾燥以上に抜くことができるとともに、柿の糖分が結晶となり、白い粉のように表面に浮き出てきます。干し柿の表面の白い粉。なにかまぶしているものかと思っていましたが、実は柿の糖分なんですね。
今回取材協力してくれたJAみなみ信州営農部柿課の田中廣彦課長は、「市田柿の場合、柿もみ作業を通常の干し柿よりも多く行います。こうすることでより表面に糖分の粉がつき、上品な外観と深い甘さが演出できます」と話してくれました。 南信州のおいしい市田柿。ぜひ食べてみてくださいね。
JAみなみ信州
こちらは 2015.12.08 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
あぐり君
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